【北九州市立大学】副編集長が行く!伝える伝わる、あなたとわたし チソウスピリッツは「生きる力」? -後編-
未来の文化と消費をリードする「ソーシャルネイティブ世代」が中心を担っている北九州市立大学の「地域創生学群」が描くビジョン
名前を聞いたことがある人もそうじゃない人も、最初はちょっぴり「どゆこと?」な想いを抱かせるそのネーミング。
後編は現役の「学群生」お二人と教員の先生に貴重な機会を頂き、第一部では地域創生学群のざっくり紹介を、第二部は実際にチソウキャンパスライフを送るお二人に、「実際どう?」をお聞きしました。
副編集長が行く!地域創生学群とは?新しい価値観をリードするチソウのトリセツ -前編-:記事はコチラ
06. 「なければ、つくればよい」地創のゼロイチマインドを育むスピリッツ
副編集長ニシヤマけいおん(以下N) 皆さんが感じる難しさには、いろいろ(地創の取組の幅広さ、広報活動の難しさ、的確な言語表現の困難さ)な要素が掛け合わさってますね!それでいくと、過去の先輩たちが培ってきた、なんか遺産(言語表現・研究結果)みたいなものはありますか?
2年生園田さん(以下S)、2年生三坂さん(以下M)、矢ヶ井先生(以下Y)
M 学群のスピリッツが遺っていて、「なければ、つくればよい」というやつです。
N おおー!(名言出た)
M 私はこの広報実習に入って、本当にその学びや経験をさせてもらっている実感があるんです。今回やらせてもらった「地創新聞」ですけど、これ、私たちの代が始めた企画で。1年生の時から課題を考えていった中で、自分達なりにアクションを考えたのを先生方にぶつけてOKを頂いて、今に繋がっています。(実は、1年生発案の取組が2年まで継続されることは非常にまれ)
こういうスピリッツはずっと続いているんじゃないかなと思います。
N お二人はそういう「やってやったぜ」的な手応えは感じたりします?
S、M 感じます(笑)私たち2人はリーダーとして「地創新聞」をやらせてもらってたので、ホントにゼロイチだったので。1年生の10月ぐらいからでしたね。
Y 2人はその時ぐらいから混沌を起こすというか、いろんな人を巻き込んだり、いろんな壁にぶつかったりしたんですよ。その中から今日までやり切っているのは本当にすごいと思います(しみじみ)。
N 口で言うのは簡単ですけど、やりきる、って本当にすごいですよね。1年生の10月って、その1年前は受験生だったんでしょ?
S、M そうですそうです(笑)
07. 対話を通じて進化する広報実習の取り組み
N 1年後、自分がそんな風になると思ってなか全然思ってなかったんじゃないでしょうか。受験生とは全く違うことやってますもんね。では、この実習の楽しいところを、具体的に聞いてもいいですか?
S 私はさっきの、ゼロイチ。すっごい大変だった部分もあるんですけど、やっぱりやり切った後の達成感ですかね。
今まで各実習を取材する活動がなかったので、実習ごとに考え方が違うことに向き合う機会がありませんでした。その、「相手の考え方を理解する」ということがすごく難しくもあったんですけど、例えば、イベントだったらこの実習はこういう風にしているとか、先輩ならではの考えがあることが分かって。そういう考え方に触れる機会が多くあるのはスゴイ楽しいなと。あと、取材を通して自分の人脈が広がったのもいい経験でしたね。
N おお(なんか深いし大人みたいなこと言ってる)ちなみに、考え方が違うっていうのは?
