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【子どもの風邪】ホームケア新常識「風邪のときは入浴を控える」は間違い!「風邪をひいたときの入浴の判断」〔医師が解説〕

コクリコ

子どもに多い病気やケガへの対処法の最新知識を伝える連載「令和の子どもホームケア新常識」第4回。「風邪をひいたときは入浴を控える」という旧常識について、小児科医・森戸やすみ先生が解説。

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【旧常識】風邪をひいたときは、入浴を控える。子どもの体調が悪くなったとき、ケガをしたときなどに、親が家庭で行うホームケア。

現代のホームケアの中には、私たち親世代が子どもだったころのホームケアとは変わってきているものが多数あります。子ども時代の記憶を頼りに、古い常識のまま子育てをしていませんか?

本連載【令和の子どもホームケア新常識】では、子どもに多く見られる病気やケガへの現代の正しい最新対処法を、小児科医・森戸やすみ(もりと・やすみ)先生が解説。

●森戸 やすみ(もりと・やすみ)PROFILE
小児科専門医。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)などを経験し、現在は都内のクリニックに勤務。医療と育児をつなぐ著書多数。

第4回は「風邪をひいたときは、入浴を控える」という旧常識について。ホームケアの常識をアップデートして、いざというときに備えましょう。

入浴の判断基準は「元気があるかどうか」

子どもが風邪をひいているとき、「お風呂に入れてもいいのかな」と悩んだことはありませんか? 親世代が子どものころは、よく「風邪のときはお風呂に入らないほうがいい」と言われていましたが、現在はどのような考えが一般的なのでしょうか。風邪のときの入浴について、森戸やすみ先生に聞きました。
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結論から言ってしまうと、風邪のときでも元気ならお風呂に入っても大丈夫。発熱時も同じです。鼻水や咳が出ているなら、お風呂の湯気で鼻詰まりが緩和されたり、咳が落ち着いたりもするので、入ったほうがよい場合もあるでしょう。

日本には昔から湯船にゆっくり浸かるという、ほかの国にはあまりない習慣がありますね。適度な入浴は筋肉の緊張をほぐすなどのリラックス効果が得られますが、熱いお湯に長く浸かると体力を消耗し、かえって疲れてしまうことも。そうした理由から「風邪のとき、体力が落ちているときは入浴を控えたほうがいい」と言われていたのだと思います。

自分で鼻をかめない小さなお子さんなら、お風呂上がりは鼻水を吸いやすいですし、腹痛や下痢の症状はお腹をあたためることでやわらぐメリットもあります。

もちろん、本人が嫌がるようでしたら無理に入れる必要はありません。つらそうなとき、疲れているときも控えましょう。入浴のいちばんの目的は肌の清潔を保つことですから、シャワーで簡単に済ませたり、蒸しタオルで体を拭いたりするだけでも十分です。

おむつかぶれがある赤ちゃんは、1日でもお風呂に入らないと症状が悪化しがちです。特に風邪でゆるいうんちが出ているなら、お風呂に入れるのが難しい場合でも、おしりだけをシャワーで洗ったり、たらいや大きな洗い桶でおしりだけを洗う「座浴」をしたりして、おしりを清潔にするとよいでしょう。

ぬるめのお湯に短時間でササっと入浴

風邪でお風呂に入れるときのポイントは、お湯の温度を普段よりやや低く、ぬるめに設定すること。熱いお湯や長時間の入浴は、体力を消耗しますし、脱水症状を招くこともあります。短時間でササっと済ませましょう。

特に熱性けいれんを起こしやすい子は、お風呂であたたまりすぎるとけいれんを起こすことがあるので注意が必要です。ふとんに入る1時間くらい前に入浴するとぐっすり眠れると言われていますが、夜が難しければ、日中でもよいでしょう。

お風呂上がりは湯冷めしないように、すぐに体を拭いてパジャマを着せます。今のような寒い時期なら、浴室や脱衣場、部屋はあたためておくと安心ですね。ただし、湯冷めを心配して必要以上に厚着をさせたり、寝るときに厚いふとんを何枚も重ねたりすると、体内に熱がこもってしまいます。

顔が赤くなっていないか、暑がっていないかなど、お子さんの様子を見ながら着るものやふとんを調整しましょう。

入浴時は全身の状態をチェック

入浴は、お子さんの全身を観察できる機会でもあります。例えば、発熱時に体に発疹のようなブツブツがあれば、風邪ではなく、もしかしたら水疱瘡(みずぼうそう)や手足口病、とびひといった感染症かもしれません。もちろん、虫刺されやじんましん、冬なら乾燥による湿疹の可能性もあります。

子どもがひとりでお風呂に入れる年齢になると、親御さんが発疹の有無を把握できていないケースも増えてきます。入浴は子どもの全身を確認できる大事な機会でもあるので、特に風邪気味のとき、体調を崩しているときは、全身をよく見てあげてくださいね。

2014年に水疱瘡のワクチンが定期接種化してから水疱瘡にかかる子はずいぶんと減りましたが、中には2回接種していてもかかってしまうお子さんがいます。

ワクチンを接種していると症状が軽いため、熱が出なかったり、発疹の数が少なかったりと、親御さんではほかの病気と見分けがつかない場合も多いです。心配な場合は小児科や皮膚科に相談してください。 

〔小児科医:森戸やすみ〕

【子どものホームケアの新常識 その4】
風邪をひいていても熱があっても、元気があれば入浴してOK。ぬるめのお湯でササっと済ませ、湯冷めに注意する。

取材・文/星野早百合

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