「虎に翼」チェ・ヒャンスク役でも話題の俳優 ハ・ヨンスさん「諦めなければ必ず目標にたどり着ける」──特別インタビュー【後編】
連続テレビ小説『虎に翼』で崔 香淑(チェ・ヒャンスク)役を熱演し、現在はNHK Eテレ「ハングルッ!ナビ」のスキットにも出演中のハ・ヨンスさん。日本で活動するという夢を叶えた“語学力”の秘密や、挑戦を続ける原動力について伺います。
(「ハングルッ!ナビ」テキスト2024年10月号の記事より、本記事用に一部を編集・追記して掲載しています。)
前編はこちら▼
――――旅行がお好きとのことで、オススメの韓国旅行のスポットを教えていただきたいです。
初めての旅行なら、チョンノ(鐘路)がオススメです!
近くには景福宮や北村韓屋村など、韓国らしい美しさを感じる建物もたくさんあって、私も大好きな場所です。
ウィンドウショッピングや流行りのスイーツを楽しみたいなら、カンナム(江南)やハンナムドン(漢南洞)がいいと思います。東京で例えると、代官山や六本木のような感じかな。いろんな種類のお店があるので、ミョンドン(明洞)もオススメですね。
私はプサン(釜山)の出身なんですが、海がきれいな地域なんです。私が生まれ育ったヘウンデ(海雲台)も海水浴場が有名で、横浜みたいな雰囲気があると思います。
海鮮もおいしいし、おしゃれなカフェもどんどん増えてきているので、ぜひ訪れてみてほしいです。ソウルからも、高速鉄道(KTX)で1本で行けますよ!
――――プサン出身なんですね! 韓国にも、地方によって方言があると聞きました。
「サトゥリ(※「方言」の意味)」ですね。
プサンのサトゥリは、日本語で例えると「関西弁」に近いような癖があるように感じます。
いわゆる標準語とは語彙も少し違うし、語尾やイントネーションも違いますね。初めて聞くと、勉強中の方は少し戸惑うかもしれないです。
私も『虎に翼』への出演が決まったとき、過去の作品を見ようと思って『ブギウギ』(※2023年度後期の連続テレビ小説)に触れたときは、全然セリフが聞き取れなくて衝撃を受けました(笑)。
まだまだ勉強中ですが、いつか関西弁も話せるようになりたいですね。
――――お話を伺っていると、挑戦への前向きなエネルギーを感じます。来日されるときは、不安はありませんでしたか?
私は30歳で1人で来日したのですが、最初はすごく不安でした。
何かにチャレンジするときは、他人の目線が気になってしまいますよね。「こんな年齢で挑戦していいのかな、本当にうまくいくのかな?」って落ち込むことも多かったです。
でも、とにかく勇気をもって目標に向かって頑張って、今ここまで来れています。まだまだ未熟ですが、いちから他の国の言語を学んでここまで来られることを証明して、「だからあなたも頑張って!」って伝えられる立場になれたと思っています。それが自分でもすごくうれしいです。
―――忙しい毎日を過ごされていると思いますが、欠かさない習慣などはありますか。
2つの言語を使って生活していると、少し疲れる日もあります。
なので、例えば朝ドラの撮影が終わったら「きょうは日本語をたくさん話したからK-POPを聞こう」とか、2つの言語をたくさん使った日は洋楽を聞いたりして、意識的に頭を少しリセットするようにしています。マルチリンガルの方やたくさんの言語を勉強している方には、クラシックがおすすめです!
あと、1日1つは新しい単語を覚えるようにしています。日常生活でも撮影現場でも、知らない単語に出会ったら必ず意味を調べて、発音と一緒に身につけることを意識していますね。日本で暮らしていると、常に日本語に囲まれて、日本語でコミュニケーションを取るので、毎日が学びの連続です。
―――最後に、ハングルの学習を頑張っている皆さんへのメッセージをお願いします!
私は最近、漢字の練習を頑張っているんです。小学校レベルのものを、「何これ!?」と言いながら(笑)、毎日続けています。
日本語を勉強し始めたときは、思うように伸びなくてつらい日や、きょうは勉強したくないと思う日もあったんですけど、諦めずちょっとでも続けるのは本当に大切だと思うので。少しずつでもこれからも勉強を続けていけば、きっと自分が目標としているレベルにたどり着けると思うので、頑張ってほしいです。
「ハングルッ!ナビ」のスキットではなるべく自然できれいなハングルを話そうと努力していますので、ぜひディクテーションや発音の練習に使ってください!
ハ・ヨンス
1990年、韓国・プサン(釜山)生まれ。高校時代はアニメーションを専攻し、絵本作家を夢見ていた。2013年に映画『恋愛の温度』でデビュー。その後、韓国でリメイクされたドラマ『リッチマン』での主演をはじめ、さまざまな映画・ドラマに出演。2022年から日本での活動を本格化させ、2024年にはNHK連続テレビ小説『虎に翼』に出演するなど、多彩に活躍中。
◆写真:神藤 剛
◆取材・文:「ハングルッ!ナビ」テキスト編集部