S もちろん実習自体が違うということもありますが、企画書とかの書式であったり、項目の設定の仕方とか順番が違ったりとか、漢数字を揃えるとか、ちょっと細かいことなんですけど(笑)
N いやいや、大事なことですよね。なるほど、すごい。そうですか、大人の世界と同じですね。
会社でも、部署が違ったら話が合わないとか、同じ業界でも会社が違ったら全然話が通じないとか、価値観が違う、なんてことはしょっちゅうありますよ。
S、M そうなんですか?へえ。
N はい(涙)
「私の仕事はここからここまでです。なぜそれをしなきゃならないんですか?」なんて言われることもよくありますよ。オトナは部門や立場が変わると、想像力がなくなって、協力しようという意識が薄れていくものです。
Y 似ているかもですね。彼女たちはそこにメスを入れれたんじゃないかなと思います。
M よくプロジェクトマネジメントで言われる、「ステークホルダーの心を掴む」必要性というか、その重要性を1年生の頃から本当に感じてたなって思いますもん。
N いや、ほんとスゴイですね!(もうそういう経験してるんだ・・・)三坂さんはどういうところが楽しいと?
M この新聞作るために、私たち以外の12実習に自分達の足で潜入取材しているんですが、楽しいなと思うことが2つあって。
1つは取材をするっていうことがそもそも楽しいなと思ってて。実習をしている人たちがどういう思いで実習活動をしてるのかとか、どういうところにきつかったり辛かったり難しい部分があって、どうやってその現状から前に進めようとしているのか、特にマイナスなところはなかなか口にされないので、そこをどういい感じに私が引っ張り出すか、それを考えて実行するのはすごく面白いです。
たぶんそれは、この新聞を作るためだけではなくて、自分の人生としても楽しいし大切なことだと思います。
N 面白い!!
M で、もう1つですけど、この新聞を作る上で、広報実習全体でやってる取り組みになるので、実習生それぞれのモチベーションが違うことがあるんですよね。しかもゼロイチの取り組みで、私たちが実習に入ってきた時にはなかった取り組みですし、正直、ある程度の反発は広報実習内にもあるんです。
でも、その反発が起こるのは当たり前ですし、みんなが「嫌だ」って思う気持ち自体は良くて、言ってくれることも全然悪いことではなくて。ただ、その中で、どうやってまとめるというか、それぞれの特性を活かすかとか、みんなのモチベーション維持だったり、その組織マネジメント的なことを考えるのって面白いなって。
N マジ?凄。
M 時間をかけてみんなの本音を聞いていくからこそ、こういうところが課題だとか、私たちのマネジメントや進め方の課題かも?とか、この考えを取り入れたらもっと良くなりそう、とか。やっぱり対話していく中で気付く部分も多いから、私はそういう対話が好きなので、これら2つの楽しさに共通しているかなって思います。
08. 「1人ではできないこと」を実感:学生が語るグループワークの魅力と挑戦
N まさしく今日のこのインタビューも、お二人から対話したいエネルギーがバシバシ伝わってきます。広報マンマインドと言えるでしょう。相手を理解したいっていう姿勢を感じます。実習は1人ではできないことだし、みんなでやるためには、相手がどういう人なのか、何を大事にしてるのか、みたいなことをやっぱり知らなきゃできませんよね。
名言「理解してから理解される」
お2人は元々そういう志向があったんですか?それとも、この取り組みを始めてから気づいたんですか?
S 元々高校時代に「探究活動」という授業があって、そこで5、6人のグループワークをやる中で、それぞれそやりたいことが違ったりとか、 探求していくそのテーマを決める時に衝突があったりとかしたんですけど、この学群、大学になってから、よりそれを感じるようになったというか。実習は20人ぐらいいるグループで、その中で自分がプレイヤーとして活動する機会がなかったので、そこが学びになった面はあります。また、潜入活動でリーダーとしてメンバーのモチベーションを考えることが大事であると気づきましたし、プラス、普段の授業でグループワークの設計の仕方とか、メンバー間のモチベーションを高めるどうするか、という授業から学んだというのもあります。
M 自分の経験的にもほぼほぼ同感です。やりたくても1人ではできない、みんなで一緒にやっていくことでより良いものができるって。
地域創生学群の魅力とも重なるんですけど、1年生から実習があって、やっていく中で肌で感じたからこそ、人と人の気持ちに寄り添ったりとか…そこはやっぱり時間をかけないと組織としてうまくいかないし、結果的に組織としてうまくいかなければ、結果的に出てくる成果物も微妙というか、心残りがある状態で終わってしまうことも感じてきました。
こういう活動をしていく中で、それこそ先生たちが求めている、自分たちがやっていくからこそ、アウトプットしていくからこそ、そこから得た学びは貴重だと思います。
09. メディア拡散の壁をどう乗り越える?学生たちが実践する交渉術と理解の力
N メディアを作って運用していく以外の活動はありますか?例えば、このメディアを置かせてください、のような開拓みたいなこととか。
M 北九州市民の方に私たちがやってる活動を知ってもらうために、市民センターとか企業さんに「地創新聞」を置いてもらえるように広めていってますね。
N 広めるのって難しいと思うんですよ、実際。断られることもあるでしょう?
