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村民の声に応えて医院跡にオープンした、関川村の「ぽっかりパン」。

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村民の声に応えて医院跡にオープンした、関川村の「ぽっかりパン」。

関川村にはこれまで10年以上パン屋さんがなく、パン屋を望む声がたくさんあったそうです。そんな声に応えて「旧齋藤医院」という歴史ある建物のなかにオープンしたのが「ぽっかりパン」。古き良きレトロモダンな雰囲気が漂う建物にお邪魔し、オーナーの吉田さんからいろいろなお話を聞いてきました。

ぽっかりパン

吉田 美香 Mika Yoshida

1986年村上市(旧山北町)生まれ。上京して専門学校で製菓を学び、都内の製菓店やカフェ、結婚式場などでパティシエとして腕を磨く。その後は夫と共に関川村へ移住し、地域おこし協力隊として村の歴史的建造物「東桂苑」で働きながらメニューや村特産品の開発に携わり、2023年に「旧齋藤医院」で「ぽっかりパン」をオープンする。

架空のパン屋が、そのまま本物のパン屋になる。

——まさしく「レトロモダン」という言葉がぴったり当てはまる建物ですね。

吉田さん:この建物は「旧齋藤医院」といって、明治後期から平成11年まで続いた内科と産科のお医者さんだったんです。閉院してからも地元の有志によって「旧齋藤医院つなぐプロジェクト」が立ち上げられ、いろいろなイベントやカフェに利用されてきました。私も毎週金曜にパンの販売をしていたんです。

——吉田さんは地域おこし協力隊として、「東桂苑」のカフェで働きながら、関川村の特産品開発に携わっていたんですよね。

吉田さん:はい、「Things」さんには以前も取り上げていただきました。その節はありがとうございました(笑)

——こちらこそ、お世話になりました(笑)。パティシエの吉田さんが、どうして「ぽっかりパン」をオープンすることに?

吉田さん:関川村をPRする「パン屋が欲しい村」という動画を撮影する際に、ここにパン屋のセットを組んだんです。そのときに並べる商品のパンづくりを私が担当したんですが、「せっかくだから、このままパン屋をやってみたら?」と勧められて、架空のパン屋が本物のパン屋になりました(笑)

——よく決心しましたね。

吉田さん:地元の方々の「村にパン屋がほしい」という声は聞いていたんです。関川村には、もう10年以上もパン屋がなかったんですよ。でも、私はパンづくりの経験がなかったので、そのときは他人事のようにその話を聞いていました(笑)。まさか自分がパン屋をやることになるとは思っていなかったですね。

——それにしても、パン屋のセットが本物になるとは(笑)

吉田さん:おかげで私はほとんど何もしていないんです。照明取り付けをはじめ、のぼり旗や看板は地元の方々が準備してくれました。桐ダンスやカゴなんかも皆さんいろいろと提供してくれたんですよ。本当に感謝しています。

——お店に対する期待度の高さが伺えますね。ちなみに「ぽっかりパン」という店名には、どんな由来があるんでしょう?

吉田さん:関川には「棚からぼたもち」に似た「ぽっかりもち」という方言があって、「思いがけずもらった嬉しいもの」という意味があるんです。地元の方々にとって、そんなパンになればいいなと思って名付けました。

地元に寄り添ったパンを届けていきたい。

——吉田さんはパンづくりの経験がなかったんですよね?

吉田さん:趣味でパンづくりをしていた程度だったんです。だから最初は生地の発酵加減を見極めるのが難しかったです。気温や湿度に左右されるので、「酵母」という生きものを扱う難しさを感じました。あと、毎回150個のパンを焼くため、小さなオーブンでまかなうのも大変でした。

——ご苦労もたくさんあるみたいですね。「ぽっかりパン」では、どんなパンに力を入れているんでしょう?

吉田さん:主食として毎日でも食べられるパンをつくるようにしています。だからシンプルで素朴なパンがメインになっているんですよ。地元の保育園にも給食のパンを卸しています。

——地元の方々の生活に密着したパン屋さんなんですね。パンをつくる上でのこだわりがあったら教えてください。

吉田さん:「土地の魅力を生かした農村社会をつくる」という「スマート・テロワール」の考え方に共感して、庄内の生産者が栽培した「ゆきちから」を原料に使っているんです。湯だねも使うことでしっとりもっちりした食感を出しています。

——「土地の魅力を生かす」とい意味では、関川産の食材も使っているんでしょうか?

吉田さん:もちろんです。関川産の野菜や「女川ハム工房」のソーセージなど、できるだけ地場産の食材を使うようにしています。アドリブで試してみることが好きなので、いろいろな食材にチャレンジしているんです。地元に寄り添ったパンを届けていきたいですね。

——地元生産物へのこだわりは強そうですね。

吉田さん:いつかは自分が栽培した作物を使った、パンや料理を提供するのが夢なんです。食べものは人間の営みにいちばん大切だと思うので、ずっと食に携わった仕事を続けていきたいですね。

——パン屋さんをはじめてみてよかったと思いますか?

吉田さん:店をはじめたことで、いろいろな方と出会う機会が増えて楽しいです。パンをつくることが好きというよりも、その先にあるお客様の笑顔が嬉しいんですよ。毎週足を運んでくださるお客様もいるので、そんな方がひとりでもいる限りはパン屋を続けていきたいですね。

ぽっかりパン

岩船郡関川村下関913

025-000-1278

11:00-14:00(土曜は16:00まで)

日〜木曜休

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