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海水浴の脅威<アカクラゲ>刺された場合の対処法 お酢をかけるのは逆効果?

サカナト

アカクラゲ(提供:PhotoAC)

海水浴で出会うことのあるクラゲの1種、アカクラゲ

毒性は強く、刺されるとかなりの痛みを伴うことが知られています。一方で、いざアカクラゲに刺されてしまったら、どのように対処すれば良いのか分からないという人も多いでしょう。

アカクラゲに刺された場合の予防策や対処法には、どのようなものがあるでしょうか。

【画像】25年間で2865件の被害があった猛毒を持つ<ハブクラゲ>

アカクラゲに刺されたらどうなる?

アカクラゲには特徴的な長い触手があります。

しかしこの触手には毒針があり、刺されるとピリッとした強い痛みを感じ、数日後には「ミミズ腫れ」のような痕ができます。また激しい痛みや痒みは、約1週間ほど続くと言われています。

命を落とす危険性はないものの、発熱を起こしたり頭痛や下痢が生じたりする可能性があるほか、何度も何度も同じ箇所を刺されると、稀にアナフィラキシーショックを引き起こすこともあるといいます。

したがって、アカクラゲを見つけたら近寄らないことがいちばんです。

アカクラゲに刺された場合の対処法の手順

アカクラゲの長い触手(提供:PhotoAC)

アカクラゲに刺されると、突然のことでパニックになってしまう人が多いと思います。でも適切な対処をすることで、症状を最低限に抑えることができます。

そこで、アカクラゲに刺された場合の対処法を、以下5つの手順に分けて説明していきます。

1. まずは海から上がる

アカクラゲに刺されたら、まずは直ぐに海から陸に上がりましょう。ずっと海の中にいると、今度は別のアカクラゲに刺される可能性も考えられます。

陸に上がる際は、二次被害を防ぐためにも、「安全な場所」に移動することが大切です。

2. 触手を取り除く

触手が目で見て確認できるほど残っている場合は、手袋を着用し、ピンセットなどを用いて手早く触手を取り除いてください。

素手で触ってしまうと、触手に残った刺胞が指に付着し、そのまま顔や他の部位に触れた結果、二次被害を引き起こす可能性も考えられるため、素手で触れるのは控えましょう。

少しでも素手に触れてしまった場合は、直ぐに海水または水道水で洗い流してください。

3. 海水中で洗い流す

触手が上手く取り除けない場合は、アカクラゲに刺された箇所を海水中で洗い流しましょう。洗い流す際は、できるだけ刺胞に刺激を与えないように、優しく洗い流すことが大切です。

ちなみに触手が目で見て分からない場合は、むやみやたらに海水中で洗い流したり、刺胞を刺激させたりしないよう注意してください。

4. 温めるor冷やす

専門家の間では意見が分かれているようですが、アカクラゲに刺された箇所の対処の一つに「温める」方法があります。

これは、アカクラゲの毒の主成分であるタンパク質毒素が40度以上の熱に弱いからです。40度以上のお湯で患部を20から30分ほど温めることで、痛みは和らいでくるといいます。

一方、刺された箇所を冷やした方が痛みが和らぐ場合もあるようです。冷やす際は、保冷剤や冷やしたタオルやペットボトルを用いて患部に当てると良いでしょう。

5. 医療機関を受診する

全ての応急処置が完了したとしても、念のため医療機関を受診しましょう。

お酢をかけるのは適切な対処法なのか?

クラゲに刺された際の対処法として、「お酢をかける」ということが言われることがあります。

確かに、アンドンクラゲやハブクラゲなどハコクラゲと呼ばれるグループのクラゲに刺された場合は、患部にお酢をかけることで毒針の発射機能を抑えることができるといいます。ただし、体内に入った毒には作用しないため、症状を緩和することはできません。

一方、アカクラゲをはじめとしたハコクラゲではないクラゲの場合は、お酢をかけると毒針が飛び出してくるのでかえって逆効果。お酢を用いての応急処置は控えましょう。

刺された痕だけを見て、なんのクラゲに刺されたかを判断することはとても難しいです。クラゲの形を目視できたとて、種類の判別は困難でしょう。よって、海水中で何かに刺された場合はお酢を使用するのは控え、医療機関にて適切な治療を受けましょう。

アカクラゲに刺されないための予防策は?

アカクラゲを含むクラゲに刺されないためには、できるだけ皮膚を出さないことが大事。特に首や腕、足をしっかりと覆うことが大切なので、ラッシュガードやウェットスーツを着用するのが望ましいです。

また死んでいるクラゲであっても、絶対に近寄らないこと。特に小さな子どもは興味本位で近づいてしまう場合があるため、必ず保護者が近くで見守っていなければなりません。

もうすぐ夏がやってきます。海に行く人も多いと思いますが、クラゲに刺されないよう、そして刺されても適切な対処がとれるよう気をつけてくださいね。

(サカナトライター:米澤菜保)

参考文献

クラゲにさされたら-公益財団法人 日本ライフセービング協会

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