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【Jリーグ終盤・県勢4チーム展望】各クラブの番記者陣に聞いた「キーマンは誰ですか?」残留、昇格のためのポイントは?

アットエス

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「Jリーグ終盤、県勢4チームの展望」。先生役は静岡新聞運動部部長の寺田拓馬です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年10月3日放送)

正念場のジュビロ磐田

(寺田)今回は終盤戦に入ったサッカーJリーグの話題をたっぷりしたいと思います。

(山田)もうリーグ戦も佳境ですね。

(寺田)まずはJ1磐田。20チーム中18位で自動降格圏。苦境に立っています。

磐田は昨季J2で最後の最後で2位に滑り込み、J1復帰を果たしました。番記者によると、今季は素早い攻守の切り替えから球を保持してパスをつなぐサッカーを目指したんですが、J1のプレスの強さを前に思ったようにできていないのが現状だそうです。

夏場以降は大型FWペイショット選手らにロングボールを蹴る割り切った戦いにシフトしているんですが、攻撃が単調になりがちのようです。静岡学園高出身で21歳の古川陽介選手が9月初めにポーランド1部リーグに期限付き移籍したのも痛かったですかね。

(山田)静岡県民としてはうれしいことなんですけど、ジュビロサポーターからすれば…ね

(寺田)古川選手は攻撃の切り札的存在で、6月の東京V戦では約60メートルをドリブルで独走するゴールを決めてJ1月間ベストゴールと月間ヤングプレーヤー賞を受賞しましたからね。

磐田は残り7試合をどう戦うか。これから対戦するのは、リーグ前半戦で勝っていないチームばかりで残留にはいばらの道が続きます。残留のためには3勝以上が必要になりそうな中、チームを救う救世主になりそうなプレーヤーは誰か。

番記者が期待するのは、今夏C大阪から完全移籍したMFジョルディ・クルークス選手。左利きの右サイドプレーヤーでカットインが持ち味です。まだここまで出場時間が少なくて、彼の良さを生かしきれていないので、いい形でボールがクルークス選手に入れば、局面を打開するキーマンになるはずだと。

ジュビロ磐田の渡辺りょう選手


私がもう一人、期待する選手を挙げるとすれば、27歳のFW渡辺りょう選手。彼は静岡にゆかりの深い選手。2年前の2022年のシーズン途中にJ3沼津から当時J3だった藤枝に移籍し、J2昇格の立役者になった。そしてチームのエースになると、23年の夏移籍でJ1のC大阪に“個人昇格”したんですね。2年間でJ3からJ1まで駆け上がりました。

藤枝にいた時に取材したことがあるんですが、ほんとに「いいやつ」なんです。J3時代はサッカー選手だけでは食べていけず、アルバイトをしてた苦労人でもあるんです。 磐田を救ってほしいです。

(山田)渡辺選手は沼津、藤枝、磐田と県内の3チームでプレーしているんですよね。ぜひ頑張ってほしい。

エスパルスのJ1復帰はいつ?

(寺田)そしてJ2清水。

(山田)清水はもう安心じゃないですか。

(寺田)今季はここまでずっと強さを見せています。2位の横浜FCとの天王山で1−1に追い付いて引き分けた前節、国立競技場はエスパルスのサポーターで埋め尽くされました。

(山田)すごかったですよね、人が。

(寺田)J2史上最多の5万5598人が来場しました。国立のスタンドをすべて埋める力があるクラブってJ1でもそうそうないですよね。番記者によると、静岡駅でも品川駅でも、さらには山手線でもオレンジのサポであふれ返っていたと。

(山田)静岡から国立までのオレンジロードができた(笑)

(寺田)今季ここまでを振り返ると、第4節以降は3位以上をキープして、安定しています。得点もリーグ最多と攻撃力も際立っています。

番記者によると、終盤にかけて交代選手の活躍する試合が目立つそうです。選手間の競争が激しくて、チーム全体の士気が高まっている証拠ですよね。練習で力を示せば、試合で使ってもらえる。いい循環が生まれているんだと思います。

(山田)選手たちのモチベーションも高いってことですよね。

(寺田)残り5試合で現在首位。他会場の結果次第では、10月6日のアウェー水戸戦で3季ぶりのJ1復帰が決まります。

私がキーマンを挙げるなら秋葉監督です。3−2で逆転勝ちしたアウェー藤枝戦の監督会見で、うちの番記者が質問したら、急に声を詰まらせて、みるみる目から涙があふれ出て、男泣きしたんです。

(山田)すごい感情をあらわにする監督ですよねえ。

(寺田)この試合で1得点1アシストの活躍をしたのが清水ユース出身で生え抜きの西沢健太選手。けがが続いて5月以来4カ月ぶりの出場でした。秋葉監督はリハビリする姿も、復帰して試合に出ようと練習でアピールする姿もずっと見てきた。「健太の思い、サポーター、ファミリーの思いが彼に乗り移ってああいうプレーになった。ボールにも乗り移ってゴールに吸い込まれた」って。熱い監督ですよねえ。

