なに(ゆるめるモ!)[インタビュー]新体制で新たなアドベンチャーへーー過去、新曲、未来を語る「グループとしての完成度は高くありたいと思うけど、どれだけ自分の感情を歌に乗せて届けられるかが大事」
ゆるめるモ!が、9月14日(土)に新曲「泡べちゃアドベンチャー」を配信リリースした。
今年5月に新メンバーのらき、まことの2名が加入したゆるめるモ!にとって新体制初の楽曲となる「泡べちゃアドベンチャー」は、ユニークな歌詞を叩き込むラップパートや疾走感あふれるビートに乗せて力強いユニゾンボーカルを聴かせる彼女たちらしい中毒性あふれる楽曲となった。
今回、Pop’n’Rollでは、ゆるめるモ!メンバーのソロインタビューを実施(現在休養中のまことを除く)。ゆるめるモ!加入を目指した理由からこれまでの活動、新曲への想いなどについて話を訊いた。
第1回目となる本日は、なにのインタビューをお届けする。
編集協力:竹内伸一
私のような人にこの曲たちを届けたいし、聴いてほしいと思った
――まずは、なぜアイドルになろうと思ったのかというところから教えていただけますか?
なに:
ゆるめるモ!が前に所属していた会社の社長さんが、私がバイトしていた居酒屋に来たんです。最初は普通に接客していたんですけど、“「サプライザー」っていういろいろできる人を探している”っていう話になって。私、服飾系の学生だったんで、そのスキルも活かせていいかなと。それで、最初は“サプライザー”に応募しようとしたんです。もらった名刺の番号に電話してみたらマネージャーさんから“研修生を募集しているから、よかったらこっちに応募してみてほしい”みたいな感じのことを言われて。とりあえず、ぴゅーぴるモ!っていうゆるめるモ!の研修生の方に応募することにしたんです。
――そこでアイドルをやらないか?と言われて、どう思いました?
なに:
当時、あんまり学校に行けてなくて、けっこう路頭に迷ってて。もともとアイドルは好きだったんですけど、自分でやるっていうのは、ちょっとよくわかんないなって感じだったんですよね。だけど、とりあえず応募するだけしてみようかなって。受からないかもしれないし、受かったら頑張ろうみたいな気持ちでした。あ、でも受けるからには本気でやりました。それで、見事研修生になりました(笑)。
――やると決めた以上は本気を出すと。
なに:
でも、曲も知らない状態だったんです。そのオーディションは表立って募集しているものではなくて、いろいろと縁があった人が参加していて。だからゆるめるモ!のことをすごい知っている人しかいないんですよ、オーディションに。“じゃあ歌ってください”って言われて、みんなはゆるめるモ!の曲を歌ったんですけど、私だけ、ハロプロの曲を歌って。ハロプロのヲタクだったんで。でも、受かったんでよかったです(笑)。
――合格する自信はありましたか?
なに:
自信はないですけど、やるって決めてからは、自分がステージに立っているビジョンしか脳に浮かんでこなくて。“やらない未来は見えない”ってずっと言ってました(笑)。急に話をもらったくせに、それしか頭に浮かんできませんでした。“ステージに立っている自分しか想像できません”って、オーディションのたびに熱弁してました。
――メンバーとしての自分がイメージできたんですね。もともとダンスや歌は習っていたりしたんですか?
なに:
ダンスはやっていましたけど、別に上達したわけではなくて。かじった程度ですね。田舎のちっちゃなダンススクールでしたし。歌は、ちっちゃい頃から歌うのは好きでした。でも好きだっただけですね。
――先ほどハロプロのヲタクだったとおっしゃっていましたが、ハロプロではどのグループが好きなんですか?
なに:
アンジェルムです。2017年くらいからコロナ禍くらいまではずっと追いかけてました。りなぷ~(勝田里奈)卒業の日に、私、デビューだったんですよ。だから好きだったのに卒業ライブに行けなくて。朝、物販に並んで、友達がみんな会場に入っていくのを“バイバイ、楽しんでね”って見送って、自分のライブに行きました(笑)。あと、上國料萌衣ちゃんが好きで、今も続けていてくれて嬉しいです。
――今や大人気ですからね。
なに:
ホントすごい! 見つかりましたよね。売れてくれてありがとうって思います。
――ゆるめるモ!の研修生として活動を始めた頃はどうでした? それだけハロプロが好きだと、アイドル=ハロプロのイメージだったと思うんですけど、いわゆるライブアイドルの活動はどう思いましたか?
