就学相談は年長GW明けから!?小学校見学、教育委員会面談…特別支援学級に決まった息子の場合
監修:新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
思ったより早い時期に始まった就学相談
ねこ太が年長になって身辺が落ち着き始めたゴールデンウィーク明け、わが家に就学相談の案内が届きました。自治体により時期は異なりますが、うちの自治体は案内がかなり早いほうだと思います。ねこ太の場合は幼稚園で見守り学級(小学校でいう特別支援学級のようなもの)に入っていたので、幼稚園から案内を直接手渡されました。
年長になってまだそんなに日が経たないうちに来年度の小学校入学についての案内が来たので「もう就学について考えないといけない時期なの!?」と驚きましたが、私はねこ太の小学校進学についてはすでに特別支援学級を希望していたので、さっそく小学校に電話をしてみることに。
まずは小学校で面談!
小学校に電話をすると、どうやら私が一番乗りだったようですぐに面談の日にちが決定!直近で受けた発達検査の結果があれば持ってきてほしいとのことだったので、新版K式の検査結果を持って行きました。
私とねこ太二人で小学校に行き、校長先生と教頭先生のお二人と面談。現状を報告して小学校ではどのようなサポートが必要かを伝えました。私のほうからも小学校生活についての質問をいくつかしました。
かなりドキドキして臨んだ面談でしたが、特にテストのようなものはなく30分ほどの簡単な面談で終了。面談後に特別支援学級の教室を見学させてもらえたので入学後のイメージができたのがとても良かったです。
次は教育委員会との面談!
小学校での面談の10日後に教育委員会と面談でした。こちらでも発達検査の結果が必要でした。
こちらの面談では母子バラバラの面談だったのでねこ太がどんな面談を受けたのか詳しくは分かりませんが、どのくらい指示が通るかや、行動について見られていたみたいです。
発達検査の結果をもとに小学校の面談時より詳しく現状を説明したり、現在どんな支援を受けているか、次年度の放課後等デイサービスの事業所は決まっているか等を話しました。この時も緊張して臨んだのですが、やはり筆記テストのようなものはなく面談のみ。
比較的アットホームな雰囲気で面談は45分くらいで終了。特別支援学級に入れるかどうかは約3か月ほどで通知が届くと言われました。
「特別支援学級に入れない可能性はあるのでしょうか?」
と質問したところ、
「近年特別支援学級を希望する方が増えていて教室の数も教員の数も足りなくなっているので、希望者全員が入れる訳ではありませんが、必要であれば増員も検討するので入れない可能性は低いと思います」とのこと。
小学校の特別支援学級を見学した時にクラスが6組まであったので「特別支援学級の在籍者数って多いんだな」と思ってはいましたが、6クラスあっても足りないくらい希望者が多いことに驚きました。
3か月後……無事に特別支援学級決定の通知が!
そして3ヶ月後、教育委員会から自閉症・情緒障害特別支援学級決定の通知書が届きました。特別支援学級に入れなかったらどうしようとドキドキしていたので、無事に入級が決まってホッとしました。
わが家は就学相談の案内を受け取ってすぐに小学校に電話したので、特別支援学級決定の通知がかなり早い段階で届きましたが、お友だちは小学校に電話するのが遅かったそうで、決定通知が届いたのはうちより3か月も後だったそうです。3か月も差があるのかと驚きました(注:自治体によって決定通知送付の時期は違います)。
療育探しの時も思いましたが、早めに動いて良かったと改めて感じました。
私は就学相談はもっと堅苦しく緊張感のある状況を想像していましたが、小学校での面談も教育委員会での面談も堅苦しさはなく、比較的やわらかい雰囲気の中でのヒヤリングだった印象です。
今年も次年度に向けて就学相談が始まる時期ですが、特別支援学級や通級を検討されている全国の親御さんに「そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ」とお伝えしたいです。
執筆/鳥野とり子
(監修:新美先生より)
就学相談について具体的に教えて下さり有難うございます。就学に向けた相談は、自治体によって呼び方も形式も異なりますが、いろいろな経験談を聞いておけると参考になりますよね。
幼稚園・保育園と学校生活とでは、環境も生活も雰囲気もがらりと大きく変わります。園生活の中でそこの環境に慣れて、入園当初よりはだいぶ成長したなと思われるお子さんでも、環境変化で戸惑ってしまうことも少なくありません。集団生活の中での心配があったり、発達特性が強かったりするお子さんは、特別支援学級を希望する・しないに関わらずに念のためでも広めに就学前の相談を受けておくことをお勧めします(※ただし自治体によっては、特別支援学級・特別支援学校などを希望する場合のみ就学前の相談を受けるというところもあるかもしれません)。就学前の相談をすることで、就学後の学校生活でどのようなサポートが必要かを明確にして引き継いでもらえることにつながります。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。