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NHK「基礎英語」編集部がアドバイス! 英語学習の「つまずきどころ」とその対策

NHK出版デジタルマガジン

NHK「基礎英語」編集部がアドバイス! 英語学習の「つまずきどころ」とその対策

毎年4月から、中学生や学び直し層に向けて1日15分の英語学習を展開しているNHK「基礎英語」シリーズテキスト。8月号は、4月号からの総復習号です。ミニテストや別冊のワークブックも付いて、学習に出遅れてしまった方や、夏休み学習を充実させたい方にもぜひご覧いただきたい内容です。

今回は、「NHK中学生の基礎英語 レベル1」テキストに寄せられたお手紙や声から編集部が考えた「英語学習の最初のつまずきどころ」とその対策について、聞きました。

多くの人が苦手に思うのは、語順

 Hello there! It’s getting hot and humid these days. How’s your English learning going? (こんにちは! 最近、蒸し暑くなってきましたね。みなさん、英語学習は順調ですか?)

 4月から始まった「中学生の基礎英語 レベル1」も、7月で3か月目となりました。最初はI’m Yamamoto Mika.といったbe動詞の基本を学習しましたが、過去形や3単現のs(3人称・単数・現在形)などのむずかしい文法事項も登場しましたね。

 英語は日本語とはまったく違うルールの言語。ですから、学習するなかで戸惑うことや、疑問に思うことが出てくると思います。なかでも英語の「語順」に戸惑ったことはありませんか?

 文部科学省も「疑問文の語順などの特徴についての理解が十分ではないことや、それを活用する技能が十分に身に付いていないことが考えられる」(文部科学省 国立教育政策研究所「令和5年度全国学力・学習状況調査」より)と、日本人が英語の語順を理解することのむずかしさを指摘しています。たしかに疑問文の語順は少し異なるので、多くの人が苦手に思っていても無理はありません。

 あらためて考えると、日本語と英語の語順には異なる特徴があります。たとえば、英語でGeorge likes this book.は「ジョージはこの本が好きです」となります。日本語だとこの順を変えて「この本がジョージは好きです」や、「好きなんですジョージは、この本が」としても、ニュアンスこそ多少違うものの、伝わる内容は一緒です。

 では、英語で語順を変えるとどうでしょうか? This book George likes.やGeorge this book likesとすると、「誰が何を好きなのか」がはっきりしなくなってしまいます。だからといって、This book likes George.とすると、今度は「この本はジョージのことが好きです」という意味となり、本に魂が宿って……というような少し怖い話になってしまうのがわかると思います。

 ここに表れている特徴の違いはいったい何なのでしょうか?

英語は「語順の言語」

 それは、日本語にはいわゆる「てにをは」と呼ばれる助詞がある一方で、英語にはないということ。助詞とは、その語とほかの語との関係を示したり、その語に一定の意味を添えたりする働きをするものです。

 先ほどの文を例にとると、「ジョージは」は、「は」によってジョージが「好きだ」という行為の主体、つまり主語であることがわかります。同じように「この本が」の「が」は、この場合、行為の対象を指す目的語であると示されているわけです。日本語はこのような特徴を持つ言語だからこそ、比較的自由に語順を変えることができます。

 では、英語の例文を振り返ってみましょう。George likes this book. ここには日本語の助詞にあたるものは見えません。George、likes(3単現のsに注意!)、this book、と単語が並んでいるだけです。でも、この文は「Georgeはthis bookがlikes」という意味になります。

「なんだかむずかしい……」という思いを抱いている方もいるかもしれません。まとめると「英語は語順の言語」だということ。単語をどの位置に置くかによって、「~が」「~に」「~を」といった役割が決まってしまう言語なのです!

「語順の言語」の最大のメリット

 英語は語順の言語。ということは、日本語のように言葉の順番を変える自由はあまりありません。窮屈と言ってしまえばそれまでですが、これには最大メリットがあります。すなわち、語順どおりに並べさえすれば、ある程度、正確な内容を相手に伝えられるということなのです!

 これは英語を学ぶわたしたちにとって大きなことではないでしょうか。もちろん、現在形ではhaveで、3単現では、has、過去形はhadといった動詞の活用も大切ですが、「誰が」「何を」の部分をしっかり伝えられないと、動詞の役割が生きてきません。まずはここをクリアすると、英語の学習は大きく進んだことになります。たとえば、次の問題はどうでしょうか。日本人がつくることが苦手と言われている疑問文です。

 日本文に合う英文になるように、[  ]内の語を並べかえましょう。

1このイヌを飼っているのはだれですか? ――カヤです。

[this / who / dog / has]?  -Kaya does.

2あの動物は何ですか? ――ウォンバットです。

[animal / what / is /that]? -It is a wombat.

3このフレーズの意味は何ですか? ――「継続は力なり」という意味です。

[does / this / mean / what/ phase]? -It means “practice makes perfect.”

解答

 いかがでしたか? 答えは以下の通りです。

1 Who has this dog? -Kaya does.
2 What is that animal? -It is a wombat.
3 What does this phrase mean? -It means “practice makes perfect.”

 どれも単語は少しずつ違いますが、基本は同じ。たずねる要素(だれや何など)を文の最初においてから、isやdoesをつかってYesかNoをたずねる疑問文の語順を続けるだけです。「語順」という観点で見ていくと、たくさん出てきた文法事項もシンプルな法則になっていることに気づくはずです。

まとめて→音読

「中学生の基礎英語 レベル1」のテキストでは、7月号まで学習を終えると60レッスンをこなしたことになります。時間のあるときに、この視点でこれまでの学習を振り返ってまとめてみると、頭の中も整理されるでしょう。そして、ぜひまとめて理解した後に音読をしてください。書いて、読んで、様々な方法で覚えたフレーズは忘れにくいものです。同じような文章が出てきたときに、答えがパッと口を突いてくる瞬間が絶対に訪れます。今後の学習がスイスイ進むこと、間違いなしです。どうぞ試してみてください!

◆文:キソ5号(NHK「基礎英語」テキスト編集部)
◆参考資料:文部科学省 国立教育政策研究所「令和5年度全国学力・学習状況調査」

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