M 私たちが置かせてほしい、発信させてほしいっていうだけじゃなくて、相手側、企業側にもメリットがないと、両方にとってWinWinな関係であるかが大事と思っています。相手の企業さんにとって、この新聞を置くことでどういう良さがあるかを事前にみんなで話し合って、まとめてから訪問していますね。
N おお(これも「7つの習慣」で学んだやつと一緒だ)
S 私も、相手側の利益というか、やっぱりその企業はビジネスですから、その中にこういうのを置かせてもらために、その相手側のメリットとこちらのメリットのすり合わせが難しいかなっていうのは感じますね。
N 多分、ここでさっきの「相手を理解しようとする力」がいるんでしょうね。
10. 地域の課題を知り、未来を描く:地創生学群のビジョンとその実践方法
N これからどうなっていく予定とか、将来ビジョンって決めていますか?
目下、この「地創新聞」を普及させていくことかとは思いますが。どこの企業でも置いている、どこの役所にでも置いている、ということがもし実現できたとして、それから先どうなっていくといいんでしょうね。
M 広報実習内でもちょこちょこで出てくるのは、やっぱり地創の良さというか、この学群で学べることの価値を知ってもらって、入学したいと思う人を増やす!
N あああ、なるほど!
M でも入学者を増やすだけじゃなくて。地創の魅力って、インプットスタートじゃなくてアウトプットスタートなんですよ。
N うおお!いいですね。
M 実習が1年生からあるってところが味噌で、座学も(1年生と)一緒にしてはいるんですけど、基本的には、実習活動を通して、まずその地域の現状を知るということでまず「地域の人になる」。そこから出てきた課題に対して知識を増やしていくアウトプットからインプットに回していくというサイクルで。その学びを私たち自身もしてるからこそ、座学だけではわからない、気づけない部分も気づけていると思うし、実生活でも生きていると思う。高校までの学びだと、この科目は実生活とどうと結びついているのかわかりづらい、繋がらないっていう部分があると思います。家庭科とか副教科だったら繋がるんですよ。でも普通の5教科は繋がらなくて。
でも地創で学ぶとそういう部分もしっかり繋がるので、何が自分の学びになってるのか、それが実世界でどう生きてるのか実感できるし、そういう体験は将来ビジョンを考える上でも結構重要だと思います。
地創生は、そういう(繋がりを考えらえる体験をしているので)、目の前のことだけをやってるように見えても、実際はしっかり繋がりや見通しを考えられている学生が多いので、そういう学生を増やしていくことで、これからの日本は、少子高齢化が進んでいく中でも、そのように「自分たちで考え」て、「みんなで手を取り合って 1つの目標に向かってやっていく」ことができていくんじゃないかな、って感じています。
N スゴイスゴイ!これからの日本とか言っちゃった(でも真剣)。生活に繋がってるっていうのも感じられるし、先と今が繋がっている実感が得られる、ということでしょうか。
M それを振り返るリフレクション(客観的に自分を振り返ること、内省)が大事って結構言われるんですよ、授業内でも。だから、みんな振り返る機会が増えてくるのかなと思います。
S だけど、やっぱり実際にその振り返れとか、1つ終わったら原因分析して自分とどう繋がっていくのか分析しなさい、と習うけど、それを実践できてる人っていうのはやっぱりなかなかいなくて。
だから。この地創新聞で(各実習のことを)取り上げて、その目的や背景を私たちが聞き出すことによって、「自分たちはこういう目的をその軸に活動してるんだ」とか「この取材を通して自分たちこういう力ついてるんだな」っていうのを「相手にも理解してもらいたい」って思ってます。私たちの取材活動を通して、私たちの学びもあるし相手もその学びがある、っていう状態を、これからもっと作っていけたらなって思います。
