U-19アジア杯予選に挑む“05ジャパン”で清水エスパルスユースのMF西原源樹に期待すること
【サッカージャーナリスト・河治良幸】
船越優蔵監督が率いるU-19日本代表は中央アジアのキルギスで行われるAFC U-20アジアカップ中国2025予選に挑む。出国前の9月19日には千葉県内で流通経済大と45分2本の練習試合を行い、佐藤龍之介(FC東京)の2得点など、合計7−2で勝利。17歳ながら清水エスパルスのトップチームでプレーするMF西原源樹も右サイドからのカットインでチームの4点目を決めるなど、大会に向けてアピールした。
西原は本来は左サイドを得意とするドリブラーだ。船越監督が「自チームと違うポジション、役割にちゃんと適用できるのか、どこでプレーさせた方が、誰と近くでプレーさせた方が一番特長を発揮できるのかを見てみたかった」と語るように、普段とは反対側のポジションをテストしたことには大きな意味がある。
9月25日のトルクメニスタンとの試合が初戦となり、中1日でミャンマー戦、そして今回の山場となるキルギス戦が29日に予定されている。23人のメンバーの起用をいろいろな想定で考えていく必要があり、船越監督は「全員が戦力なので、3試合とも同じメンバーでやることはない」と強調している。西原は左右のサイドで準備しなければいけない。
「左右で景色が全然違う。いろいろとポジショニングのところを言われましたが、もっと自分でできるようにならないといけない。左サイドだと右足で縦にも中にも行ける。右サイドだと、得意ではない左足でドリブルする形になる。右サイドだから左足で打たないというのはなく、右も左も同じようにやりたい」
右サイドで左足を使ったドリブル、そしてシュートにもトライしている西原の高い意識が今回、ゴールという形で実を結んだことは今後にいい形でつながりそうだ。
先発でのプレーをイメージ
西原は清水のトップチームで16試合に出場しているが、リーグ戦でスタメン起用されたのは4月3日の徳島ヴォルティス戦のみ。これまでの2得点は後半途中に投入された仙台戦と鹿児島戦で記録している。
今回の代表ではスタメンで起用される可能性が十分に考えられる中で、「仕掛ける場面と落ち着かせる場面。スタートから出たら、全部が全部、仕掛けたら最後まで(体力が)もたないと思う」とイメージしている。
今回のメンバーだと、左サイドでは中川育(流通経済大)、平賀大空(京都サンガ)、FWながらサイドもこなせる横山夢樹(FC今治)らがライバルで、右の場合は廣井蘭人(筑波大)たちともポジションを争う形になる。ただ、180センチのサイズを生かし、縦にも中にも鋭く仕掛けられる西原はチームの中でも異彩を放っており、重要な武器になっていきそうだ。
「MOTOKI」の横断幕
今回の“05ジャパン”もかなり楽しみなメンバーではあるが、後藤啓介(アンデルレヒト、ジュビロ磐田ユース出身)や塩貝健人(NEC)、左利きのサイドアタッカーである吉永夢希(ゲンク)など、海外クラブに在籍する選手は招集外だった。
船越監督は今代表に選ばれている選手がベストという考えで選手たちに接しているが、特に攻撃的なポジションの選手は今後もサバイバルが続く。
西原は「自分はゲーム作るというタイプじゃない。できれば良いポジションでもらって、そこから仕掛けていきたい」とイメージしている。リズムよくドリブルを仕掛けてのクロスやシュートなど、これからさらに持ち味を発揮していくことができるか。
練習試合の時はただ一人、名前の書かれた横断幕がフェンスに掲げられていた。それを知らせると「嬉しいです」と回答してくれた。ここを突破できればU-20W杯の最終予選を兼ねるU-20アジアカップに進むことになるが、海外組が加わっても「“05ジャパン”のサイドアタッカーは西原源樹」と評価される活躍に期待したい。