福岡・南区の住宅街で、夫婦で営む気どりのない町のパン屋
福岡市中央区と南区を隔てる鴻巣山の南麓にある長丘地区。文教地区でもある閑静な住宅街として人気のエリアで、筆者も10年以上住んでいた思い入れのある町です。中央区に隣接しながら公共交通機関がバスしかないため、JRや市営地下鉄、西鉄大牟田線沿線に比べてアクセスに難があるのは否めません。そんな住宅街の真ん中で、気どりのないパンを焼いて販売しているのが「ベイカーズ・アンクマ」です。
店主の八尋直樹さんは、つい5年程前まで会社勤めをしていましたが、奥さんから手ほどき受けたのをきっかけにパン作りに没頭。ついにパン屋への転身を決意して以前UMAGAでも紹介した人気店「ブランジェ カイチ」で勉強し、長い準備期間を経て今年の5月に店をオープンしました。
決して広くはない店内のおよそ3分の2は、オーブンを据えたガラス張りの厨房スペース。売場の中央に置かれたテーブルを中心に、毎日30種類ほどの手作りパンがディスプレイされています。午前9時の開店直後に店を訪ねると、芳ばしい香りとともにちょうど焼き上がったばかりのパンを八尋さんが売場に並べているところでした。
住宅街の真ん中という立地もあり、地元客に人気なのは食パンやバゲットといった食事用のパンだそうです。中でも一番人気という「ヨーグルト食パン」(390円)は「カイチ」で学んだ技術をアレンジしたもので、自家製ヨーグルト種を使って発酵させたまろやかな味わいが特徴。そのままふんわりとした食感を楽しむのもよし、オーブンで焼いてトーストにするのもよし、お好みの具材を挟んでサンドイッチにするのもよしの万能派です。
同じく定番の「バゲット」(290円)は、素朴な見た目ながら、表面はカリッと中はしっとりとした焼き上がり。毎日食べても飽きがこない、安定感のある美味しさです。
食事にもオヤツにもなる惣菜パンや菓子パンも人気です。日替わりで「マルゲリータ」(250円)や「チーズピザ」(320円)などの種類があるピザは、もっちりとした生地で食べ応えがあります。
小ぶりな「梅干シソ」(150円)は、「家にあった梅干しを余った生地に包んで焼いてみたら意外といけたので商品化しました」という遊び心から生まれたレシピ。これは、お酒のつまみにもよさそうですね。
子どもたちに大人気の「メロンパン」や「あんぱん」「クリームパン」といった菓子パンは各220円。本格的な「カヌレ」も200円と、お手頃な価格も子育て中のファミリー層にとっては嬉しいポイントですね。まだオープンして間もない新店ですが、これからしっかりと長丘の町に親しまれていくパン屋になることでしょう。
Baker’s ANkuma(ベイカーズ・アンクマ)
福岡市南区長丘5-24-20長丘ハイツ1F
営業時間/9:00〜16:00