不登校になったときに親は最初に何をすべき?不登校児の親が実際にやってよかった対応とは
「子どもが学校に行きたくない」と言い出して、対応に困ってしまったという経験を持つママは少なくないでしょう。皆さんはお子さんから最初にそう言われたとき、どのように対応することが正解だと思いますか?
今回は2024年11月14日に行われた、不登校や学校の行き渋りに悩む親に向けて次の一歩を踏み出すためのオンラインイベント「不登校・行き渋り 初級講座〜『学校、行きたくない』への3つの視点〜」から、子どもの不登校を経験した先輩保護者のエピソードを抜粋してご紹介します。
「親が学校に行かせようとする」は正解?「自分の焦りと子どもの問題は別」と意識した保護者も
同イベントには発達障害や不登校、集団が苦手な子どもに向けたオンラインフリースクールBranchの代表である、中里祐次さんも登壇。中里さんはBranchに通う不登校児の保護者の方々に聞いた、行き渋りが始まった頃のリアルなエピソードを紹介してくれました。
ある保護者は、自分自身に不登校の知識がなかったために、初動でいい対応ができなかったことを後悔しているそうです。小学校1年生で行き渋りを先生に相談した際に「学校に来れば楽しそうにしているから、朝のお母さんの一押しが大事」と言われたことを鵜呑みにし、無理やり学校に連れて行ってしまったことも。他の子どもと比べるような叱り方をしてしまったこともあったそうです。
また不登校による勉強の遅れを取り戻そうとしたり、何かをやらせようとしたりするときは、たいてい自分自身に余裕がないときだと気づいた保護者もいました。この方は「自分の焦りと子どもの問題を分けて考えるように意識した」と当時を振り返っています。
さらには不登校になると鬱のような症状が見られる子どもも少なくありません。中里さんによると、不登校で鬱のような症状が出てしまうと再登校のハードルがさらに高くなったり、親との信頼関係が揺らいだりするケースも多いそうです。「一度休ませて休み癖がついたらどうしよう」と悩むかもしれませんが、「子どもが休みたい」と言ったときには、気軽に休ませるほうが結果的に子どもにとっていい方向にいくこともあります。
実際にとある保護者は、子どもが「学校に行かない」と決めた後に悩んだりイライラしたりはせずに、「健やかに育っているし、鬱になっていないから大丈夫」と捉えていたそうです。子どもの不登校に親が心の余裕を持つことはとても難しいことですが、多くの不登校児の親が失敗したり悩んだりしながら、自分の正解を見つけていっていることがうかがえます。
本人の気持ちが乗らない限り、無理やり外出をするのも逆効果
また不登校になると、学校だけでなく外出そのものが不安や恐怖で嫌になり、家にこもりっぱなしになることも珍しくありません。
不登校児を持つ親に、不登校後に外に出るようになったきっかけを聞くと、「映画やイベント、旅行など本人の興味があるものに行きたがるようになった」「オンラインスクールの相談員と関わるようになって、少しずつ自発的に外に出たがるようになった」といった回答がありました。また近所や学校の人に見られたくないので家の近くを出歩くのは嫌がるが、車での外出や家から離れたところであれば大丈夫だったというケースも。
親からすると、学校には行かなくてもいいけれど、引きこもりにならないように外に連れ出したいと思うものではないでしょうか。「少しでもいいから外に出よう」と声をかけたくなりますが、これは慎重に行う必要があるでしょう。親が「たまには外に出よう」「一緒に散歩しよう」などと声をかけても断固拒否され、余計に家から出たくなくなったという体験談もありました。
学校に行くのも外出するのも、あくまで本人が自主的に外に出たくなるきっかけを見つけたり、気持ちが乗るタイミングを待ってあげたりする必要性がうかがえます。
不登校中に子どもに寄り添うって具体的にどんなこと?
最後に不登校中の子どもにやってよかった対応を聞いてみると、多くの保護者から「子どもを受け入れる」という回答がありました。学校を休んでいることに罪悪感を持たせないよう、平日の昼間でも堂々と一緒に外を歩いたり、近所の人に挨拶をしたりしていた保護者もいれば、子どもがやりたいこともやりたくないことも受け入れてサポートした保護者もいました。
また子どもに共感したり、親の愛情を伝えたりすることも大事なこと。自分の気持ちを出すことができなくなっていたわが子に「嫌と言ってもいいんだよ」と伝え続けたり、「わからない」と繰り返していても「わからないことがわかったね」と確認し合ったりしたことで、今では自分の気持ちをハッキリ言えるようになったというエピソードもありました。この他にやってよかった対応としては、
『「同級生が怖い」「他人が怖い」という子どもの気持ちに、「そうだよね」と共感した』
『不登校になるまで、世間体を気にして子どもの気持ちを受け止めてあげられなかったことを素直に謝った』
『どんな状態でもあなたのことが大好きで、あなたの親になれて幸せだと伝え続けた』
といったエピソードが。「不登校になっても子どもを受け入れ、寄り添う」と頭ではわかっていても、具体的にどんな行動を指すのかよくわからないものです。実際に経験した保護者のエピソードからは、子どもを肯定しながら本人のペースを尊重して待ってあげることや、言葉での愛情表現や共感を意識する大切さがよくわかりました。「うちの子、不登校になるかも」と不安に思っている方や悩んでいる方は、ぜひ今回ご紹介したことを参考にしてみてくださいね。