2024年に発売された<無脊椎動物の本>おすすめ6選 ユニークで魅力的な生きものがたくさん!
昨年は、国立科学博物館で無脊椎動物に関する展示が行われるなど、無脊椎動物の注目度が上がった年だったと思います。
そこで、サカナに特化した小さな本屋『SAKANA BOOKS(サカナブックス)』(東京都新宿区)のスタッフ・川村さんに、2024年に刊行され無脊椎動物に関する本をピックアップしてもらいました。
知っているようで知らない無脊椎動物について、楽しく学べる本がたくさんがありますよ!
2025年はじめの一冊目にいかがでしょうか?
教えて! クラゲのほんと 世界一のクラゲ水族館が答える100の質問│鶴岡市立加茂水族館(編著)
『教えて! クラゲのほんと 世界一のクラゲ水族館が答える100の質問』(鶴岡市立加茂水族館・編著、緑書房)では、クラゲの展示種数世界一を誇る山形県の鶴岡市立加茂水族館の飼育員さんが、クラゲにまつわる100の質問に答えています。
「クラゲはからまらないの?」「クラゲはなんでふわふわ泳ぐの?」など誰でも感じたことがあるような素朴な疑問が満載です。これを読めば、クラゲを観察するのがもっと楽しくなるはず!
またクラゲ研究者によるコラムからは、クラゲの最新研究の内容もわかりやすく知ることができますよ。漢字にはふりがな付きのため、お子さんも楽しんで読むことができます。クラゲ好きさん必読の一冊です。
死の貝 日本住血吸虫症との闘い│小林照幸(著)
そのWikipedia記事は読みごたえがありすぎて、もはや文学だと一部界隈で有名な日本住血吸虫症。ついに文庫化されたのが、こちらの『死の貝 日本住血吸虫症との闘い』(小林照幸・著、新潮社)。
文庫版で追加された補章では、日本住血吸虫症を引き起こす寄生虫である日本住血吸虫の中間宿主、つまり寄生虫たちが人間はじめ哺乳類へと最終的にたどり着く前にとどまる住みかとなる、ミヤイリガイという絶滅危惧種の貝類について論じられています。
人に害を与える寄生虫とその宿主……という見方を変え、死の貝として忌み嫌われ恐れられたミヤイリガイたちに注目したアナザーストーリーとしても、巻末の補章は興味深く読むことができます。
寄生虫に興味がある方はもちろん、郷土史やノンフィクション文学が好きな皆さんにもおすすめです。
タコのなぞ 「海の賢者」のひみつ88│池田譲(著)
タコに関する88のあらゆる疑問を、分かりやすく解説した『タコのなぞ 「海の賢者」のひみつ88』(池田譲・著、講談社)。質問の数をタコの脚の数8本とかけている遊び心からワクワクしますよね!
タコのストレスや弱点、社交性についてなど、さまざまな角度から「タコ」が深堀りされていて、とても読み応えがある本です。読み終わればタコが大好きになっていること間違いなしです!
気になる問いごとにサクッと読み進められるので、寝る前や通勤の時間、休憩中などに少しずつ楽しむ一冊にしてみてはいかがでしょうか。
海のへんな生きもの事典 ありえないほねなし│ひとでちゃん(文)、ワタナベケンイチ(イラスト)
『海のへんな生きもの事典 ありえないほねなし』(ひとでちゃん・文、ワタナベケンイチ ・イラスト、山と溪谷社)はぜひおすすめしたい一冊です。
まず、ワタナベケンイチさんのイラストがかわいい! そして読みやすい文章で、海の無脊椎動物たちの不思議な姿や生態が紹介されています。
2024年は国立科学博物館で無脊椎動物や貝類にスポットライトを当てた企画展が開催された年でもありました。その影響なのかはわかりませんが、無脊椎動物に関する本の出版が多かった印象があります。
その先陣を切ったともいえる、2024年春発行されたこの本。彼らの一見不思議な生きざまや多様性にわくわくすることはもちろん、こんなに「ありえない」生きものが地球上のどこかで一生懸命生きているという事実に、読むとなんだがホッと気が楽になるひともいるのではないでしょうか。
著者のひとでちゃんさんの生きもの愛がひしひし伝わってくる素敵な一冊です。
ウミウシの生態観察図鑑│西田和記(著)
『ウミウシの生態観察図鑑』(西田和記・著、誠文堂新光社)の著者は、日本ではじめてウミウシの常設展を開設しその展示飼育に力を入れている、かごしま水族館「うみうし研究所」の飼育員さん。
飼育によりわかってきた232種のウミウシの飼育・観察情報と、最新の基礎研究をまとめた、知られざるウミウシたちの生態がこれでもかとつまった図鑑です。
「きれいだなぁ」だけでは物足りなくなってきたウミウシファンの皆さんや、野外でウミウシたちを見かけた際に「こんなところで何してるんだろう?」と素朴な疑問を抱いたことのある皆さん、ぜひこの本をお手に取ってください。
彼らへの解像度がグンと上がりますよ。
こんなの見たことない! 海のエイリアン図鑑│堀口和重(写真)、山崎陽子 、山本晴美(文)
夜空を眺めながら「エイリアン、見てみたいな……」と思ったことのある皆さん必見なのが、『こんなの見たことない! 海のエイリアン図鑑』(堀口和重・写真、山崎陽子 、山本晴美・文、山と溪谷社)。
なんと我々が住む地球、その海にはまるで地球外生命体のようなビジュアルや暮らしをしている生きものたちが沢山生息しているのです。
写真は水中写真家の堀口和重さん。本の中ではポップなイラストで描かれた堀口さんが、海の中の未知なる探検をエスコートしてくれますよ。
「ええっ、こんな生きものがいたんだ」と驚きや発見が盛りだくさん。漢字にはフリガナ付きのため、大人も子どもも一緒になって楽しめる一冊になっています。
この本を片手に、ぜひお気に入りの海のエイリアンを見つけてください!
不思議で面白い無脊椎動物の世界
近年注目が高まっている無脊椎動物たち。今後も目が離せません。水族館はもちろん、フィールドワークでも比較的容易に出会えるのも魅力のポイントではないでしょうか。
紹介した本を読んで、自分の好きな無脊椎動物を見つけてみてくださいね。
(サカナト編集部)