「DRONE STAR TRAINING」国家資格の操縦技術を"お家で練習"できるこだわりの練習用ミニドローン[Japan Drone 2024]
国家資格取得に必要な実地試験の練習を自宅でできるミニドローンが登場。基礎操縦力を効果的に鍛える「DRONE STAR TRAINING」を紹介する
ドローン(無人航空機)の国家資格講座の講師をしていて感じるのは、自主練習を積み重ねて基礎操縦力をつけることの大切さです。とは言え、初学者の場合は特に、屋外で操縦練習をするのは難しいため、市販ミニドローンを活用した自主練習を推奨しています。しかし、ミニドローンは(悪い意味で)操縦しやすかったり、(悪い意味で)操縦して楽しい脚色があるのも事実。そこで登場したのが、今回ご紹介する国家資格試験の実技練習がお家でできるこだわりの練習用ミニドローン「DRONE STAR TRAINING」です。
国家資格試験コース練習用としてこだわりまくった DRONE STAR TRAINING
DRONE STAR TRAININGは、以前"楽しみながら学ぶ"をコンセプトに登場したミニドローン「DRONE STAR PARTY」のドローン国家資格コース練習バージョンです。PARTYにはなかった物理コントローラーとビジョンセンサーのON/OFF機能を搭載し、国家資格取得に必要な実地試験の練習を自宅ですることができます。
機体本体とコントローラー。ホワイトのカラーリングで統一されており、機体の位置も見やすい。スクールオリジナルのロゴを貼ったり、自分専用のデコレーションなども楽しそう
特にコントローラーは、市販ミニドローンにありがちなスティック入力の"遊び"(入力しても機体が反応しない範囲)が少なく、操縦スティックもバネが程よく強くなっています(一般的なミニドローンはゲームコントローラーのような感覚の入力が柔らかいものが多い)。もはやミニドローンのコントローラーというよりも、精度の高い空撮用ドローンのコントローラーで操縦をしているような感覚でミニドローンを操縦できます。
Japan Drone 2024でのブースでは、約1/4サイズの国家資格試験コースがセッティングされており、DRONE STAR TRAININGの体験操縦をする人の列が途切れることがありませんでした。操縦体験者の中には既に一等無人航空機操縦士資格を取得済みの方もおり、そのような経験者の方にもコントローラーの操作感は好評のようでした。
Japan Drone 2024でのブース。操縦体験は事前予約と当日参加で列が途切れないくらい人気だった
また、水平方向の安定機能であるビジョンセンサーをコントローラー側からON/OFFできるので、DJI PhantomシリーズのようなPモード/ATTIモードを擬似的に再現できるのもDRONE STAR TRAININGの特徴のひとつです。国家資格コースに合わせた練習が1機のミニドローンでできてしまいます。
コントローラーのON/OFFスイッチを押すだけでビジョンセンサーをON/OFFできる
ほかにも、操縦モードの切り替え(mode 1/mode 2)や着脱式のバッテリー、角度を変えることができる機体カメラ、メトロノーム機能など、練習に必要な機能が全て小さな12cm(50.5g)の機体に収まっています。
ミニドローンとは思えない高精細な操縦感覚
実際に操縦した感覚は、機体は小さいながら空撮機のような感覚です。普段、筆者が練習用に使っている機体はスティックのバネが弱く、まっすぐ前や横に入力が入っているのかわかりにくいのですが、DRONE STAR TRAININGのコントローラーはバネが強いため自分が入力している方向や強さがよくわかります。
また、入力に対する反応の解像度も高いと思われ、ちょっと入力すれば機体もちょっと加速、逆にちょっと入力を弱めれば機体もちょっと減速します。とても細かいところですが、一般的なミニドローンは入力に対する解像度もそれほど高くないため、この"ちょっと"の変化が感じにくく、そこが国家資格試験で使う機体との自宅練習時の操作感覚の大きな差にもなっています。
コントローラーのリニア感はミニドローンとは思えないレベル
DRONE STAR TRAININGはスティックのバネが強いので、慣れないうちは飛行の出だしの加減が難しく急加速や急減速してしまうこともあるのですが、これもまた国家資格試験で使う機体に似た感じで練習に活かせると感じました。特に、減速しすぎて止まってしまう(国家資格の減点項目でいうところの「不円滑」)ところなどは、DRONE STAR TRAININGで克服できると本番の国家資格試験でも活かせそうです。
DRONE STAR TRAININGを使った国家資格(二等)の操縦練習の例
では、実際に国家資格コースを想定した操縦練習はどのようにすればよいのでしょうか? 筆者が操縦した感覚から、その例を下記にいくつか提案したいと思います。
ポイントは、国家資格試験コースの"要素"を自宅で練習するのに適した機体…ということです。コースそのものの飛行方法などはシミュレーター等のバーチャルも含めたリアルサイズの練習がよいと思っています。DRONE STAR TRAININGで練習できるのは、各試験コースで減点少なく周回するために必要な基礎操縦能力の向上を狙ったものです。では、ひとつひとつ見ていきましょう。
練習法(1):基礎ホバリング技術の習得
