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群馬県民が愛する「上毛かるた」の魅力と「かるた館」の見どころ

ソトコトオンライン

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みなさんの故郷には郷土かるたはありますか? 筆者の住む群馬県には「上毛かるた」と呼ばれるものがあり、子どもから大人まで県民に親しまれています。テレビなどでも多々紹介されているので、名前ぐらいは聞いたことがある人もいるかもしれませんね。ここでは、そんな群馬のローカル魂が詰まった上毛かるたと歴史や文化、そして上毛かるたの情報を博物館レベルでコアに発信する「かるた館」をご紹介しましょう。

群馬の魅力が詰まった上毛かるたと、その誕生秘話

上毛かるたとは?!

上毛かるたとは、群馬県の主要都市や上毛三山、人物や地理、風物、名湯、さらに名産物などが幅広く詠まれている郷土かるたです。

かつて群馬県は、日本の律令制で上野国(こうずけのくに・かみつけのくに)別名上毛とも呼ばれていたこともあり、上毛かるたと名付けられました。絵札と読み札の構成で全部で44札あり、初版から改訂を重ね、今は現代版が販売されています。また、1998年には英語版も登場し、外国人にも親しまれています。

上毛かるたのルール

上毛かるたには大会があり、個人と団体の2種類に分かれます。個人戦は一対一、団体戦は三対三で行います。最初に群馬の形を詠んだ札の「つる舞う形の群馬県」が2回詠まれ競技の開始です。

個人戦の勝ち負けは札の数で決まります。団体戦はこれに役札の得点を加え、合計点の多い方が勝ち。群馬県NO.1を目指し、白熱の戦いが繰り広げられます。

群馬で幼少期を過ごした人なら誰でも知っているのは、この大会で優勝するために、小学生の時から学校や地域の子ども会などでかるたを練習し、心と頭の中にかるたの絵札と読み札が刷り込まれているからなのです。

1948年に初めてかるた競技県大会が行われ、2017年には70回を迎えました。

また2013年には東京銀座のアンテナショップで大人の上毛かるた全国大会が行われ、2024年10月には第9回目の開催も決定しています。

上毛かるたは、県全体に浸透し県民の心に刻まれ、愛されている全国でも珍しい郷土かるたなのです。

大人の上毛かるた全国大会の詳細等について

上毛かるたが生まれた時代背景と誕生秘話

1945年8月15日、日本は第二次世界大戦で敗戦し、食べ物・着るものもなく、生活もままならず、国中が悲しみと無力感にあふれる時代。

戦後に、歴史や地理の授業を受けることができなかった子どもたちに群馬の歴史や文化を伝えたい、希望が持てるものを与えたいと、戦争犠牲者の支援にあたっていた浦野匡彦氏は考えていました。

戦後引揚者の集まりで、キリスト教伝道者の須田清基氏と出会い、かるたを通じて群馬の歴史や文化を伝えてはどうか?!と提案されたことで、浦野氏はかるたを作ることを決意しました。

1947年1月の上毛新聞で構想を発表し、画材を募集。郷土史家や文化人などの編集委員18人が44句を選び、前橋市の洋画家、小見辰男氏が札の絵を描き、丸山清康氏が読み札の裏の解説を作り、初版が1947年(昭和22年)12月に誕生しました。1955年と1968年に絵札の改訂が2回行われ、今は現代版が販売されています。

「かるた館」は常設展示を行う上毛かるたの博物館

かつてのドライブインを改装してできたかるた館

場所は東吾妻町の吾妻川に沿って走る国道145号沿い、かつてドライブインだった場所を改装し、2022年11月にかるた館が誕生しました。誰が見てもひと目で、ここかるた館だ!とわかります。なぜなら駐車場に上毛かるたの札が多数並んでいるから。見ただけで群馬県民の心をくすぐります。

開店時間を狙っていけば、自分の好きな札と写真撮影ができるかもしれませんよ。

コンセプトは、「群馬」と「上毛かるた愛」

県庁や群馬県立歴史博物館などで企画展などは行われるものの、群馬県内で上毛かるたにまつわる常設展示を行うのはここだけ。東京に本社を持ち、お菓子や食品、雑貨などを手がける『株式会社アジル』がかるた館を生み出しました。

故郷の群馬にちなんだ上毛かるたの魅力をより多くの人に伝えたい、またかるたに触れることで笑顔になれるコミュニティースペースでありたい。さらに歴史・文化・観光・グルメ・遊び・街ネタ・イベントなどの情報を発信する拠点でありたい、という想いが詰まっています。

館内には上毛かるたにまつわる展示がたくさん!

