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「タケノコだけど掘る必要なし?」 淡竹(ハチク)のタケノコ採りのススメ

TSURINEWS

タケノコ(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)タケノコ

我が埼玉県を流れる荒川、入間川の河川敷には所々に竹林が広がっています。近年手入れが行き届いていないようで、本来の敷地を超え、タケノコが土手に生えてきては伐採業者が他の草と一緒に刈っている状態。「勿体ない!」ということで、筆者はGW明けにこれをせっせと採りに出かけています。

淡竹(ハチク)のタケノコ!

日本で見かける竹は主に孟宗竹(モウソウチク)、真竹(マダケ)、淡竹(ハチク)の三種だそうです。更に「食べて美味しいタケノコ」に絞ると、世間一般ではイコール孟宗竹のもの、と言っても過言ではありません。実際筆者が住む埼玉県に限って言えば、スーパーなどで見かけるタケノコは全て孟宗竹のものであり、淡竹のタケノコは、県北の農産物直売所で見かける程度。真竹に至っては、少なくとも筆者は売られているものを見たことがありません。

タケノコと言えばこれ!(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

そんなマイナーなタケノコは不味いかと言うとそうではなく、美味しいタケノコとして有名。特に淡竹のタケノコは柔らかく甘みもあり、「孟宗竹のそれよりも美味しい」という意見も多く聞かれるほど(実際筆者の母もそう)。そんな淡竹のタケノコ、実は我が埼玉では、時期になると河川敷やその境界にあたる土手で山ほど採れるんです。

淡竹との出逢い

小鮒やクチボソ釣り、野草採りでせっせと荒川や入間川近辺のホソに繰り出していたのですが、春から初夏にかけて以前から気になっていた存在一つ。それはスーパー等で売られているものとは違う小型のタケノコ。

淡竹のタケノコ(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

道路脇や土手に生えていたり、時にはアスファルトを突き破って生えていたり、酷いものは河川敷野球場の外野に生えてきていたり。竹は生命力が強く、横へ横へと根をのばすので、管理が行き届かなくなるとこういう事態を招いてしまいます。

採り頃ですね(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

そんな「迷惑者のタケノコ」は、当時筆者が食用と認識している孟宗竹のものとは明らかに見た目が異なっていたため、エンジン式草刈り機を持った伐採業者が刈り取っている姿をただ見ているだけでした。

伐採業者に任せましょう(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

しかしある日、刈られる前の「河川敷のタケノコ」をカマで採っているヘラブナ釣り師を発見。話を聞いてみると「美味いよ」とのこと。「何ッ!?」と思い、この日を皮切りにタケノコについて調べだし、「迷惑者のタケノコ」の中でも特に美味しく、そして下処理(あく抜き)が楽な淡竹を好んで採るようになった、というストーリーで現在に至っています。

伐採業者に任せましょう(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

因みに真竹についても、採り方、下処理法は淡竹とほぼ同じの美味しいタケノコなのですが、河川敷エリアでは少なく、筆者の自宅近辺では神社の敷地にてよく見かけます。勿論、私有地に生えているものを勝手に採ってはいけません。

笹(メダケ)のタケノコ(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

採り方

一般的なタケノコ採り、いわゆる孟宗竹のタケノコ採り(掘り)は、テレビのバラエティー番組等で広く紹介されているとおり、土にちょこっと出たタケノコの先端を見つけ、周りの土をスコップ等でかき分けるように掘り、最後は大きめの鍬で地下根から切断するように採る、といったかなり手間のかかる方法なのですが、淡竹や真竹はこれとは全く異なり、土から20~30cm出たものをポキッと折って採る、もしくはノコギリ鎌(100均のものでOK)でザクっと刈る、といった方法。

これだけあれば色々な料理が楽しめます(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

更には40~50cmのびてしまったものでも、先端の20cm位は割と柔らかいので、それを刈ってもOK。簡単ということで、宝探し的なワクワク度は低く、ゲーム性も皆無なのですが、物価高のこのご時世、コスパの良い、とても優秀な天然食材だと思います。

また緑色のタケノコを見つけたら、これは南関東では雌竹(メダケ)という、竹ではなく笹のタケノコの可能性が高いです。北関東や東北の山間部で見つけたら、ネマガリダケという美味しいタケノコの可能性はあるのですが。実際、食べられなくはないようですが……一度食べてみたらめちゃくちゃ苦かった(汗)

下処理法

写真の淡竹はものの15分程度で採ったもの。採るのも簡単なら、下処理も簡単なのが淡竹(と真竹)の良い所。孟宗竹のタケノコに比べて小型という点のみ、皮を剥ぐ作業の面倒くささがぬぐい切れないものの、それさえ終えてしまえば後は10分程度茹でるだけで下処理完了。

大丈夫な人は……渓流釣りの特エサにでも(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

すぐに食べないのであれば、水煮の状態にし、タッパやジップロックに入れ冷蔵庫に仕舞っておけば一週間位持ちます。尚、注意事項一点。美味しいタケノコ、ということで虫(蛾の幼虫?)が入っているものも稀、ではなく、よくあります。この虫、見た目が結構グロイので、苦手な方は「やばい!」と思ったらそのタケノコは下処理中止が得策かもしれません(笑)

後は茹でるだけ(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

料理

筍ごはんと煮ものは定番(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

柔らかくて甘みもある淡竹のタケノコ。

シナチク風炒め物とサラダ(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

大きい孟宗竹のタケノコ程食べ応えはありませんが、ほぼ100%、同じ料理にできます。

春巻きもイイネ!(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

たくさん採ってバリボリ食べましょう!

タマネギの代わりにタケノコでタルタル!(提供:TSURINEWSライター尾崎大祐)

淡竹と真竹は釣り竿にも

実はこの記事を書いている最中に知ったのですが、淡竹や真竹は釣竿(和竿)の材料にもなっているそうです。食用という認識でいた植物が、まさか釣りの、しかも主役級の材料になっていたとは。

「これは運命の出逢い!」と思い、ネットで購入してみようとしたのですが……天然の竹で作られた和竿はどれも高級品でして。この記事を書いている時点では、まだ「購入手続きへ」をポチッとする決心がついていません。

<尾崎大祐/TSURINEWSライター>

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