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多様化する『猫の受診スタイル』主な方法3選 動物病院嫌いな愛猫にも選択肢が増える?

ねこちゃんホンポ

1.通院スタイル

一番基本となる受診スタイルで、この後ご紹介する往診やオンライン診察も、基本的には受診スタイルと組み合わせて行うことが多いです。

欧米では動物病院を「猫にやさしい場所」に変えるためのCFC(Cat Friendly Clinic)というガイドラインが作られ、基準をクリアすることでCFCである認定をうけることができます。日本の動物病院でもこれに基づいた「猫に優しい動物病院」が目指されており、CFCを取得している動物病院も増えてきています。

近年では、猫専門病院や、猫待合室、猫診察室、猫専用の診察時間帯などを設けているところもあり、猫に優しい動物病院が増えてきています。

メリット

✔必要な設備が揃っているので治療の選択肢が増える
✔その場で必要な検査が行えるので病気を発見しやすい
✔急変など予想外の事態にも対応しやすい
✔病院だと大人しくしていられる猫では診察がしやすい
✔直接動物に触れて診ることができるので、正確な診断がしやすい

デメリット

✔病院に連れて行くのに猫を捕まえるのが大変
✔飼い主さんが病気や高齢の場合、連れて行くのが大変
✔病院や車という慣れない場所で猫がパニックになることがある
✔他の動物の匂いや声で猫にストレスがかかり、病状が悪化することがある

2.往診

獣医師や動物看護師が直接飼い主さんのお宅にうかがい、診察をするスタイルです。最近は往診専門の動物病院や、夜間でも往診を行っている動物病院もあります。

飼い主さんが高齢で猫を動物病院に連れて行けない方や、猫の移動によるストレスが気なる方や、猫が高齢で在宅でできる緩和治療のみしたい場合などにもおすすめです。

メリット

✔猫をキャリーに入れるのが大変な場合、そのストレスがなくなる
✔病気や高齢などを理由に、飼い主さんが動物病院に猫を連れて行けない場合でも診察ができる
✔猫にとっていつもいる場所で診察ができるのでストレスが少ない
✔継続の治療でやる事が決まっている場合、通院と変わらない治療が自宅で受けられる

デメリット

✔往診に持って行けるものが限られているため、臨機応変な治療や検査ができない
✔自由の効く慣れた自宅では、おとなしく診察できない猫もいる
✔予約が必要な病院が多く、すぐに診てもらえないことが多い
✔往診料がかかる 

3.オンライン診療

近年誕生した新しい往診スタイルで、パソコンやスマートフォンのビデオ通話を用いて、遠隔で獣医師による診察を受けることができるというサービスです。

人ではコロナ禍でオンラインによる診療が普及されてきましたが、動物医療でも2022年に、日本獣医師会から「愛玩動物における遠隔診療の適切な実施に関する指針」が発表されており、今後さらにオンライン診療を行う動物病院が増えてくるのではないかと思われます。

メリット

✔触れられない猫や捕まえられない猫でも診察が可能
✔検査結果などがあれば、それを元に遠い場所にいる専門医のセカンドオピニオンを受けることができる
✔夜間など病院がやっていない時間帯に気軽に獣医師に相談ができる
✔飼い主さんがコロナウイルスに感染したなどで、外出できないときにも猫の診察を受けられる

デメリット

✔映像だけでは正確な診断が行えないことがある
✔検査や治療が必要な場合、すぐに対応できない
✔通信機器と良好な通信環境が必要
✔実際に動物に触れないので隠れた疾患を見つけることができない

ストレスを少なく猫を動物病院に連れていくには

レントゲンや手術・入院など、どうしても動物病院でしかできないこともあります。

その際に猫のストレスを少なく、動物病院に来院する方法をご紹介します。

✔前面と上面が開くキャリーにする(上を開けることで、猫をキャリーから出さずに診察ができる)
✔普段からキャリーに慣らす(ベッド代わりに部屋に置いておく)
✔来院する際にはキャリーにタオルなどをかけて目隠しする
✔洗濯ネットに入れた状態でキャリーに入れる(猫が脱走するのを防ぐだけでなく、狭い場所だと安心しやすい)
✔猫用のフェロモンスプレーを使用する

まとめ

アメリカで行われたアンケートでは、猫の飼い主の58%が「猫を動物に連れていくことに対して、嫌悪感を抱く」と答えており、それだけに猫を動物病院に連れていくハードルは高く、来院した時には症状がかなり進行しているというケースも多々あります。

往診やオンライン診療にもデメリットはありますが、来院が難しい多くの猫にとっては、病気を早期治療でき、命を助けることのできる一つの手段になります。

猫を動物病院に連れていくか迷っている方は、まずは往診やオンラインでも可能か、動物病院に問い合わせてみるのが良いでしょう。


(獣医師監修:加藤桂子)

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