黒字なのに…資産もあるのに… なぜ増える? 静岡県の企業で“あきらめ廃業”
■黒字の休廃業が約半分 資産超過は6割以上
民間の調査会社・帝国データバンク静岡支店は、2024年に発生した企業の休廃業・解散動向に関する調査結果を公表した。休廃業の件数は前年から約2割増加し、中でも“あきらめ廃業”が増えている。
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帝国データバンクによると、2024年に休業や廃業、解散した静岡県の企業は1941件で前年から19.8%増えた。3年連続の増加となる。休廃業した企業の正社員数は少なくとも2348人に上るという。
休廃業した企業のうち、直前期の決算で当期純利益が黒字だった割合は49.1%と半数近い。また、保有資産の総額が債務を上回る状態で休廃業した「資産超過型」は60.4%と6割を超える。黒字かつ資産超過で企業を畳んだ割合が全体の16.1%を占めている。このように手元に資金があっても休廃業する“あきらめ廃業”が増えている理由について、帝国データバンクは次のように分析している。
「2023年以降に持続化給付金や雇用調整助成金といった支援策は徐々に縮小されたほか、電気代などエネルギー価格をはじめとした物価高、人手不足問題やそれに伴う人件費負担の増加など四重・五重の経営課題が押し寄せた。こうした厳しい事業環境の中で、官民による廃業支援が充実してきたことも背景に手元資金などで余裕があるうちに会社を畳む企業が増えている」
また、休廃業が増加する背景には経営者の高齢化もある。休廃業時の経営者の年齢は70代が41.3%で、80代以上が22.8%。70代を超える割合が64.1%となっている。平均年齢も71.9歳と上昇している。帝国データバンクは「体力的な側面からも後継者への事 業承継活動が困難となり、休廃業・ 解散を余儀なくされている可能性 がある」と指摘している。
業種別では、建設業の休廃業が最も多く、全体の30.4%を占めている。次いでサービス業が20.8%、製造業が15.6%だった。運輸・通信業は26件と件数は少ないが、前年の14件から大幅に増加。上昇率は85.7%で最も高かった。2024年問題が影響したとみられている。
(SHIZUOKA Life編集部)