「昔の放送事故」はシャレにならない!地獄に堕ちた生テレビの恐怖を描く『悪魔と夜ふかし』豪の気鋭監督インタビュー
昔の“放送事故”の怖さ
“放送事故”と聞いて思い浮かぶのは、今時だとアナウンサーや演者のトチり、カメラの切り替えミスやテロップ間違いあたりだと思う。しかし、“昔の放送事故”はレベルが違う。洒落にならない映像が地上波で流れてしまうようなことは少なくなかったのだ。
超能力調査の末に遺体が映ってしまった。心霊写真を紹介しているときに照明が落ちてしまった。歌番組に亡くなったアイドルの影が見える。掛け軸に書かれた幽霊の目が開いた……。20世紀のテレビ番組の編成は今と比べものにならないほど雑で、技術的にも拙かった。さらにはブラウン管の滲み、ビデオのトラッキングノイズなどの影響で映像そのものが粗い。だから「たまたまそうなった」、「言われてみれば」、「そう見えなくもない」映像になる。もちろん“やらせ”もあっただろう。
20世紀のTVの再現、ホラー、そしてコメディ。あらゆるエンターテインメントが渾然一体となった『悪魔と夜ふかし』。色々な元ネタを知っていると楽しめるかもしれないが、何も知らなくてもデヴィッド・ダストマルチャンが司会のTVショーとして十分に楽しめる作りになっている。映画が気に入ったら、20世紀のTVや世紀末カルチャーを深掘りして当時を追体験してほしい。
『悪魔と夜ふかし』は2024年10月4日(金)より全国公開