館内に一歩足を踏み入れると、上毛かるたのすべての札と説明のパネルが展示されています。大きい絵札の現代版が目に止まりますが、下の説明をみてみると初版と1955年の改訂版が並び、絵の違いで歴史を感じます。

近くには札にまつわるアイテムが置かれているものもあります。

こちらは「あ」の札。「浅間のいたずら鬼の押出し」と詠まれ、浅間山の大噴火が起きた際に流れ出た溶岩が展示されています。館長に声をかければ触ることもできますよ。

またこちらは「め」の札にちなんで、今はもう作られていない幻の伊勢崎銘仙が展示されています。

そしてこちらは本物の蒟蒻芋。下仁田の名産ねぎとこんにゃくを詠んだ「ね」の札のところでみられますよ。

このようにかるた館では、かるたの札や札の意味をはじめ、実際に札のモチーフとなった展示もあり、見て触れることができる博物館的存在となっています。

さらにかるた大会で実際に受賞された方の優勝カップやメダルなども展示されています。

お土産にピッタリ!かるたと群馬にちなんだグッズを販売

上毛かるたや書籍をはじめ、オリジナルグッズ、お菓子や食品などがたくさん並びお土産にぴったり!

キーホルダーやストラップ、ピアス、イヤリングなど、思わず手にしたくなるオリジナルグッズがたくさん並びます。

44札全てのアイテムが揃っていますよ。ちなみにイヤリングは特に女子高生や若い女性に人気があるそうです。

レジの前には英語版の上毛かるたもあり、外国人観光客にもお土産として人気。

また、食品も充実しており、ひもかわうどんや下仁田ねぎしぐれなど群馬定番のお土産や、「上州もつ煮の辛み玉」、スナック菓子の「上毛パスタ」などのオリジナルグルメも並びます。

筆者イチオシのお土産は「ぐんかり」。

上毛かるたの札をモチーフにしたラッピングが施された「ぐんかり」は、丸い一口サイズのお菓子で、軽くてサクッと食べられ、口の中で溶けていくほどまろやか。ほっこり優しい味わいのミルクと濃厚で香ばしい味噌の2つの味があります。

ちなみにオリジナル商品は全て、かるた館のお隣にある自社工場で製造しているのだそうです。

上毛かるたゆかりのスポット

鶴舞う形の群馬県

群馬県の形は鶴が飛ぶ姿に模され、その美しさを表現した札。群馬県の形の上に鶴が羽ばたく姿が描かれています。上毛かるたの中でも人気で、大会でも出来れば取りたい札の一つです。

群馬県庁近くの楽歩堂前橋公園にはさちの池があり、こちらもつるが舞う形をしています。

春には桜が咲き誇り、多くの見物客で賑わう憩いの場です。

耶馬渓しのぐ吾妻峡

吾妻川の中流にある渓谷吾妻渓(あがつまきょう)は、八ッ場ダムや川原湯温泉から程近く、四季折々の美しさを見せてくれる風光明媚なスポットです。大分県中津市の景勝地、耶馬渓を超える美しさををこの札が表現しています。

こちらは吾妻川に掛かる猿橋からの風景。

清らかな水が流れゆく光景は風情があり、春から初夏は新緑、秋は紅葉、冬は圧巻の雪景色を見せてくれる、群馬を誇る景勝地です。

白衣観音慈悲の御手

高崎市の烏川を望む観音山に鎮座する白衣観音は、昭和11年戦争で亡くなった兵士の鎮魂や市の発展を祈願して、実業家井上保三郎氏が建築しました。

高さは41.8mあり、観音像の胎内には階段と展望スポットがあり周辺の風景を眺望しながら、拝観も楽しめます。

観音山公園に位置し、春には桜、秋には紅葉が美しいスポットとして、群馬県民をはじめ観光客にも人気のお出かけスポットです。

白衣観音の目の前には、鎌倉時代に北条氏によって建立されたといわれる慈眼院があり、学問のお寺として有名です。

おわりに

群馬県人なら誰でも知っている上毛かるたと、その博物館的存在「かるた館」そしてほんの一部ではありますが、かるたにちなんだスポットを紹介しました。

歴史、文化、著名人、名物など様々な群馬の魅力が盛り込まれた郷土カルタは、幼少期から馴染みがあるため、上の句を読むと必然的に下の句が自然に出てくること多々あり。体の芯まで浸透している群馬県の魂といっても過言ではありません。

この上毛かるたと群馬の魅力を知ってほしいという願いが込められて誕生した「かるた館」。周辺には観光スポットや風光明媚な景勝地などがたくさんあるので、観光とともに上毛かるたの魅力を体感しに、訪れてみてはいかがでしょうか。

【スポット情報】

かるた館

住所:群馬県吾妻郡東吾妻町岩下595

営業時間:10:00〜17:00

営業日:土・日曜日

公式HP

文・写真:Nico

*内容・情報は取材時点のものです。

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