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『追放者食堂へようこそ!』連載インタビュー第6回:アトリエ役・橘茉莉花さん|「身近な人たちのためなら、すごく頑張れるし、強くもなれる」──演じる中で感じたアトリエの“軸”とは

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

TVアニメ『追放者食堂へようこそ!』が、2025年7月より放送中!

超一流の冒険者パーティーを追放された料理人デニスが、憧れだった食堂を開店し、看板娘のアトリエとともに、お客さんに至高の料理を提供するという“新異世界グルメ人情ファンタジー”。アニメーション制作は、食欲をそそる料理作画にも定評があるOLM Team Yoshiokaが担当! 深夜の飯テロアニメになっている。

インタビュー連載第6回は、冒険者食堂の看板娘・アトリエを演じた橘茉莉花さんが登場。初アニメレギュラー作品でもある本作での経験やアトリエの印象的なシーン、そして第6話「アトリエお嬢様お迎えに上がりました。」について語ってもらった。

【写真】『追放者食堂へようこそ!』アトリエ役・橘茉莉花インタビュー【連載第6回】

演じる中で感じた、アトリエの意思の強さと優しさ

──原作の印象や魅力に感じたポイントをお聞かせください。

アトリエ役・橘茉莉花さん(以下、橘):私は炒飯がとても好きなので、美味しそうな炒飯に魅力を感じました(笑)。原作漫画で描かれているお料理もとっても美味しそうだったのですが、アニメでもますます美味しそうな作画で……!

第1話では、デニス様の炒飯を食べてアトリエが救われるシーンが描かれます。ただ美味しそうなだけでなく、物語の重要な部分にデニス様の料理が関わってくるんです。そうしたところに、『追放者食堂へようこそ!』という作品らしさがあるのかなと思いました。

──炒飯は、元から好きだったのですか?

橘:もともと大好きなんです! 小学生の高学年くらいから「炒飯が大好物です」と言い続けてきて、一時期、“炒飯”というあだ名があったくらい大好きだったので(笑)、絶対にこの役をやりたい!と思っていました。

──自分で作ったりもするのですか?

橘:作ります! ただ、まだ一番美味しい作り方がわかってないんですよね……。炒飯にハマりはじめた頃から、ネットなどで調べて作っているのですが、納得のいくクオリティには、まだ辿り着いていないんです。

──炒飯は本当に奥が深い、とよく耳にしますが……。

橘:そうなんですよ。しかも、うちのコンロはIHなんです。だから、先に卵とご飯をボウルで混ぜてから炒める作り方も試したのですが、途中から「やっぱり先に卵を入れて、少し火が通ったタイミングでご飯を加える方がいいな」と思ったりして……。

本当に奥が深いですよね! いつか、デニス様が作る炒飯を食べてみたいです。

──先ほど、「絶対にこの役をやりたい!」とおっしゃっていましたが、オーディションでの思い出はありますか?

橘:ちょうど第6話のセリフなのですが、アトリエが「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」と注射を嫌がるセリフが思い出に残っています。そのセリフのディレクションをいただいたとき、うまく返すことができなかったんです。その日の私の全力は出せたと思っているのですが、帰り道に「あそこはもう少しできたかなぁ、ダメかもしれないなぁ」と思いながら帰った記憶があります。

それから日にちが空いて、もうダメかなと思ったときに合格をいただいたので、本当に嬉しかったです! 事務所でサプライズもしていただきました!

──事務所でのサプライズは、どのような感じだったのですか?

橘:「事務所所属のオーディションのための映像を撮ります」とスタジオに呼ばれて、そのときにサプライズを受けました。

一生懸命台本を読んでいたら、前のモニターに「祝 『追放者食堂へようこそ!』アトリエ役 決定!」という画像が出ていて。でも私は台本ばかり見ていたから、それに気づかなかったんですよね(笑)。セリフを読み進めるうちにマネージャーさんから笑いが起きて、何事か?と思って。前を見たときに気が付きました。

──サプライズ潰しをしてしまったんですね(笑)。

橘:そうなんです(笑)。でもすごく嬉しかったです!

──アニメは折り返しのタイミングになりますが、ここまで演じてきて、アトリエはどのようなキャラクターだと感じていますか?

