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大迫力!裏方から見た東京高円寺阿波おどりの熱い1日

おたくま経済新聞

大迫力!裏方から見た東京高円寺阿波おどりの熱い1日

 1957年(昭和32年)から続く、日本三大阿波踊りのひとつ「東京高円寺阿波おどり」。約1万人の参加者が街を盛り上げ、100万人近くの観客が毎度つめかけます。

 今回は、知人の紹介をきっかけに、この東京高円寺阿波おどりに初めてスタッフとして参加しました。

駅に到着

 まず16時に指定の待ち合わせ場所に集合。今回お世話になる連※は、お寺の施設を借りているらしく、かなりキレイな待機場になっていました。(※阿波踊りを踊る団体・チームの呼び方。)

「今回スタッフとして参加してくれる山崎君です」

 紹介をしてもらったあと、1日の流れの説明に入ります。受け持つ仕事は休憩時間に水を配る係でした。踊るルートの何か所かに公式の給水所はあるのですが、ない地点で、踊り子や楽器隊の人たちへ紙コップに水を入れて配る役目です。また、観客が練り歩きの邪魔をしないよう注視して、制止するのも役目。さっそく渡されたスタッフTシャツに着替え待機します。

 16時半になったので、皆でぞろぞろと開始地点へと移動。17時スタートなのでしばらく待機です。

 17時になる直前にカウントダウンが始まります。カウントが0になり歓声と共に練り歩きがスタート。音楽とリズムに合わせて阿波踊りの開始です。

 周囲を見渡すとものすごい人の数。この観客が急に飛び込んでくることはないでしょうが、最悪の場合、自分が体を張って止めなくてはいけません。

 すごくゆっくりと進む中、距離をとりながら後ろをついていきます。後ろから歓声が聞こえたので振り返ると次の連がスタートしたようです。連の規模はそれぞれで、人数が多い連は人数の少ない連を音圧で圧倒してしまうこともあり、その際小さい連は自分たちの音が聞こえず苦労することがあるようです。

 30分ほどかけて最初のゴール地点に着くと観客に一礼をしてから給水タイムです。ここは給水所がないため連スタッフの仕事となります。次の出発までに飲み物を飲まないと熱中症で倒れる可能性があるので、急いでカバンから水と紙コップを取り出して1人ずつ水を渡していきます。前にもスタッフがいるため、前と後ろから挟み撃ちで水を配っていきます。必要な人には塩タブレットも同時に渡します。

 飲み終わった紙コップはすぐに回収。ゴミ袋に入れ、隊列を組み直して合図と共に出発です。

 また30分かけてゆっくりと歩きます。普段なら朝早くから席を取って座って見るはずなのですが、スタッフ特権で本来は見ることのできない場所から阿波踊りを楽しめるのはかなり新鮮でした。今回は後ろ担当だったので楽器隊しか堪能できなさそうですが、前の給水担当になればより大迫力で踊りを見ることができそうです。

 後ろからついて行っている途中、「おーい!」という声が聞こえてきました。声のする方に顔を向けると、こちらに手を振る友人が。演者ではないのに目立つ立場というのはなんだか不思議。やっていることは後ろをトボトボとついて行っているだけなので。

 そうこうするうち、またゴールに到着です。今回は給水ポイントがあるため、スタッフは走って給水所にいき、プラカップに入った水を素早く皆に配ります。

 その後二列に並んで、青梅街道沿いからルック商店街へ移動。10分ほど待機をして練り歩きが始まります。

 ルック商店街は道が狭く、必然的に観客との距離が近くなり声援も間近で感じられるのが最大の魅力。

 一方で、右側から追い抜こうとする歩行者や、後ろぎりぎりをついて行こうとする観客がいるので、そのような人たちを制止するのもここでの大切な仕事になってきます。

 自撮り棒を突き出して一緒に自撮りをしようとする人がいると「すみません。危ないですので」と伝える。横を通ろうとする人には「すみません。今は通れなくて……」と制止します。

 開始から1時間ほどが経過し、18時を過ぎたので日が暮れてきました。途中の休憩地点でまた水を配ります。手持ちの水が尽きたので近くのスーパーで水やお茶を買い出しに行きます。

 この買い出しがなかなか大変です。道が混んでいて一方通行なので、元の場所に戻って来られなくなったり、買い出しの最中に練り歩きがスタートして連から逸れたりするのです。今回はなんとか買い出しはギリギリ間に合いました。

 また、練り歩きが再開し、ルック商店街を抜けます。ゴール地点へ着いたら、皆でゾロゾロと歩き大きい通りの給水所へ向かいます。ここでは30分ほど休憩があり、皆各々談笑したりして時間を潰します。

 続いてのコースは一番盛り上がるメインの会場です。阿波踊りに出資したスポンサー名が立ち並ぶ場所を歩きます。ライトもきちんと照らされて、緊張感が走ります。

 この時点で開始から2時間経過しており皆、体力がかなり削られていますがここが正念場です。笛と太鼓の音がいつにも増して気合が入ります。

 駅につくと、次は右奥へと進んでいき居酒屋の前で待機。順番が来たら出発です。

 時間も19時45分、ラストスパート。演者も観客もかなり熱が入ってきました。

 観客には酒が入っている人も増えてきて「最高ー!」という声援が飛び交います。

 次に純情商店街に入って少し歩くと19時58分くらいになりました。楽器隊の熱が今まで以上にこもり迫力のある演奏になっています。観客も「おー!」と大盛り上がり。

「タ、タン、タン、タン、タン」

 20時になると同時に終了です。「うわー!最高〜!ありがとうー!」という声が飛び交い終了を告げるアナウンスが高円寺中に響き渡りました。

 ちなみに待機所まで戻る途中に演者の太鼓を持つ機会があったのですが、持った瞬間あまりの重さで驚いてしまいました。20キロ〜30キロくらいあるのではないでしょうか。これを持って叩きながらの3時間。かなりのハードワークです。

 施設にもどり、着替えると打ち上げが行われました。もちろんこれにも参加。40人ほどで酒を飲んでケータリングを食べてワイワイ。

「今日は助かったよ。ありがとう。また来年もお願いできるかな?」
「ぜひ!」

 こうやって連での仲が深まっていきます。

「いま、太鼓や三味線が足りないんだけどやない?」
「ほんとですか?検討させてください」

阿波踊りはこのような繋がりでふとした時に参加が決まったりするようです。来年はどちらの立場で祭りに関わるのか楽しみです。

(山崎尚哉)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山崎尚哉 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024091103.html

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