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東広島の誇り 創業100年を超え今なお活躍し続ける企業を紹介【第3回】

東広島デジタル

サタケが開発した新型精米プラント「ミルスタ」。東広島市では食協・志和精米工場に導入している

 多くの困難を乗り越え、創業100年を超えて今なお活躍を続ける東広島の企業を紹介するシリーズ。3回目は、サタケ、本宮商会、明治安田生命保険、石井印刷所を取り上げる。東広島の経済を支えた長寿の秘訣に迫る。(日川)

1896年創業 株式会社サタケ

町工場から国際カンパニーに 精米と選別技術で150カ国に製品供給

 1896年、西条町寺家生まれの創業者・佐竹利市が、日本初の動力式精米機を作ったのが会社の出発点。当時の精米作業は、足踏み式で重労働。利市は、その脱却を目指し研究を重ねた。第一号の納入先は、木村酒造(現賀茂鶴酒造)で、この縁をきっかけに、1908年には、砥石(といし)を使用して玄米を40%まで削れる精米機を開発。後の吟醸酒誕生の基盤となった。
 利市の技術開発に懸ける志は、長男で2代目となる利彦に受け継がれた。32年、満州(現中国東北部)に駐屯していた旧陸軍の要請を受け、ビタミンを多く含む胚芽を残して精米できる機械を開発。脚気(かっけ)に苦しむ兵士を救い、サタケの海外進出の先駆けともなった。
 精米機メーカーとしての確固たる地位を確立したのは戦後。50年代には、米国に進出、高度な精米技術が評価され、全米の精米機の大半をサタケ製に置き換えることに成功した。利彦は『米国には、戦争では負けたが、精米機では勝った』と事あるごとに語っていたという。
 一方、国内では、高度経済成長期での米の増産体制に合わせ、大型の精米プラントを全国各地に供給。さらに、国内初となる3カ所のカントリーエレベーターを独占受注した。乾燥機や籾摺(もみすり)機の分野でも新技術を次々と世に送りだした。
 大きな転機となったのは、利彦の長女で4代目となる利子が、3代目となる覚と結婚したこと。米国育ちの覚は、効率化や合理化といった考えを社内に持ち込んだ。80年には米国に現地法人を設立するなど、グローバル化も推し進めた。サタケ広報フェローで顧問の宗貞毅氏は「3代目は、まだ田舎の町工場の域を出なかった会社を、国際的なカンパニーに引き上げた」と振り返る。
 1990年代に入ると、「安全でおいしい食」への関心の高まりを背景に、光学センサーを活用して異物をはじく「光選別機」を開発した。さらに2000年代に入ると、この技術の応用範囲に着目し、異業種との取引を拡大。精米技術と選別技術を掲げる企業へと進化した。
 サタケは、21年、創業家以外では初めてとなる松本和久氏が5代目社長に就任。現在、世界15
0カ国に製品を供給し、グローバルな食糧インフラを支える。宗貞氏は「保守本流の技術を武器に、海外市場をさらに広げ、30年には売上高800億円を目指したい。そのためには、サタケ流のDXを進めていく」と力を込める。

企業長寿の秘訣
一、創業時から続く技術開発力
一、4代続いたオーナー家の「志」が明確
一、従業員の行動指針を示したサタケ精神を受け継ぐ

1921年創業 株式会社本宮商会

地域の水インフラ支える商社 64期連続で黒字決算

安芸津町の本宮商会本店

 生活には欠かせない水のインフラを支える配管資材や、トイレなど水回りの住宅設備機器を卸販売する商社だ。
 農業用の肥料販売業として産声を上げ、戦後、安芸津町のミカン農家から「水やり用の配管を通してほしい」と依頼されたのをきっかけに水道用配管の取り扱いを始めた。大きな転機となり、1960年に法人化。安芸津町に本店、西条町に支店と国際事業部を構え、東広島や呉を中心に事業を広げていった。
 現在、取り扱いメーカーは100社、扱う商材は7000品を超え、水道事業を運営する官公庁からも信頼を得ている。法人化以降、昨年まで64期連続で黒字決算を達成。4代目社長の本宮孝氏は「スケールメリットでは大手にかなわない。その分、地域とのつながりを大切にしてきた。(黒字は)その積み重ねの結果」と胸を張り、「常に世の中のお役に立つことを願い、これからも地域が求める製品とサービスを提供し続けたい」ときっぱり。思いは創業当初から、いささかもブレない。

企業長寿の秘訣
一、地域との強いつながり
一、取り扱い商材の幅広さ
一、黒字経営を続ける堅実さ

1916年創業 株式会社石井印刷所

「オフィスの相談役」強み。原動力は顧客の支援

今年、文具店内を改装した石井印刷所

 現在の東横イン東広島西条駅前の場所で印刷会社として創業。当時、西条町には他に印刷会社が少なく、地域の事業所(会社)が業務や伝達に使われる商業印刷を一手に引き受けていた、という。
 その後、1964年に現在地(西条岡町)に移転。印刷だけではなく、文房具やオフィス用家具、事務機器などの販売にも力を入れるようになった。「オフィスに必要なものはすべてそろう」という強みを生かし、官公庁や医療機関などにも販路を広げていった。
 平成の時代に入ると、商業印刷は従来のオフセット印刷に加えて、オンデマンド印刷が登場。文房具はネットで気軽に購入できる時代に。3代目の石井千之社長は「印刷は従来の印刷設備とオンデマンド設備をフルに活用し、お客様のニーズに応えたい。文房具は実際に来て見て触れて、自分の好きな文房具を楽しんでもらいたい」と話す。

1881年創業 明治安田生命保険相互会社

地域の元気を後押し。アフターフォローを充実

道の駅で開いた健康増進イベント

 前身の明治生命と安田生命はともに明治初期の創業。顧客の安心を守ってきた日本で最も「歴史と伝統」のある生命保険会社。その2社が2004年に合併して誕生したのが明治安田生命だ。生保事業のパイオニアとして、顧客と地域社会を支える姿勢は不変だ。
 広島には1920年に広島出張所が開設され、東広島市には当初八本松にも営業所があったが現在は賀茂西条営業所に一本化されている。本来業務の一方で力を入れているのが「地元の元気プロジェクト」と「みんなの健活プロジェクト」。東広島市と連携協定を結び、市内各所で健康増進イベントなどを開き、市民の健康と地域の活性化に一役買っている。
 同営業所に現在在籍する46人のMYリンクコーディネーター(営業職員)は、「対面の強みを生かし、アフターフォローのしっかりした会社であり続けたい」と話す。

プレスネット編集部

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