何はともあれ、機体がどのような向きでもホバリングが安定してできないとドローンの安定した操縦はできません。DRONE STAR TRAININGには1秒に1回「カチッカチッ」と音がなるメトロノーム機能がありますので、8秒に1回ずつランダムに向きを変えながら決められた範囲(60cm四方くらいがベスト)でホバリングする練習を繰り返し行いましょう。
自分のタイミングではなく、メトロノームの外的要素のタイミングで機体の向きをランダムに変えることによって、どのような向きでも入力方向を間違わない頭と指の育成ができます。まずは、前向き(正面)、対面、右向き、左向き…と機体の向きを90°変えながら練習してみてください(向きの順番はランダム)。慣れてきたら、右斜め前、左斜め前、など、45°刻みの向き(正確なスティック入力が難しくなる)でのホバリングにもチャレンジしていただくと、より正確なスティック入力による安定したホバリングができるようになります。
練習法(2):二等資格「スクエア飛行」
国家資格試験コースのひとつ目は、水平方向の安定機能をONにして四角いコースを反時計周りに周回する「スクエア飛行」です。ポイントは「ゆっくり・まっすぐ・一定速度」で飛行させること。
出典:国土交通省
約1/4サイズのコースで考えると、3m×1mの四角いコースとなりますので、四つ角で止まりながらゆっくり・まっすぐ・一定速度で飛行させてください。メトロノーム機能を活用し、A⇒B間(1.5m)を5秒、B⇒C間(1m)を4秒、C⇒D間を10秒程度のゆっくりとした速度を一定に保ちながらまっすぐと飛ばせるようになれば、試験本番の機体でも安定して飛ばすことができるでしょう。
練習法(3):二等資格「8の字飛行」
ふたつ目のコースは、水平方向の安定機能をONにして8の字レイアウトのコースを飛行します。ここでのポイントは、「ゆっくりと一定の速度と一定のラダー角で旋回する」ことです。一定速度の前進と一定角度のラダーで真円を描くように飛行することでスティック入力をシンプル化し、機体の乱れを最小限にすることで減点を防ぎます。
出典:国土交通省
8の字飛行コースを想定した直径1.5mほどの円を目標物として床に設定し(可能であれば円を2つ配置して8の字が作れるとよい)、ゆっくりと一定の速度と一定のラダー角で周回しましょう。途中で止まってしまったり、大きく円から外れてしまったりしないように、きれいな円を描くことを心がけてください。機体のカメラを下に向けると機体が通ったルートを録画できるので、円を描けているかどうか検証することもできます。
10秒で(メトロノーム機能を使えばかんたんに計れます)円を1周できるくらいのゆっくりとした速度で、そして途中で止まることなく周回できれば8の字飛行コースを最小限の減点で回れるはずです。
練習法(4):二等資格「異常事態の発生時の飛行」
最後のコースは、水平方向の安定機能をOFFにして飛行する「異常事態の発生時の飛行」です。タイトルの通り、センサー等にトラブルが発生した想定で、水平方向の安定機能がOFFの状態で緊急着陸させます。
出典:国土交通省
この試験コースのポイントは、水平方向の安定機能をOFFの状態で適切な飛行経路を維持できるかどうかです。DRONE STAR TRAININGでは、ビジョンセンサーをOFFにすると水平方向の安定機能をOFFの状態をつくることができます。しかも、一般的なミニドローンでありがちな、自身のプロペラの気流で軽い機体が不安定に煽られるような状態ではなく、DJI Phantomのようなじわじわと機体が一定方向に流されていく状態になります。この状態のDRONE STAR TRAININGを使って一定の場所に留まり続けるホバリングを練習してください。
初心者のホバリングは、機体が流れてからもとの位置に戻すような動きのホバリングが多く見受けられます。このホバリング練習で習得した技術だと飛行経路を維持できないため、コースアウトの減点リスクをはらんでしまいます。機体の流れる方向をよく見て、当て舵を入れ続けることで機体がその場所を維持する(ビジョンセンサーがONになったような状態の)ホバリングができるように練習を重ねてみてください。
機体がその場所を維持し続けるホバリングができるようになったら、異常事態の発生時の飛行のコースのB⇒E間の移動のように、3m程度の距離を一定の速度でゆっくりと横移動(機体を前に向けたまま移動)する練習をしてみましょう。ここでもメトロノーム機能を使って10秒でB⇒E間、もしくはE⇒B間を一定の速度で移動できるように練習しましょう。
DRONE STAR TRAININGは試験コース操縦の"要素"をお家で練習できる
ミニドローンを安定して操縦できる人は国家資格試験コースでも実機を安定して飛行させることができます。しかし、一般のミニドローンではコントローラーの遊びが大きいためにスティック操作が大きくなってしまうクセがついたり、微妙なスティック操作に機体が反応しなかったりと、意外と減点に直結する部分がルーズです。そもそも、ビジョンセンサーのON/OFF機能を搭載している機体も少ないので、コース要素によって機体を複数使い分ける必要がありますが、それも現実的ではありません。
そんな国家資格試験の自主練の悩みを一気に解決してくれそうなDRONE STAR TRAINING。国家資格試験コースの"要素"を練習し基礎操縦力を向上させることが大いに期待できます。発売は7月予定で、25700円(税込)とのこと。以下のサイトでドローンスクール向けにも個人向けにも先行予約受付中なので、ご興味がある方はぜひ覗いてみてください。
Japan Drone 2024