「いやしへの扉をひらく場所」 坂越まち並み館25日再オープン
住民有志のNPOと大学生たちが協働で進めてきた「坂越まち並み館」のリニューアルが完了。10月25日(土)の再開館を祝ってオープンイベントが同日開催される。
同館は日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間―北前船寄港地・船主集落」に認定されている坂越地区に大正前期に建設された木造瓦葺き2階建てで、かつては銀行だった建物。現在は入館無料の資料館兼観光案内所として使われている。兵庫県の「景観形成重要建造物」にも指定されている同館をより利活用しようと、NPO「坂越のまち並みを創る会」(片山安忠会長)が関西福祉大学教育学部の金子美里ゼミと市などの協力で今年6月からリニューアルプロジェクトに取り組んできた。
リニューアルのコンセプトは「いやしへの扉をひらく場所」。プロジェクトの参加者らが同館周辺を歩いて感じたまちの雰囲気や魅力からテーマを引き出した。具体的な展示プランの立案は地元在住の設計事務所が担い、館内の片付けや内装改修、新たな備品の設置などは会員や学生たちが手作業。限られた予算でのリニューアルを実現できた。
生まれ変わった館内は天井から北前船の帆をイメージした白布が何枚も垂れ下がり、穏やかな雰囲気。室内を取り囲むように並ぶ大判のタペストリーには坂越の歴史や祭り、同館のルーツなどを紹介する写真や文章がプリントされている。銀行時代の金庫室は重厚な扉はそのまま残しつつミニシアターに。地元住民が坂越の魅力を語るインタビュー映像を上映する。また、飲食物を持ち込める休憩スペースが設けられ、観光で訪れた人が気軽に立ち寄れるスポットにもなった。
プロジェクトに参加した金子ゼミの小山稜太さん(19)=2年、上郡町=と山口響暉(ひびき)さん(18)=1年、太子町=は「坂越の居心地の良さを感じてもらう入口になれば」と期待を込めた。
同館の開館時間は午前10時〜午後4時。火曜休館。25日はオープンイベントとして木板を簡易に組み立てた椅子に座ってくつろぐワークショップを同館から東に徒歩3分ほどの海岸周辺で午後1時から開催。参加者にコーヒー(午後3時半まで)、抹茶(3時半〜日没)を無料提供する。Tel0791・48・7770。