20代のビギナーライダーのスキルアップを目指して!U30スズキセイフティスクールに密着
スズキ株式会社(以下、スズキ)の「U30スズキセイフティスクール」は、バイクの基本操作を学びたい30歳以下のライダーを対象に基礎練習を行うビギナー向けのスクールです。自動車と違ってバイクの教習では公道を走行しての教習がないため、実際に公道を走るのが怖いという若年ライダーも少なくありません。そうした方々を対象に、若年層だけで学ぶビギナースクールを発足させたスズキがどのような講習を行っているのか、実際にスクールにお邪魔しました。
概要
「初めてバイクを購入するも、早い段階で手放してしまう若い人がいる」「若者の免許取得数は増えているのに、バイクには乗っていない」といった声が聞こえていた2019年、その理由が「自身のライディングスキルへの不安」「バイクで公道を走ることへの不安」などであったことから、バイクメーカーとして何とかしたいと考えたところから始まったのがこの「U30スズキセイフティスクール」です。バイクライフへのあと一歩を踏み出せずにいる若年層をサポートするため、「U30」(30歳以下)のバイク免許保有者を対象としています。
コロナ禍での中断期間を挟んで2023年に再開、今年度(2024年)は年5回の開催されておりましたブレーキングや低速バランス、スラロームといった基本的な操作の反復練習を主体として、ひとつひとつの操作を順序立てて行うことで落ち着いて運転できるようスキルアップを図るのが目的で運営されています。
レンタル車両:スズキ GSX250R
「U30スズキセイフティスクール」のレンタル車両は「GSX250R」です。 街乗りにおける日常的な扱いやすさとスポーティなスタイリングを特徴とした排気量250ccの水冷2気筒エンジンを搭載したロードスポーツモデルです。スリム&軽量なボディとセパレートタイプのハンドルながらも快適なライディングポジション、そして低速域で粘り強くて、クラッチミート(クラッチのコントロール)がしやすく、初心者でも比較的扱いやすいエンジン特性であることから採用されています。
スクールレポート
この日の会場であるセイコーモータースクール(埼玉県ふじみ野市)のロビーで開校式が行われました。株式会社スズキ二輪 広報営業企画部 安全運転課 係長で、スクールの進行・解説を担当する大束晴彦氏(以下、大束氏)の挨拶からはじまり、講師陣や運営スタッフの紹介、スクールの成り立ちとカリキュラムの説明の後、その場で座学が開始されます。
座学の内容は、二輪車の重大事故についての説明となり、2016〜2020年までの交通事故の統計データをまとめた資料を見ながら、死亡重傷事故の事故類型の内訳を説明。出会い頭と右折直進による事故が多く、バイクとの衝突事故の大半が乗用車であることを伝えて、車両単独事故の原因等を解説していきます。加えてヘルメット着用離脱について、あご紐の重要性も語られました。
「30歳以下のバイク初心者を対象とした安全運転スクールなので、“走る、曲がる、止まる”という基本スキルを改めて学ぶ内容になっています。スクール担当者として、楽しく学べて分かりやすく教えていきたいと考えています。基本的なカリキュラムを軸に、受講者のスキルに合わせたメニューを考案しています」(大束氏)
座学の後は屋外での講習です。ハンドルに対する腕の位置やタンクのニーグリップ、乗車姿勢、車体の取り回し方、点検時のポイントと覚え方を解説します。走行スピードによって変わる制動距離については、講師がバイクで走ってみせます。速度によって制動位置が違うさまを、受講者は食い入るように見ていました。
午前の走行は、ブレーキング講習から始まりました。指定された速度で直線コースを走り、その先に置かれているパイロンで停止する講習で、まずは講師によるブレーキングを見てから受講者が取り組みます。パイロンで停止した受講者に講師が近づき、より安全にバランスよく停車するためのアドバイスをして、うまくできるよう再びチャレンジします。見事講師から「GOOD」と評価された受講者は皆笑顔を浮かべていました。ギアを1速に指定して低速走行をしながら車体バランスを保たせる「低速バランス」でも、当初は受講者も苦戦していましたが、講師のアドバイスを得ると全員が低速でも車体を安定させられるようになりました。
パイロンスラロームとコーススラロームでカリキュラムが組まれた午後の部は、等間隔にパイロンが置かれた直線コースを左右交互にかわしながら走るパイロンスラロームからスタートします。ブレーキング講習と同様に、受講者が取り組む様子を講師が観察し、個々の改善ポイントをアドバイスします。
