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「自閉症の息子とコミュニケーションを取りたい」腕にアルファベットのタトゥーを入れた両親(ブラジル)

Techinsight

最も重い自閉スペクトラム症(レベル3)で言葉が出ないフェリペ君(7)と母アニーさん(『Annie Coutinho Instagram「Príncipe!」』より)

自閉スペクトラム症で言葉が出ない7歳の息子のため、両親はアルファベットの文字盤を使ってコミュニケーションを取る方法を取り入れた。すると息子が強い関心を示し、両親は「必要な時にすぐに使えるように」と腕の内側にアルファベットのタトゥーを入れた。SNSで大きな反響を呼んだ“愛溢れる”親子の動画とともに、ブラジルのネットメディア『Crescer』などが伝えた。

父の腕にあるアルファベットのタトゥーを指差して、意思を伝える息子。大反響を呼んだ動画はこちら

ブラジル、サンパウロ州ラガンサ・パウリスタに住む医師アニー・コウチーニョさん(Annie Coutinho)とその夫ラファエル・ボルヘスさん(Rafael Borges)は、腕の内側にアルファベットのタトゥーを入れている。

2人がタトゥーを入れたのは、自閉スペクトラム症(ASD)で言葉が出ない長男フェリペ君(Felipe、7)と「どこにいてもすぐにコミュニケーションを取ることができるように」との思いからで、Instagramには親子のやりとりが多数投稿されている。

フェリペ君が「最も重度であるレベル3のASD」と診断されたのは1歳6か月の時で、両親はそれ以来、セラピーを受けながら「いかにコミュニケーションを取るか」に焦点を置き、息子を支えてきた。

フェリペ君は、読み書きはできるが言葉が出ない自閉症で、話すために必要な舌や唇、口、顎の運動を指令する脳の機能に異常がある発語失行を患っている。

そこでアニーさんは4年前、言葉を使わずに絵や文字盤、タブレットなどを用いて意思を伝える「拡大・代替コミュニケーション(AAC)」を活用し始めた。

そしてフェリペ君はまず、画像のイメージをタッチすると「僕はお腹が空いている」などと音声で読み上げてくれるタブレットを使い始めた。また両親は、フェリペ君が書く(単語を綴る)ことでコミュニケーションを取ることができるように文字盤を導入した。

アニーさんは、「フェリペが使用したのは、アルファベットがプリントされた紙や木製の文字盤だったわ。でも『いつでもどこでも、すぐにコミュニケーションが取れるように』と腕にアルファベットのタトゥーを入れることにしたのよ」と明かす。

そして5月24日にアニーさんが、7月30日にはラファエルさんがタトゥーを入れ、Instagramにタトゥーを通した息子との会話を捉えた動画を投稿してきた。

特に、日本時間8月5日に公開された動画は、27日までの再生回数が580万回を超えるほど大きな反響を呼んだ。動画には、屋内遊園地で遊ぶフェリペ君に対して、アニーさんが「次は何をしたい? もうここを出る? それとももっと遊ぶ?」と問いかける場面が収められている。これに対し、フェリペ君はラファエルさんの腕に彫られたアルファベットを指差し、「MAIS(もっと)」と綴った。この動画には、次のようなコメントが寄せられている。

「これは今まで見た中でも最高のタトゥー。」
「父親はスーパーマンだね。」
「とても感動したわ。親の愛って凄い。」
「なんて素敵な家族なの!」
「私の娘もASD。タブレットでコミュニケーションを取っているんだ。これはインスパイアされるよ。」

なおフェリペ君にはASDである4歳の妹がいるが、妹はレベル1であり、コミュニケーションを取ることができるという。アニーさんは「ASDに対しての偏見をなくしたい」という強い思いがあるそうで、このように述べた。

「フェリペは、ほかのどんな方法よりもスペルを綴ることに集中し、興味を示しているようなの。そうすることで自分の意思をいち早く伝えることができるから。タトゥーは将来、あの子が自由に文字を書くことができるように学ぶための手段にすぎないけど、動画が拡散したことでネガティブなコメントではなく、たくさんの愛の言葉が寄せられているのよ!」

ちなみに昨年、自閉スペクトラム症で会話が成立しなかった6歳の男児が、初めて母の「グッドモーニング(おはよう)」の呼びかけに答える動画が注目された。母は当時のことを「幸せが溢れ出した瞬間」と述べ、人々の心を揺さぶった。

画像は『Annie Coutinho Instagram「Príncipe!」「Mãe e pai」』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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