N 相手に自分を語るとき、語ることで「ああ、俺ってこう考えてたんだ」って再認識すること、ありますもんね。そのきっかけに広報実習の活動が貢献出来たらいいですね。
ちなみに、ビジネススキルとか習うんですか。
S 授業で習ってます。ロジカルシンキングとか、プロジェクトマネジメントのこととか、1年生から必修で入っています。株式会社の成り立ちとか、有限会社との違いとか、NPOとか。地域活動でボランティアになりがちだけど、そこでいかにその利益を生むかとか。そういう考え方などを習います。
N そうなんですね!よく知ってるなあ(自分の学生のころとは大違い
)。僕らは社会人になってから、お金を払って後から勉強してきましたよ。働きながら勉強するのは結構しんどかったんで、皆さんみたいに若くて吸収力が高い時、今日話してくれていることが経験できてるのはとてつもない財産ですね。
今日お話を伺って、地域創生学群の取り組みは、「自分の頭で考える力」が養われる、とか、「すごく変化の激しい世の中を乗り越えていく自力が身につく」よ、しかも「アカデミックで楽しい」といったことが伝わってきた気がしています。
S やっぱりその1番の目的は、地層の魅力を伝えたい。でも魅力って一言で言っても、色々ありますし、例えばゼロイチを作る機会が魅力であったり、 社会人と同等に地域に出ていろんな人と関わる中で、異なる価値観の人とどうやって共同していくのかという手法を学べるっていうのが魅力であったり。
1つでもこれを読んでる人に伝わって、ちょっとでも地創って面白いな、 やってること面白いな、すごいなって思ってくれたらなっていうのは、媒体を作りながらいつも思うところですね。
M 地創の魅力というか、こういう学びをしてるんだよっていうのを読者の方に伝えたいのもあるんです。けど、地創の紹介に限らず、今の学生こういうこと考えてるんだよっていう、ことも伝えたいですね。そして、読んでくれた人たちが「私たちもなんかやってみようかな」みたいなアクションにまで繋がってくれたら嬉しいな。
N 自分で考えて、行動に移せるような?
M そうですそうです!その行動の起こし方はそれこそ多様で、それぞれの日常生活の中でちょっと新しいことやってみようかな、でもいいんですけど。何かしら、その人たちの行動変容にちょっとでも繋がってくれたら。
インタビューを終えて
11. 世代を超えた共感:今を生きる20代のリアル
N めっちゃ聞いちゃった(笑)
M でもありがたいです。
S 自分たちも(想いや考えを)整理できたかも。
N 社会人として、おじさんとして思うこともたくさんありました。さっき、将来の日本、のくだりでちょっと茶化したような感じに感じたかもしれないけど、それ結構おじさんたちも似たようなこと思っているんですよ。
若い世代の人たちから刺激されて、新しい考え方にアップデートしていくのは、正直しんどいところもあるけど、変わらなきゃ、変えなきゃと思える方が健全じゃないかな。
M ひとつ追加していいですか?私、これ読んくれた人たちに「挑戦するって楽しいよ」っていうことを知ってもらいたい!
N うおお!また名言!!(笑)挑戦するって楽しい、うんうん、そうですよね。
M 頑張っている人を見るとすごくキラキラしてるから、元気もらえて頑張ろうってなるし。そういう人たちが一人でも増えたらいいですね。
2人の言葉には、今を生きる20代のリアルと願いと苦悩と希望が入り混じっているようでした。
世代は違うのですが、分からなくもないんです、そいういうの。もし、お互い文房具だとしたら、同じ引き出しに入ってるんだろうな〜そう思わせてくれるだけでも嬉しいと思うのでした。
(おわります。)
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地域創生学群webサイト:https://sousei.kitakyu-u.ac.jp/overview/curriculum/position/
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