「小児科医」と偽り生後3時間の女児をリュックに入れて誘拐した女、逮捕(ブラジル)
ブラジル南東部ミナスジェライス州ウベルランディアで今月23日、生後3時間の女児が42歳の女に病院から連れ去られた。白衣姿の女は母親に「私は小児科医」と偽り、スタッフに気づかれないようリュックに新生児を入れて病院を後にしていた。ブラジルのニュースメディア『G1』などが伝えた。
ミナスジェライス州ウベルランディアの大学病院「クリーニカス・デ・ウベルランディア病院(UFU)」で23日午後11時過ぎ、帝王切開で3時間前に誕生したばかりの女児が連れ去られた。
女児は当時、母親のベッドの隣に置かれたベビーベッドに寝ていたそうで、女児の父親エドソン・フェレイラさん(Edson Ferreira)は、その夜のことを「女が『自分は小児科医だ』と言って入室してきた」と明かすと、このように続けた。
「その女は非常にハキハキと話し、『母乳が出ているかどうか診たい』と言って妻の胸を触っていた。そして『ミルクをあげるから』と告げ、娘を部屋から連れ出した。ただ娘は戻ってくることはなく、しばらくして『連れ去られた』と気がついた。」
こうしてUFUのスタッフは軍警察に通報し、監視カメラの映像を提供して捜査に協力。軍警察は女児が誘拐されてから数時間後の翌24日朝、病院から約134キロ(83マイル)離れたゴイアス州イトゥンビアラに住むクラウディア・ソアレス・アウヴェス(Claudia Soares Alves、42)を逮捕した。クラウディアが病院から自宅に運転して戻る際、料金所で支払いをせずに通過したことから足が付いたという。
クラウディアは神経科医で、2つの大学の教授も務めており、誘拐した女児をメイドに預けて外出し、帰宅したところを拘束された。一方で女児は無事保護され、その日のうちに両親と対面を果たした。
ちなみに監視カメラは23日午後11時18分頃、クラウディアが路上に赤い車を停め、病院まで歩く様子を映し出していた。白衣と手術用マスクを身に着け、黄色いリュックを背負っており、5分後には「休みの医師の代わり」とスタッフに告げて産科病棟に入り込んだ。
そして午後11時46分頃、膨らんだリュックを背負い、病院の出口に向かって大股で歩くクラウディアをUFUのスタッフが目撃していた。女児はこの時、リュックに詰め込まれていたようで、カメラはこの9分後、病院の外に出たクラウディアがブランケットで包んだ女児を片手で抱え、車まで歩く姿を捉えていた。
なお弁護士のウラジーミル・レゼンデ氏(Vladimir Rezende)によると、クラウディアは女児を連れ去った時、精神的に危機的な状態にあったそうで、「自分が何をしているのか理解していなかった」と語ったうえで次のように擁護した。
「クラウディアは2022年から精神科で治療を受け、双極性障害、不安障害、パニック障害のための薬を飲んでいた。また長い間妊娠を望み、人工授精も行ったが、昨年流産したことで精神的に非常に不安定だった。さらに最近、妊娠を疑い、それまで服用していた薬を変えていたことも異常な精神状態に拍車をかけた。」
しかし警察のスポークスマンは、クラウディアの家や車のトランクなどからミルク、オムツ、ベビーカー、ピンク色のベビーバスやおもちゃなどが見つかったことから、「あらかじめ誘拐を計画していたのではないか」とみており、犯行のきっかけなども含めて、未成年者誘拐罪の容疑で調べを進めている。誘拐罪が確定すれば、長くて8年の懲役が科せられるという。
そしてこの事件には、「なぜ? 頭もよく医師になった女性なのに、赤ちゃんを養子に迎える選択肢はなかったの? 精神的にかなり追い込まれていたのでしょうね」「精神科医の診察を受けていたから、養子縁組は無理だったのでは?」「誘拐して逃げきれると思ったのかしら? 彼女のキャリアはこれで終わりね」「誘拐罪で懲役たった8年だなんて! 赤ちゃんの命はもっと価値があるのでは?」「女児の両親にとっては本当に悪夢のような出来事だったでしょう」「赤ちゃんが無事見つかって良かったね」といったコメントが寄せられている。
画像は『G1 「Saiba quem é a médica presa suspeita de sequestrar bebê horas após o parto」(Foto: Reprodução/Redes Sociais)(Foto: Divulgação/Polícia Civil)』『The Mirror 「Pregnant doctor accused of stealing newborn and hiding her in backpack」(Image: Newsflash)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)