なに:
なんだろう……マイクは左手に持って、絶対に口元から外さないとか……。
――それって完全にハロプロじゃないですか。
なに:
振りコピも好きだったんで、外から見る知識だけは持ってたんですよ、やったことないくせに。
――実際にやってみたらイメージしていたものと違いました?
なに:
いや、歌って踊るのけっこう楽しいかもって思いました(笑)。やっぱりもともと歌うのはめちゃくちゃ好きだったし、踊りもちょっとやったことがあったから。
――これならやっていけそうだと。
なに:
なんとかやっていかないとなっていう感じでした。やっぱり、ゆるめるモ!を知ってる子しかいない中で、私はゼロからスタートなんで、めちゃくちゃ曲を聴いたんですよ。でも、もう曲の数が多過ぎて。“次のレッスンでこの曲やるよ”って言われたら、“何、この曲、知らない……”みたいな(笑)。それで“ヤバいヤバい”って。アルバムの曲を全部聴ときゃいいやって思ったんですけど、アルバムに入っていない曲もあるんですよね。“聴いてないよ!?”ってびっくりしました。
――それは焦りますよね。
なに:
でも、そうやって曲を聴いてからは“もっと早く出会いたかったな”ってめっちゃ思いました。私、いじめられたりしていたんで。くそ病み散らかしてたんですよ、学生時代は。だから、私のような人にこの曲たちを届けたいし、聴いてほしいと思ったんですよね。そういう人っていっぱいいると思うんで、届けられるように頑張ろうと思いました。
――過去の自分と同じような気持ちの人が、世の中にはいっぱいいますからね。
なに:
みんな(ゆるめるモ!の曲を)知った方がいいです。
ゆるめるモ!のメンバーは、周りを巻き込む力がある
――今、活動していてすごくやりがいがあるんじゃないですか?
なに:
あります。だけど、ちゃんと届いているのか不安もすごくあります。やっぱり新規の人に観てもらう場が、今は上手に作れていないなって私はすごく思ってて。もっと新規の人に観てもらえるようにしたいんですけど。ライブに行ったことがないとか、ライブはちょっと行きづらいと思っている人に観てもらいたいんですよ。本当にただの願望とかワガママですが、学校に行きたくないなあとか思ってる子たちを集めてライブしてみたいなあとか思います。
――よく知らないまま始めたけれど、実際にゆるめるモ!で活動してみたら、ゆるめるモ!は過去の自分も含めて救ってくれる場所になったという感じですか?
なに:
そうですね、今はめちゃくちゃ大切です。
――ゆるめるモ!メンバーになって4年半くらいになりますけど、その中で、特に印象に残っていることは何ですか?
なに:
しふぉんさん、けちょんさんが抜けちゃって、私とねるんちゃんが背負っていく……へそとめあり、まつりは今はもういないですけど、その5人で背負っていくことになったZepp DiverCity(TOKYO)(2021年10月10日)ですね。焦りと不安でぐちゃぐちゃでしたけど。
――そこから現在に至るまで、手応えを感じた瞬間はありますか?
なに:
えっ、ないです(笑)。だって、もっとたくさんの人に響く曲があるのに、まだ届いていないと思っているので。うちらもっともっとやれるって思っているので、これから手応えを感じたいです。あ、でも5人で最初にやったツアーファイナルのワンマンは、けっこうたくさんの人が来てくれて、嬉しかったですね。
――それは2021年12月26日の神田スクエアホール公演ですか?
なに:
そうです。<DELIVERY LIFESAVERS TOUR後半戦~新しい冒険の始まり~>のツアーファイナルですね。その後の5人のツアーも、うちらけっこう頑張ったなあ。頑張ってるけど、それが結果につながっているかと言ったら、あんまりそんな感じはしてなくて。でも、大事な過程ではあると思うんで、これからだなって思っています。
――ゆるめるモ!を広めるために、今取り組んでいることはありますか?