パイロンスラロームの内容は、2種類のコースが準備され、直列に並べたパイロンをかわす直列スラローム、次にパイロンを左右に置いた千鳥(ちどり)スラロームの走行を行います。
ここで大事なのは、コースの状況に応じたアクセル操作を行うことです。直列スラロームでは、小刻みでリズムよく操作します。千鳥スラロームでは、先ほどの操作とあわせて、加速と減速を組み合わせて、大きく曲がる練習を行います。曲がるときはゆっくりと、そこからバイクを立ち上がらせるためにしっかりと加速させてやり、バランスよくスラロームを回っていきます。
小休止後には、コース全体にパイロンが配置されたコーススラロームが実施されました。実際に公道で走るシチュエーションを想定したコースが作られ、これまで学んだ内容を振り返ります。
はじめは受講者全員が緊張している様子でしたが、ここでも個別のアドバイスを受け、明るく真剣な雰囲気で取り組みました。
スクール開始時は緊張気味だった受講者も、カリキュラムが進むごとに次第に慣れていき、リラックスしながら楽しむ姿が見られました。
「スクールの最初と最後では、受講者の雰囲気が変わっていく様子を感じます。休憩中には初見の受講者同士でコミュニケーションを図っていて、年代の近さもあってか和やかな雰囲気でスクールを楽しんでくれています。
『ツーリングをめいっぱい楽しむために、正しいライディング技術を学びたい』、そんな思いでスクールに参加されている印象を受けます。私たちもさまざまな視点を意識しつつ、若いライダーが長くバイクを楽しんでもらえればと思いますし、そのためのお手伝いやアドバイスは惜しみなく伝えていきたいですね」(大束氏)
受講者に話を聞いた
「スズキの公式X(旧Twitter)でスクールのことを知って、ここ(セイコーモータースクール)が家から近かったので今日の受講となりました。昨年11月にバイク免許を取得したばかりで経験が少なく、ライディングの基礎をしっかり学びたかったんです。実際にスクールに参加してみて、自分のクセなどを改めて見直せた感じで良かったです。初めて参加する人は、友人と一緒だとお互いの様子を見られて良いかもしれませんね」
「バイク専門誌のウェブサイトでこのスクールのことを知りました。ライディングに自信がないわけではないのですが、プロの指導者から見て自分の乗り方は正しいのかを知りたくて参加しました。『ちゃんとできてるよ』と指導者に言ってもらえて、自信につながりました。さらに上のクラスのスクールにも興味はあるので、次の機会に是非参加してみたいと思います」
「今日はツーリング仲間と一緒に参加しました。スクールのことは、東京モーターサイクルショーのスズキブースで知ったんです。このようなスクールに参加したことがなかったので、一度は参加してみようと思ったのが理由です。どうしても(ライディングが)自己流になってしまうので、正しいライディングを学べて良かったです。また参加したいと思います」(小川さん)
「友人(小川さん)の誘いで今回参加しました。実は、今乗っているバイクよりも大きなモデルに乗りたいと思っていたんですが、今回のスクールでまだ実力が足りていないと実感し、もうちょっと頑張りたいと思いました。こうして参加してみて、良かったです。大きなバイクには乗りたいので、またの機会に(スクールに)参加したいです!」(塚本さん)
バイクに乗るのが楽しくなるスクール
定員が20名という「U30スズキセイフティスクール」は、ほぼマンツーマンとも言える講師の数とのバランスもあって、基本的なカリキュラムを踏襲しつつも個々のレベルに合ったメニューが組まれ、着実にステップアップしていける内容になっているのが大きな魅力です。受講者のライディングスキル上達への意欲も高く、目標を持って取り組んでいました。
「思うように操れないことでバイクから離れていく人を手助けすべく、本スクールの認知度を高めていきたい」と大束さんは語ります。少しでも楽しくバイクを操れるようになりたい、自身のライディングレベルがどのぐらいか知りたいという方は、是非「U30スズキセイフティスクール」に参加してみてください。あなたなら超えられる目標が必ず見つかるでしょう。
お問い合わせ先:U30 スズキセイフティスクール 、Riding School(カワサキ) 、HondaGO BIKE LESSON 、YRA(ヤマハライディングアカデミー)