山形銘菓『のし梅』を生まれてはじめて食べてみた
山形県の銘菓に『のし梅』がある。存在はほんのり知っていたが、これまで口にする機会なく生きてきた。それがようやく、物産展のようなところで手にする機会を得る。
ちょうどそばにいた、山形県出身の友人に聞いたところ「美味しいよ」とのお墨付きもいただいた。名前を聞いただけでは、酸っぱいのかそれとも甘いのか、はたまたしょっぱいのか不明だ。いざ『のし梅』初体験である。
・初対面
いろいろなメーカーから『のし梅』が出ているようだが、今回記者が手に取ったのは玉屋総本店のもの。宝暦4年(1754)創業と老舗のようで、値段は600円だった。
公式サイトでの通信販売は2015年に終了しているため、他社製品と比べると手に入る機会はそう多くはないかもしれない。偶然出会えてラッキーだ。
さっそく封を開けると、酸っぱい梅干しのような匂いと共に長方形の竹の葉が5束出てきた。竹の葉は一部テカテカしており、触るとベタっとしている。
『のし梅』は何処だろうかと竹の葉を持ち上げると、どうやら葉と葉の間に挟まっているようだ。隙間からうっすらソレが見える。
葉をめくると、ついに『のし梅』と対面だ。透き通った、べっこう飴のような奇麗な金色をしており、包んでいる葉と同じように長方形。
そう言えば「のし梅さん太郎」という駄菓子があるけれど、あれはこの『のし梅』をモデルに作っていたんだなと今さらながらに気付く。
手で持つとやはりペタペタしていて、思ったよりも柔らかい。手で簡単に千切れてしまった。感触は、どこかゼリーのようだ。
・お茶請けに良い
その感覚は間違っていなかったようで、口に入れるとツルっと、噛むとカツンとしている。寒天っぽいと思い原材料欄を見ると、その通り寒天が入っていた。噛み切りやすいので、幅広い年齢の人が食べられそうだ。
しっかりとした甘みと優しい梅の香り、ほんのりとした酸味が、これぞお茶請けという感じ。一度にたくさんではなく、ちびちびと少しずつ味わいたい。
なるほどこれが『のし梅』か。冒頭に書いた通り、はじめて食べたが昔から知っていたような、どこかで既に口にしたことがあるように錯覚する、そんな懐かしさがある。
パッケージには『のし梅』の由来が記載されており、曰く、もとを辿れば中国より伝来した梅醤を原料とする秘薬であるとのこと。それを山形に持ち帰った後、粗糖を混ぜ笹の葉に熨(の)し、暑気除けの妙薬として売り出したのだという。
梅は古くより薬としても使われていたので、なるほど納得。もともと山形は梅の生産が盛んであったこともあり、うまいこと商売に取り入れて今の今まで伝わって来たのだろう。
また『のし梅』は料理の、いち食材として使われることもあるよう。農林水産省のサイトにアレンジレシピ「のしうめときゅうりの和え物」が載っていたので、試してみた。
切ったのし梅ときゅうりに、塩とオリーブオイルを混ぜて白炒りごまを振りかけるだけ。この日我が家のごまが切れていたので、ごまなしで作ってみたが、これが結構イケる。
きゅうりの青臭さを、のし梅の甘味と酸味がうまく包み込んでくれて食べやすい。予想外にオリーブオイルとの相性が抜群で、舌触りをより滑らかにしてくれる。シャキっとしたきゅうりと、柔らかいのし梅との食感のバランスも良い。
5束ある『のし梅』を消費するには少し時間がかかりそうだと思っていたところだったので、ちょうど良かった。ほかにも何かアレンジメニューを考えてみようと思う。
このようにして、はじめての『のし梅』体験は楽しく美味しく終了した。いつの日か実際に山形県に足を運び、現地で『のし梅』を味わってみたい。
参考リンク:玉屋総本店「のし梅」、農林水産省「のし梅」
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.