なに:
今ですか? 何したらいいんですかね? 今の時代、SNSとかもうよくわからなくなっちゃって。なんか、もうやっても意味がない感じもするし。どうしたらいいんでしょう……まずは人と話す練習かな(笑)。いろいろやらなくちゃいけないことはあるんでしょうけど、とりあえず私はライブを全力でやって、ゆるめるモ!の曲を届けるのみだと思っています。ホント、ライブを観に来てほしい。どこかに行くのってすごい労力だし、直前になって“行くのやーめた”みたいなこと、私もあるので、大変だってこともわかるんですけど、ちょっとでも興味があるなら来てほしい。だから、どうやったら来てくれるのか、考えなくちゃいけないですよね。
――観に来てくれさえすれば、楽しませる自信はあるんですよね?
なに:
あります。ライブはたくさんやっているので、すごい自信を持ってます。ゆるめるモ!のメンバーは、周りを巻き込む力があると、私は勝手に思っています。
レコーディングを終えるごとに成長した感じがすごくする
――新曲「泡べちゃアドベンチャー」を初めて聴いた時はどんな感想を持ちました?
なに:
賑やか(笑)。元気だなって思いました。でも、けっこうメッセージ性は強くて。なんていうか、単語の歌みたいになってるなと思ってて、それでちゃんとサビで強いことを言っている……けっこう攻めてる歌詞だなと思います。
――ゆるめるモ!はもともとメッセージ性の強い曲が多いと思うんですけど、その中でも攻めてる曲だと?
なに:
めっちゃ攻めてると思います。ワンチャン叩かれるんじゃないかと思ってます。私は正直、それが怖いです。
――具体的にどのあたりが叩かれそうだと思うんですか?
なに:
《死にたいほど苦しいことも一瞬で終わるから》っていう歌詞があるんですけど、私自身は一瞬では終わらないって思ってるので。私と同じように思う人もいるんじゃないかなって。だから怖いなって思っているんですけど、ただ、“死にたいほど苦しいことも一瞬で終わるから”って、そういう考え方ができたら楽だろうなとは思うんですよね。今この瞬間は苦しくても、でも一瞬で終わってしまうんだって思えたら、自殺する人も減ると思います。苦しいことがずっと続いちゃっているから、どんどん苦しくなってしまって、命を投げ出してしまう人もいると思うんです。
――言葉の捉え方は人ぞれぞれですし、メッセージ性の強い曲や人の背中を押す曲に、拒絶反応を示す人が一定数いるのは事実だと思います。
なに:
ホントにしんどい人は、それが一瞬で終わったらどれだけ楽だろうって思います。「泡べちゃアドベンチャー」はめちゃくちゃいい曲だと思いますけど、本当にしんどい人に対しては、こんなこと言ってもいいのかなって思ったりしながら歌いました……こんなこと、誰にも言ってないですけど。
――なにさんは、当事者でありながらゆるめるモ!のことを俯瞰で見ているんですね。いい面だけじゃなくて、その反面に悪い面も必ずあるというバランスの取れた視点で見ている気がします。
なに:
あ、そうかもしれないですね。
――レコーディングはいかがでしたか?
なに:
めっちゃ難しかったです。歌詞がどうのってことではなくて、技術面として、音程とリズムがごみごみしているというか。でも、私、レコーディングはめちゃくちゃ好きなんですよ。レコーディングしまくりたい(笑)。新曲を作るってなったら“やった! いっぱいレコーディングできる!”って思いますね。だから今回も、難しい曲でしたけど、レコーディング自体はすごく楽しかったです。レコーディングを終えるごとに成長した感じがすごくするんですよ。成長したな、歌い切ったなって。
――レコーディングのどういうところに楽しさを感じますか?
