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通常学級在籍の小1発達グレー息子。放デイ、通級指導教室、担任面談…1年間で広がった「支援の輪」

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通常学級在籍の小1発達グレー息子。放デイ、通級指導教室、担任面談…1年間で広がった「支援の輪」

監修:井上雅彦

鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー

小学校入学を機に、発達支援施設の利用を開始

しのくんは発達障害グレーゾーンの6歳の男の子です。現在小学1年生で、通常学級に籍をおいています。

小学校へ進学するにあたり、一番不安だったのが、放課後のしのくんの居場所でした。私は仕事をしているので、仕事の日に合わせて放課後等デイサービスを利用することにしました。

しのくんが利用している施設は、児童発達支援と放課後等デイサービスの両方を運営していたため、未就学期から児童発達支援の利用を開始したことで、放課後等デイサービスの枠を優先的に案内してもらうことができました。小学校入学という環境が激変する時に、慣れた環境でスムーズに利用を開始できたのは、しのくんにとってもよかったのではないかと思っています。

しのくんの通う小学校は集団登校をする決まりになっています。小学校に通い始めてもうすぐ1年になりますが、朝はまだ登校に不安のあるしのくんと一緒に手をつないで学校へ行っています。下校時は自力で帰ってきていますが、心配ないとは言い切れないのが正直なところです……。しかし、放課後等デイサービスに行く日は、家まで送ってもらえるので非常に助かっています(送迎があるかは放課後等デイサービスによって異なります)。

また、しのくんは発語が遅かったので、2歳から「ことばの教室」がある病院に通い、月に1回のペースで言語聴覚士の指導を受けていました。この「ことばの教室」は小学校入学のタイミングで卒業となり、相談先が減ってしまい心細く思っていましたが、放課後等デイサービスでは宿題もみてくれて、療育的な支援もしていただいているのでとても心強いです!利用した日には、その日の様子について写真と共に詳細を教えてもらえます。

しのくんの通っている放課後等デイサービスは、夏休みや冬休みなどの長期休暇中も利用することが可能です。長期休暇の時は普段より預かり時間が長く、朝から夕方までみてくださるので、とても助かっています。

活動の一環で工場見学や室内遊園地に連れて行ってくれたり、夏は流しそうめんなどのイベントもあったりと、放課後等デイサービスの先生方には感謝しかありません(預かり時間や支援内容は放課後等デイサービスによって異なります)。

2学期から通級指導教室を利用。どんなことをしている?

しのくんは小学校の通常学級に在籍していますが、一斉指示が入っていきにくい傾向があるため、2学期から通級指導教室を利用することになりました。週に1回、学校内の別教室に移動して個別で支援を受けています。

通級指導教室に通う前は、苦手な科目を個別で指導してもらうのかな?と思っていましたが、そうではなく、しのくんが苦手な短期記憶(特に聴覚的な記憶)を強化するトレーニングや、体の動かし方のトレーニングなどを行ってもらっています。

通級の先生から授業のフィードバックやアドバイスをいただけるので非常に助かっています。通級の時間になると、通常学級の教室まで先生が迎えに来てくれるのですが、本人は特に友だちの目を気にすることもなく、「行ってきまーす!」と元気いっぱいで通級に行くらしいです。

また、つい最近まで、国語が苦手なしのくんに対して、国語の時間は補助で先生がついてくださっていたようです。2月から先生の補助がなくなってしまったので、しのくんに不安はないか聞いたところ「やるしかないわと思って、頑張ってる」と言っていました。成長を感じます。

進級に向けて

現在しのくんは、放課後等デイサービスと学校の通級指導教室で支援を受けつつ、苦手な部分をサポートしてもらうことで、通常学級でも大きな困りはなく過ごすことができています。

また、月に1回のペースで担任の先生とも面談していただけるので、学校での様子もよく分かりますし、こちらが不安に思っていることも伝えやすいと感じています。たくさんの新たな相談先ができたことで、親としても安心感につながっています。

これから学年が上がるにしたがって、さらに困りごとが出てくるかもしれないですが、その都度相談に乗ってもらえる環境があるので過剰に不安を感じることはないと思います。周りのサポートには感謝しかありません。

家庭と学校、放課後等デイサービスと連携しながら、これからもしのくんを見守っていきたいと思います。

執筆/keiko

(監修:井上先生より)
しのくんのように担任の先生が月に1回面談してくれるのはとてもいいですね。お母さん、担任の先生、通級の先生、放課後等デイサービスの4者が、互いに相談しやすい雰囲気を感じられました。家庭と教育と福祉の連携「トライアングル」プロジェクトを政府も進めているところですが、しのくんのケースは理想的な形だと言えるのではないでしょうか。これからしのくんが2年生になると学習内容の抽象度が上がったり、担任の先生が変わったりという不安要素もありますが、個別の教育支援計画なども見直しながら、このネットワークを存分に活用して「チームしのくん」が続いていくといいと思います。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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