【マニアの聖地】プラモデルやミニ四駆…古き良き、少年たちの夢がある。創業51年、札幌の”模型文化”を守る親子の思い
HBCテレビ「今日ドキッ!」より、選りすぐりの情報をお届けします。
***
あたたかい家族の姿を描くコーナー「ファミリーストーリー 家族のキズナ」 。
今回注目したのは…マニアの間から"聖地"と呼ばれる、札幌のとある模型店です。
親子二代で守り続ける老舗店のファミリーストーリーをご紹介します。
ことしで創業51年目を迎える老舗模型店「オーム模型」
かぐや姫の名曲「神田川」が大ヒットした昭和48年に、札幌で産声を上げたお店があります。
平岸街道沿いに映える、黄色い看板が目印のお店「オーム模型」は、今年で創業51年目を迎えます。
店内には、たくさんのプラモデルが天井まで高く積み上げられています。
中にはプレミアの付いた貴重な商品も。
こちらは、1970年代後半にブームを巻き起こしたラジコンカー。 無線で操縦する楽しさは、少年たちを夢中にさせました。
1982年の誕生から、これまでに4度のブームを巻き起こしているミニ四駆もあります。
「模型に関係するものなら何でも揃う」親子3世代が通うお店
昭和の少年たちの心を鷲掴みにした宝の山は、海外からも大人気。
台湾から韓国などのお客さんも多いといいます。
「模型に関係するものなら何でも揃う」と常連たちは口を揃えます。
常連客の川島さん
「商品の量と種類が絶対的にある。スタッフの方に何を聞いても、全部答えてくれるんです」
こちらはオーム模型の2代目を継いだ、逢坂健一さんです。
父からこの店を受け継ぎ、母・利江さんと共に、親子二代でお店を守っています。
2代目社長 逢坂健一さん
「お店が50年なので、親子3世代に来ていただいたりします。年齢の幅はすごく広いですね」
店内に山積みになった製品の中には、なかなか手に入らない珍しいお宝も眠っています。
メーカーでは作っていない、タミヤのフェラーリ。
他にも、イカ釣り船やマグロ船の漁船シリーズに、戦国武将が身に着けた甲冑も…
さらに、お米一粒一粒を接着剤で付けて作り上げるお寿司のプラモデルなど、マニア心をくすぐる模型製品もありました。
父・豊さんが脱サラして開業したお店は”札幌の模型文化の最後の砦”に
「オーム模型」は1973年に、健一さんの父・豊さんが脱サラして開業しました。
当初は、電気関係の仕事を請け負う会社「オーム電機」の模型部門としてスタートしましたが、次第にラジコンやプラモデルの人気が高まり、その後、模型一本でいくことになりました。
店の模型部門を任されていたのが、健一さんの母・利江さん。 商売を始めたころは、大変だったといいます。
利江さん
「開業当時は無我夢中。苦労したよ!」
開業から50年。 いまでは「オーム模型」は、多くの模型ファンたちにとって、なくてはならない存在になりました。
プラモデルやラジコンを卸す問屋に務めている髙橋昌宏さん。 オーム模型とは23年ほどの付き合いになるといいます。
髙橋昌宏さん
「模型問屋にもないくらいの種類があると思います。『オーム模型』は、札幌の模型文化の最後の砦というふうに我々は形容しています」
これまで「オーム模型」を支えてきたのは、お客さんたち。 母・利江さんはお客さんとの心のふれあいを大切にしています。
利江さん
「お客さんありがたい。みんながね、助けてくれた」
常連客の川島さん
「僕らの頃は(利江さんのことを)“オームのおばさん”ってみんなで呼んでいました。社会の一般知識なども教えてもらったので、育ててもらったおばさんということで、すごく感謝しています」
「親子で泣いて謝ってきた」50年間で忘れられないエピソード
50年もお店をやっていると、色々な事がありました。
なかでも、店の商品を黙って持ち帰ろうとして見つかった子どもと、その親との思い出は忘れられないといいます。
利江さん
「親子で来て泣いて謝ってね。大学を出て就職できましたって、ご挨拶に来た人も何人かいる。涙が出そうだった」
時代の波が押し寄せる…少年たちの興味はテレビゲームへ
かつて、この札幌にも、多くの模型店がありましたが、模型業界にも時代の波が押し寄せます。
1990年代に入るとプラモデルの出荷額は急激に減少。
少年たちの興味はテレビゲームへと移っていきます。
当時、大学生だった健一さんは、「両親が苦労して育ててきた店をなくしたくない」と思い始めます。
2代目社長 健一さん
「大型量販店ができたり、うちのお店より勢いがあるお店が出来た時に噂で『オーム模型も もう終わり』だと言われた。継がなければ辞めるんだろうなと思い、もったいないと感じ、継ぐ決心をして父と母に”継ぎたいです”とお願いをしました」
2代目社長 健一さん
「お客様も僕らは家族だと思っている。そういう意味では、僕は勝手にうちのお客様のことも含めてワンチームと思っています。続けていければなと思っています」
両親から受け継いだ思い「売って終わりではないアフターサービスを」
健一さんと利江さんが大切にしているのは、”売って終わりではないアフターサービスの充実”。
オーム模型の2階には部屋いっぱいに広がっている「ミニ四駆」のコース。
買った商品で思いっきり遊んでほしいと作ったものです。
その他にも、2005年には白石区に道内最大級の屋内ラジコンサーキット場も作りました。
”売って終わり”の商売ではなく、遊ぶ場所を提供したり、アフターサービスもしっかりとして模型ファンを支えたい。
ご両親から継いだ思いを胸に、健一さんはお店を守り続けています。
【オーム模型】
住所:札幌市豊平区平岸3-14
電話番号:011-821-1367
営業時間:平日 午前10時~午後8時(日祝は午後7時)
定休日:木曜
※掲載の内容は番組放送時(2024年2月12日)の情報に基づきます。