なに:
まず、自分が思ったように歌えたらめっちゃ楽しいです。歌い方に正解ってないと思うんですけど、私が思うドンピシャな歌い方を毎回したいと思ってレコーディングしてるんです。でも思ったように歌えなかったら、怒ってます。“なんで歌えないんだ!”って(笑)。“ここ難しくて歌いたくない!”なんて言っちゃうんですけど、でもそんなの無理なんで、泣きながら“ちょっと待っててください”ってお願いして。そんなふうになんとか歌い切ると、自分が成長したなって感じがして嬉しいです。
――では、これからも作品がどんどん増えていくといいですね。
なに:
そうなったらマジで嬉しいです。
――レコーディングの時は、事前にイメージを固めていくんですか? それとも現場でディレクターなりプロデューサーなりと話し合いながら固めていくんでしょうか?
なに:
当日までに自分で固めていって、当日は“ここはこういう感じですか?”って聞いて“そうだ”って言われたら、そのまま歌うし、“違う”って言われたら、また考えます。歌っている最中にも“もうちょっとこうしてみて”とかって言われるんで、それにも応えながらやっていきますね。それで“お、いいね!”って言われると嬉しい(笑)。
――ハロプロ好きだったから、歌い方の引き出しは多いんじゃないですか?
なに:
そうありたいです(笑)。ハロプロはレコーディング動画を出してくれるんで、“あ、こうやってレコーディングしてるんだ”ってわかってすごく好きなんですよ。うちらもやりたいなって思うんですけど、でも、メンバーの中にはレコーディングが苦手な子もいるので、うちらはやっていないんですけど。まあ、そこはみんなに合わせます(笑)。
――ハロプロのように、可愛らしくてかっちりと完成されたパフォーマンスをしたいという気持ちはありますか?
なに:
グループとしての完成度は高くありたいなとは思いますけど、パフォーマンスがいいとか、歌がめっちゃウマいとかよりも、ゆるめるモ!は、どれだけ自分の感情を歌に乗せて届けられるかだと思うんです。そういう姿勢でライブをするかどうかが、ゆるめるモ!には重要で、別に踊りがヘタでも歌がヘタでも、一生懸命にゆるめるモ!の歌を届けたいと思ってステージに立つことが大事だと思います。
――今日は届いたなと思うライブってけっこうありますか?
なに:
ありますね。けっこうあります。
――それってお客さんの反応でわかるんですか?
なに:
あ、自己満です(笑)。でも自分でいいライブしたなって思えた日は、SNSに“よかった!”っていう感想がけっこう上がりますね。それを見て“だろ?”って思ってます(笑)。
――ファンと感覚が一緒になるのはいいことですね(笑)。その一方、個々のメンバーがよかったと感じても、必ずしもグループ全体としていいライブになるとは限らないじゃないですか。ライブを観ていると、グループで作り上げていくことの難しさみたいなものを感じます。
なに:
難しいですね。“けっこう気合い入れてやったのになあ……”っていう時もあるし、気合いを入れてないわけではないですけど、肩の力が抜けてできた時の方が、初めてのお客さんからも“よかったよ”って言われたりするんですよ。“何でだろう? 今日くらいの感じでやった方がいいのかな”なんて思うんですけど、ライブ中はあんまり制御できなんですよね。
――グループとして、これから取り組んでいきたいことはありますか?
なに:
なんでも挑戦していきたいと思ってます。無銭の野外ライブとか、路上ライブもやりたいんですよ。通りすがりの人に観てもらう機会を作りたくて。それと、SNSで数字があるメンバーもいるので、ライブ映像とかをちゃんと出したいなって思います。コロナ禍の時にYouTubeとかもやっていたので、それもまたやったらいいんじゃないかと。
――頑張って活動しているので、やっぱり多くの人に知ってもらいたいですよね。せっかくいいものを作っているんだし、ゆるめるモ!のことを知ったら、救われる人もいるだろうから、そういう人たちに届くといいですね。
なに:
ホントにそう思います。
――では、最後に読者にメッセージをお願いします。
なに:
みなさま、読んでくれてありがとうございます。新規新規って言いましたけど、今いる人たちも大事だし、以前は来てくれていた人も大事……ゆるめるモ!はいつでも帰ってきていい場所だから。私たちはいつでも待っていますので、ライブでまた会いましょう!