(山田)表現がいいですよねえ。

(寺田)この涙に象徴されるように、秋葉監督は選手をよく見てるんだと思います。先ほども交代選手が活躍する試合が目立つようになっていると紹介しましたが、秋葉監督の選手を見極める手腕がシーズンを通してさらに磨かれているんじゃないでしょうか。

藤枝はプレーオフ進出なるか

(山田)次はJ2の藤枝MYFC。今季初めは苦しみました。開幕から4戦勝ちなしで一時は最下位に沈みました。

J2昇格1年目の昨季は夏場に失速して、戦い方を変えました。ガンガン攻めるだけじゃなく、いったん守備のブロックをつくって、機を見て攻める戦い方にマイナーチェンジしました。

でも、それで満足しなかった須藤監督は今季、また針を戻したんですね。「俺たちの戦い方はこんなじゃない。圧倒的にボールを支配して攻め続けるサッカーがしたいんだ」と。

そうしたら逆に得点が取れなくなった。2年目のJ2で相手が藤枝の弱点を研究してきたこともあり、自陣で無理にパスをつなごうとするところを狙われて失点という場面が目立ちました。

でも、今季は去年と違ってやり方を変えなかったんです。「自分たちのスタイルを貫く」と。それで試行錯誤しながらも、流れに乗ったんですね。夏場以降は須藤監督が掲げる「超攻撃的スタイル」が成熟して、昇格プレーオフ圏に肉薄しました。

(山田)今、藤枝は11位。

(寺田)プレーオフ圏の6位との勝ち点差は「7」。須藤監督がプレーオフ出場への目安にした勝ち点60には残り5試合全勝しなければなりません。厳しい状況ではあるんですが、須藤監督も選手も全く諦めていません。

(山田)頑張ってほしい。僕も今シーズンは藤枝に行って、サポーターに話を聞きました。そうしたら「もっと報道しろ」って(笑)。「蹴球都市」の藤枝からも、やっぱりチームへの愛を感じますよね。

(山田)そんな藤枝のキーマンは?

(寺田)キーマンはなんと言ってもFW矢村健選手。“ヤムケン”です。開幕から11試合ゴールを取れずに苦しんだんですが、覚醒しましたね。ここまで得点ランク3位の14ゴールを挙げる不動のエースに成長しました。

彼はほんとプロ意識が高いんです。169センチと小柄なんですが、ユニホームを脱ぐと体が鋼のよう。上半身はサッカー選手と言うより、レスリング選手みたいなんです。

(山田)ムキムキなんですね(笑)

(寺田)無理な体勢からでもゴールを狙う貪欲さが持ち味で、試合はもちろん、練習でもチームメートから「素晴らしい」とか「スーパー」って声が掛かるゴールを決めるんです。ピッチの外でも真摯な姿勢を貫いていて、「すべてはサッカーにつながる。後悔しないように生活したい」って。背中でプロ選手としての生き方を示しています。

(山田)須藤監督のやりたいサッカーを体現してますよね。

(寺田)プレーオフ進出に向けて、チームがここからさらに勝ち続けるにはエースのさらなる爆発が不可欠です。

アスルクラロ沼津の“逆転昇格”はあるか

(寺田)次はJ3のアスルクラロ沼津。番記者によると、昨季の主力が大勢残り、今季はゴン中山監督の求めるハードワークを徹底してきたそうです。開幕から攻守にわたってアグレッシブなプレーを見せて自動昇格争いを続けていたんですが、8月下旬の今治戦から今季初の4連敗を喫してしまいました。勢いを取り戻したいところです。

現在4位の沼津と自動昇格圏の2位今治との勝ち点差は9。プレーオフに出場して昇格を狙う場合を想定すると、ホームで強い沼津としては3位か4位に残って愛鷹での試合に持ち込みたい。

キーマンは誰かと番記者に聞いたら、前節5か月ぶりのゴールを決めたチーム内得点王のFW和田育(はぐみ)選手を挙げました。和田選手は23歳。「残り8試合、全部勝って昇格したい」と意気込む若手に、再びチームをけん引する勢いを見せてほしいということでした。

もう一人挙げるなら、伊東輝悦選手。テルさんは50歳で私と同い年。Jリーグ現役最年長プレーヤーです。いまだに若手と同じメニューをこなしているそうです。

(山田)すごいっすね。

(寺田)年齢に負けず走り続ける姿に、チームメートは「テルさんがやっているのに、弱音は言えない」って。そりゃそうなりますよね(笑)

(山田)誰も何も言えないですよね(笑)

(寺田)サッカー愛にあふれた鉄人にもチームを盛り上げてもらい、最終盤の勝負どころで経験を還元してほしいですね。

(山田)アスルクラロも熱いですね。

(寺田)リーグ最終盤の戦い、4チームとも期待して見守りたいです。

(山田)4チームを応援できる我々は恵まれていますよね。今日の勉強はこれでおしまい!

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