南多摩尾根幹線 多摩稲城特別号 各地で4車線化工事進む 南野陸橋(仮称)が架かる
南多摩尾根幹線(通称:尾根幹)の工事が続いている。橋りょうの基礎工事や陸橋が架かるなど目に見える場所で工事が進んでいることが分かる。事業を担当する東京都南多摩東部建設事務所によると、現在主に4カ所の工事が進行しているが、完了時期については未定となっている。
尾根幹は、多摩川に架かる多摩川原橋を起点に稲城市や多摩市、八王子市を経由し、町田市の町田街道に接続する道路で、約16・5キロの都道。東京2020オリンピック大会では、自転車競技ロードレースのコースの一部にもなり、現在もロードレーサーがトレーニングなどで走る姿がよく見られる。
渋滞が課題に
現在、路線の半分以上は2車線になっているため、週末や通勤時間帯は慢性的な交通渋滞が発生している。また、混雑を避けようとする車両が周辺の生活道路を走ろうとするため沿道環境の悪化も引き起こしている。
このような問題を解決するため、都は2021年に多摩市聖ヶ丘5丁目から稲城市東長沼までのおよそ4キロ(東側区間)を4車線化にする工事の開始を発表した。20年から多摩市諏訪-南野間の約5・5キロ(西側区間)でも4車線化が進められており、両区間の工事が完成すると尾根幹全線が4車線化になる。
周辺の活性化に
これにより、沿道の開発や周辺エリアとの交流の活発化などニュータウンの再生、隣接する相模原市に予定されているリニア中央新幹線新駅へのアクセス向上、災害時緊急輸送の円滑化などが期待されている。
東側区間
主に工事が進められているところは4カ所。東側区間ではJR武蔵野(貨物)線に架かる堅谷戸大橋のエリアで、橋りょうの基礎(足)となる工事が始まっている。
また、昨年施工会社との契約がまとまり、まもなく工事が行われるのが、約1・8キロのトンネル区間。この多摩稲城トンネル(仮称)は多摩市聖ヶ丘5丁目から稲城市長峰3丁目の区間で、多摩市方面と稲城市方面に向かう2車線のトンネルがそれぞれ整備される。
トンネル内には消火栓など非常用設備が配置され、トンネル内6カ所で隣のトンネルと接続し、緊急時には隣のトンネルに避難できる構造になっている。
西側区間
西側区間では、中央卸売市場近くに南野陸橋(仮称)が架けられ始めている。尾根幹と交差する川崎街道をまたぐように架かり、大規模な陸橋の姿を見ることができる。
また、鶴牧中学校(多摩市)近くでは、4車線の幅を保つため、高低差を無くすための擁壁工事が行われている。
2021年の計画では国から事業認可を受けている期間は29年度までとなっている。都の担当者は「トンネルの掘削だけでもおよそ6年はかかる。工事はそれ以降も続く」として、全線4車線化の完了時期は未定となっている。