日本郵政グループの不正、根源にあるのは郵政民営化?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、3月24日の放送に政治ジャーナリストの角谷浩一が出演。昨今の日本郵便グループの不正について解説した。ゆうちょ銀行のおよそ1000万人分の顧客情報の不正流用問題がグループ各社幹部の処分に波及、ほか郵便局員に対する酒気帯び確認の点呼業務の怠り、飲酒運転を見逃した事例なども発覚している。
長野智子「不正流用については、ゆうちょ銀行が保有する顧客情報を顧客の同意を得ないまま投資信託など金融商品の販売に不正流用、と。いったい何が起きているんでしょうか」
角谷浩一「民営化したから起きたことでは、と感じます。2007年、それまでアメリカから民営化を要求されていました。たぶん民営化を要求していたのはアメリカと経団連だったと思いますけど、唯一自民党内で言い続けたのが小泉純一郎さん。自分が総理大臣になったら断固やる、と言って断行したわけですね」
長野「はい」
角谷「そのときには竹中平蔵さんが全部説明をして。郵便局は将来、田舎のコンビニエンスストアのように皆の集う場所になると。まったく実態はそうなっていない」
長野「聖域なき構造改革ですね」
角谷「懐かしい言葉ですね。結果的に、2007年に郵便局と郵政事業と銀行と簡易保険、これが分かれていく。アメリカの保険会社も参入して、ある意味で公的機関である郵便局が民間になったらどういうことが起こるか、と。小泉さんや竹中さんは夢のようなものが来る、ということだったけど、夢どころか……」
長野「はい」
角谷「予測できなかったとはいえメール、ネットなどの社会が広がったおかげで郵便やハガキ、殊に日本の場合は大きな年賀状が減っていく。こういうことに直面する。だからといって酔っ払いが配達していいわけはない。朝日新聞によれば老朽化などでの郵便局の移転先の不動産を郵便局長が取得して、日本郵便に貸し出す。結果的に日本郵便から家賃を郵便局長がもらう、という不思議な構図もできている」
長野「ええっ? 還流じゃないですか」
角谷「結局これも民営化したのに過去の慣例も活かしながら、という都合のいいことを行なっている。それは3割、国が株を持っているから。半官半民なのに民営化だし、民営化だから、儲からないから、儲かるようになんとかしなきゃ、と。無理が出てきている」
長野「無理がありますね」
角谷「日本郵政、日本郵便、かんぽ生命の社長、ゆうちょ銀行の副社長はいずれも旧郵政省や建設省の天下りになっているわけです。体質は似ているけど民間に、という中途半端なことになるわけです」
長野「はい」
角谷「ほかにも民営化したものは、中曽根行革のことも含めれば、国鉄もJRになった。いま駅ビル、駅ナカもいっぱいあります。使う人にとって便利なところもあるけど、場所によっては赤字路線がどんどん廃止になっていく。インフラとして機能しなくなってしまう鉄道があったら、地域の人は大変なことになる。民営だから仕方ない、というのがまかりとおっている。民営化するとき、どこに担保を置くか、ということがいまだにハッキリしないから『民営化したんだから』という言葉だけが走ってしまう。NTT法もそうですよね」