【高瀬石仏】七瀬川流域の洞窟内に佇む五体の石仏
大分県が「磨崖仏の宝庫」と呼ばれているって、ご存知でしたか?
石仏といえば「臼杵石仏」しか浮かばない…という方も多いかもしれません。
ですが、実は県内にある磨崖仏の数は、場所で括っても70ヶ所以上もあるのです。
ということで今回は、大分市高瀬にある国指定史跡『高瀬石仏』をご紹介します。
場所
『高瀬石仏』へは、トキハわさだタウンから県道623号を経由し、車で約3分ほど。
↓トキハわさだタウン/県道623号方面
↓七瀬川自然公園入口/国道442号線方面
駐車場は、わさだタウンからだと『高瀬石仏』入口の看板を30mほど七瀬川自然公園入口方向へ進んだん所にあります。
車でお越しの方は駐車場に車を停めて、徒歩で道路沿いにある『高瀬石仏』入口の看板から奥へ進んでください。
民家の間を40mほど歩くと、『高瀬石仏』が見えます。
『高瀬石仏』は、屋根に覆われた洞窟の中にあります。
国指定史跡『高瀬石仏』
七瀬川流域にある『高瀬石仏』は、平安時代末期の12世紀中頃以降に造られたとされる数少ない石窟形式の磨崖仏です。
階段を上るとお線香があげられるようになっており、地域の方々によって管理されている様子が伺えます。
凝灰岩層に掘られた高さ1.8m、幅4.4m、奥行1.5mの洞窟の中には、真言宗で最高位に位置する大日如来(だいにちにょらい)坐像を中心に五体の石仏が造られています。
腹前で両手を上下に重ね、仏・菩薩の功徳を表す胎蔵界(たいぞうかい)大日如来像の右側には、右膝を立てた如意輪観音(にょいりんかんのん)像が。
石仏の前にある柵に貼られた解説によると、如意輪観音は一切の苦しみを救い、災禍を除き、みんなの願いを叶えてくれる仏様なのだそうです。
さらにその右には頭上に馬の頭を載せた馬頭観音(ばとうかんのん)像があります。
こちらは、馬が無心に草をはみ水を飲むように、一切の障害を取り除く仏様だということです。
また向かって左には、戦時中に"戦勝祈願"の仏様として信仰が厚かったと言われる、六つの顔と六つの手足を持って牛の背にまたがった大威徳明王(だいいとくみょうおう)像が。
そしてその左には、赤く逆立った頭髪と見開かれた目。両脚と左手には蛇がからみつき、腹には少女のような顔が描かれた深沙大将(じんじゃだいしょう)像が彫り出されています。
解説によると、この深沙大将は中国の玄奘(三蔵法師)が仏典を求めてインドを往復した際、砂漠に現われ守護した鬼神といわれており、腹部の人面は内に優しい気持を持っていることを表現しているそうです。
また、野山を守る仏様としても親しまれているのだとか。
大分県下の磨崖仏を代表する作品としても貴重なものとして位置付けられている『高瀬石仏』。
祈願修法の対象として作られ、今なお地域の人たちに大切にされる高瀬石仏へ、皆さんも足を運んでみてはいかがでしょうか。