橘:とても意志の強い子だなと思っています。第4話でバチェルに「あなたは死なないほうがいい」と説得するシーンがあるのですが、そこで「アトリエは自分の意見は言うけれど、それを人に押し付けたりはしない。“あとはあなたが決めて”と言える子」というディレクションを受けたんです。それがアトリエなりの優しさなのかなと感じました。

そして、その優しさこそがアトリエの軸にあるものだと思えたことで、自分の中で何かを掴めた気がしたんです。アトリエは、デニス様と同じように、自分のことはそこまで頑張ることができなくても、デニス様やバチェルさんといった身近な人たちのためなら、すごく頑張れるし、強くもなれる。そういう優しさを持った子なんだなと思いました。

──彼女の持つ優しさを、大切に演じていったのですね。

橘:はい! アトリエちゃんは短いセリフが多かったので、その短い言葉の中にも気持ちを込めたいと思っていました。台本を読んでいる段階で、「この言葉には、きっとこういう気持ちが込められているんだろうな」と思ったことをメモして、アフレコに臨んでいたんです。

そのメモは、デニス様やほかの方の声を実際に聞くことで変わっていく部分もありましたが、自分の中では常にその気持ちを意識して演じていました。

──やはり、実際に掛け合ってみて変化する部分もあるのですね。

橘:たくさんありました。私はこの作品が初めてのアニメレギュラーだったので、すべてが勉強だったんです。「デニス様は、きっとこういう想いで来るんだろうな」と想像していたところも、実際は全然違うニュアンスだったり……。

でもそれに応えて演じていくのが面白くて! 家で考えていたものとはまったく違う仕上がりになることも多かったですね。

──そこで「面白い!」と思えたんですね。

橘:やはり最初は戸惑いましたけどね(笑)。テストのときに「こう来るんだな」と、ニュアンスを頭に入れて、本番では覚悟を決めて臨みました。

──アトリエは、ふとした呼吸や吐息での感情表現も多いキャラクターかと思います。息のお芝居についてはいかがでしたか?

橘:息のお芝居は難しかったです。私は演技をしているときに体が動いてしまうので、そこでアトリエの動きを真似して、ちょっと動いてみたり、表情もアトリエに寄せたりしていました。彼女はよくピースをするのですが、そのシーンでは私も右手でピースをしながら演じていました(笑)。

──自然な息遣いができそうです(笑)。アトリエとの掛け合いが多い、デニス役の武内駿輔さんのお芝居はいかがでしたか?

橘:存在が大きかったです。アトリエがしゃべっていないときは、武内さんの後ろ姿を見ながら待機していたのですが、迫力がすごくて。デニス様が実際にそこにいるような体の大きさと声で、「凄い……!」と思っていました。

「アトリエちゃんと出会ってくれて本当に良かったなと思いました」

──第5話までで、特に印象的だったシーンはありますか?

橘:アトリエとして一番大事にしたかったシーンが、先ほどもお話したバチェルを説得するシーンなんです。

私自身も、バチェルのように色々と悩んでいた時期があったので、昔の自分に対して掛けてあげたい言葉だなと感じました。あのセリフは、昔の私と、同じように悩んでいる方の救いになればと思って、大切に演じました。

──ぜひ、そのシーンについて詳しくお聞かせください。

橘:「もうこれから、いいことは何もないと思ってた」「でも」「アトリエは死ななかった。いいことがあったから死ななかった」というところですね。今悩んでいる人たちに、これまでダメだと思っていたけど、生きていればアトリエみたいに良いことがあるんだよ、ということを伝えたくて、この言葉は大事にしたいと思っていました。奴隷として買われていこうとする第1話でのアトリエを考えながら言ったセリフでもありましたね。

──とても素敵なシーン、フレーズでした。

橘:しかもこのフレーズは、これまでのアトリエのセリフの中で、一番長かったと思うんです。だから、久しぶりに(アフレコ中に)こんなにしゃべったなとも思いました(笑)。

──(笑)。そして放送された第6話は、アトリエの家系・血筋に関することが明らかになるエピソードでしたね。

橘:家系の秘密を知ったとき、アトリエちゃんが持っていた気品や落ち着いた雰囲気に、私自身も納得しました。見てくださっている方にも、「そういうことだったんだな」と思っていただけたら嬉しいです。

──演じるときは、最初から気品を意識して演じていたのですか?

橘:そうですね。このエピソードは原作で読ませていただいていたので、、「気品があって落ち着いている」という雰囲気は、最初にお芝居の方向性を考えている段階で意識していました。

──アトリエはその血筋によって、血族間の争いに巻き込まれてしまいました……。

橘:私も原作を読んでいる当時は、デニス様のように、めちゃめちゃ怒りたい気持ちになりながらストーリーを追っていました。

執事だったスティーブンスですら助けてくれなかったですからね! 許せないです! でも、怒りがマックスになるタイミングで、デニス様が怒ってくれたのでスッキリしました(笑)。

これまでで(デニスが)一番“怒り”を表すシーンだったと思いますが、迫力はもちろん、まるでお父さんのような感じがしたんですよね。だから、アトリエちゃんと出会ってくれて本当に良かったなと思いました。デニス様と出会っていなければ、アトリエは単身であの人たちに立ち向かうことになっていたので……感謝しかありません。

──第1話で、ポルボ(CV:下山吉光)に買われなくて良かったですね(笑)。

橘:本当にそうですね(笑)。でもポルボも実は良い人なんですよ!

──ちなみにオーディションでも印象に残っているとお話していた、「嫌だ嫌だ嫌だ怖い怖い怖い」はどのように演じられたのですか?

橘:あの呪詛ですか(笑)。オーディションの際にディレクションをいただいていたので、アニメのアフレコでも、きっと指示されるだろうと思って、練習して行ったんです。

もともとの台本パターンとは別に、私が考えてきたパターンがあったのですが、私なりの呪詛のほうを採用してくださいました。

──具体的にどのような言い方だったのですか?

橘:「嫌だ嫌だ嫌だ」を、一定の大きさでぶつぶつ言うのではなく、だんだん大きくしていくのが私なりの呪詛でした。

注射を打たれたあと、アトリエじゃなくなっているアトリエも可愛かったですよね。溶けている瞬間は特にセリフがなかったのですが、あまりに可愛かったので声を入れたくなってしまって(笑)。

──その声も採用されていましたね(笑)。そんなシリアスとユーモアがあった第6話でしたが、結局相続の結果は覆らず、富と権力はジョゼフ卿に、知識と書物はアトリエが受け継ぐことになりました。

橘:アトリエが受け継いだものは、今後のストーリーにも影響していきますが、良いものを手にすることができましたね。あと、書庫に落ちて潰れていたアトリエちゃんも可愛かったです(笑)。

アトリエは「このあともどんどん成長していく」

──ちなみに橘さんが、冒険者食堂で食べてみたい料理というと、もちろん……?

橘:やっぱり第1話でデニス様に振る舞ってもらった炒飯を食べてみたいです! ほかにもビビアが色々な炒飯を食べていたので、それらも全部食べてみたいですね。「レジェンダリー炒飯」の異名を持つデニス様が作る炒飯ですから、とっても美味しいんだろうな……と思っています。

──橘さんが気になっているキャラクターについてもお聞かせください。

橘:ポルボです。収録現場で、下山さんがしゃべるたびに、皆さん笑ってしまうんですよ。ポルボがしゃべったあとにアトリエがしゃべるシーンが結構多かったんですけど、私の隣で下山さんが声を入れていたので、どうしても顔がにやけてしまって……。笑いを止めなきゃ!と思いながら、いつもアフレコをしていた記憶があります。

──お隣だと、ポルボならではの圧もより感じることができそうですね(笑)。

橘:もう、すごかったです!(笑) ポルボは、今後も登場しますので楽しみにしていてほしいです。

──では、食堂やレストラン、もしくはご飯にまつわる思い出があれば教えてください。

橘:ご飯にまつわる思い出なのですが、毎日自炊をしているんです。以前はお肉を焼くだけ、炒めるだけだったんですけど、最近はダイエットと健康のことを考えて、SNSなどに載っているレシピを真似して作り始めました。

この前、れんこんにお肉を挟むお料理を作ったのですが、私、これまでれんこんを買ったことがなくて。初めて皮をむいて切って料理をしてみたら、れんこんってすごく美味しいんですね! こんなに美味しいものだったとは……!

──れんこんは焼いても揚げても美味しいですからね。では最後に、今後の見どころとファンへのメッセージをお願いします。

橘:第6話では、ジョゼフという敵が現れましたが、そのジョゼフたちにデニス様やアトリエたちがどのように立ち向かっていくのか、ぜひ楽しみにしていてください。

アトリエちゃんは、このあともどんどん成長していきます。私としては、そこが一番注目してほしいポイントです。それから、デニス様の過去もこれから明かされていき、アトリエと重なる部分も描かれていくので、そちらにもぜひ注目していただけたら嬉しいです。

【インタビュー・文:塚越淳一 編集:西澤駿太郎】

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