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35歳で“キャリアの選択肢”を失わないために。27歳から始める「株式会社じぶん」のキャリア戦略

求人ボックスジャーナル

35歳で“キャリアの選択肢”を失わないために。27歳から始める「株式会社じぶん」のキャリア戦略【求人ボックスジャーナル】はたらき方やキャリアを考える機会を創出するメディア

35歳以降、転職の難易度は5歳ごとに確実に上がっていく──。
だからこそ、27歳の今から 「自分=ひとつの会社」 と捉え、いくつになっても選択肢を広げられる準備を始めるべき。『いつでも会社を辞められる自分になる』の著者である黒田真行さんが語ります。多くの人が抱える「このままで大丈夫だろうか」という漠然とした不安に対し、黒田さんが提示する「株式会社じぶん」という視点は、まさにキャリアの潮目を変える羅針盤となるでしょう。
どうすれば“自分という法人”を設計できるのか。その具体的なステップについて、キャリアのプロ・黒田さんに解説いただきました。

手遅れにならないためには、「27歳」が分岐点

仕事にも手応えを感じはじめ、後輩もできてきた27歳前後。「このまま頑張れば、それなりのキャリアが築けるだろう」──そんな“万能感”が芽生える時期です。しかし実は、ここがキャリアのターニングポイント。なぜなら、 転職市場は35歳を境に大きく変わる からです。

転職希望者数は、20代後半から40代前半まで大きく変わりませんが、“求人数”は年齢とともに激減していきます。たとえば──

35歳以下では「100件の求人に100人の応募者」がいるとしたら 40歳では求人は「50件」、 45歳では「25件」、 50歳では「12.5件」

およそ5歳刻みで“求人が半減”し、「同じ椅子を奪い合う競争」が倍々に跳ね上がっていくのです。つまり急に転職できなくなるわけではありませんが、「選べる可能性」が確実に削られていく構造なのです。

選択肢があるうちは、自分に合った働き方を選ぶことができます。逆に、選択肢が減れば、「やりたいこと」や「納得できる環境」は手の届かないものになります。

だからこそ、 今のうちに「自分=ひとつの法人」として捉える視点が重要 です。会社に依存せずに働くという意識を持つことで、キャリアの選択肢は大きく広がります。給料は、会社が“与える”ものではなく、自分の価値に対して社会から“得る”対価。この意識の転換こそが、キャリアの自由度を高める第一歩になります。

そこで提案するのが、「株式会社じぶん」という考え方。
自分はどんな価値を、誰に、どう届けるのか?
どんな市場に身を置き、どうやって選ばれる存在になるのか?

それを今、現実的に描いておくことで、将来の選択肢は“減るもの”ではなく、“自ら増やしていけるもの”へと変えていけます。

「株式会社じぶん」をつくるための4つのSTEP

ここから紹介する STEP1〜STEP4 は、実際に企業を創業する際に使われる「事業計画」の基本構成です。つまりこれは、あなたという“法人”が、社会の中でどう価値を提供し、どう生き残っていくかを考えるための“キャリア設計図”でもあります。

会社に頼らず、自分自身の価値で稼げる人生を選ぶために──この4つのステップを軸に、今このタイミングから「株式会社じぶん」を立ち上げていきましょう。

STEP1:ビジョンとミッション──「何のために、何をやるのか」を言語化する

まず考えたいのは、「自分は、何のために働くのか?」というビジョンと、「何を通じて社会に価値を届けたいのか?」というミッションです。

たとえば、「誰もが自分らしいキャリアを築ける社会にしたい」という想いがあるなら、それが“株式会社じぶん”の存在意義(パーパス)となります。そして、「キャリアの悩みを可視化するサービスをつくる」といった具体的な行動がミッションになります。
この段階では、 「できるかどうか」ではなく、「なぜそれをやりたいのか」という想いの言語化が何より大切 です。

STEP2:市場と顧客を分析する──「食っていけるか?」の現実を直視する

ビジョンやミッションを描いたら、次は「それで本当に食べていけるのか?」という現実的な検証が必要です。理想だけでなく、市場の有無や将来性を冷静に見極めましょう。
たとえばライターを目指すなら、まず「今の市場にライターのニーズがどれほどあるか」を調べることが先決です。業界の規模や成長性、生成AIによる構造変化なども踏まえ、その職業が今後も成立するかを見定める必要があります。

大切なのは、「やりたいこと」と「売れること」の重なりを見つけること。市場が縮小していれば継続は難しく、需要が安定していれば、時代の変化にも対応して長く続けられる可能性があります。
そのうえで、 競合が多い中で自分がどう差別化できるか、どんな立ち位置で勝負できるのか を考えていくようにしましょう。

STEP3:ビジネスモデル設計──「自分らしいキャリアをどう構築し、稼ぐか」を考える

「株式会社じぶん」としてキャリアを考えるなら、必要なのは“キャリアプラン”ではなく、“事業計画”です。その中心にあるのが、自分のビジネスモデル──つまり「どの働き方・稼ぎ方が最適か」を設計することです。

ここでは、自分自身をひとつの事業体と見立てて考えます。
たとえば、正社員として組織に属するのか、個人で事業を立ち上げるのか。あるいは、派遣や業務委託など柔軟な働き方を選ぶのか。この“契約形態の選択”が、会社におけるビジネスモデルにあたるのです。
一見「安定」に思える正社員も、リストラ・配置転換・昇進待ちといったリスクはつきもの。若手の台頭でポジションが揺らぐこともあります。

一方、フリーランスや個人事業主は不安定に見えるかもしれませんが、自分の価値を明確にし、それを求める相手に正しく届けられれば、会社に依存しないキャリアを築くことも可能です。ここで大切なのは、イメージではなく、根拠ある計画に落とし込むこと。

今の自分に合った働き方は何か どの程度の収益が見込めるか 経費や生活コストを引いても継続できるか 長期的に見てスケールや安定性はあるか

そして、 理想の働き方を実現するにはどんなスキルや経験が必要で、自分に何が足りていないのか。その“ギャップ”を把握し、どう埋めていくか を考えることです。

STEP4:実行計画とリスクを検証する──「やりっぱなし」にしない準備をする

実行に移す前に必要なのは、冷静なリスクとリターンの洗い出しです。ここでは、選択できる内容を多角的に検証します。

たとえば、社員として実行する場合と、フリーランスで実行する場合では、得られるものも失うリスクも異なります。「長所(Pros)と短所(Cons)」を選択肢ごとに整理する Pros&Cons分析で、自分にとって最も納得感のある方法を見極める 。

実行計画を練るとは、単なるスケジュールづくりではなく、この「選択の検証」を含んでいるのです。それをもとに、自分なりの選ぶべきキャリアを決めていきます。それが、地に足のついた一歩を踏み出すための準備になります。

与えられた目標ではなく、自分発ゴールを掲げられるか

では、「株式会社じぶん」の事業計画を自然に描いている人とは、どんな人でしょうか。
たとえば、大谷翔平選手。彼はまさに自分という存在を一つの“企業”として捉え、明確な成長戦略を持ってキャリアを築いています。球団から与えられる目標はこなして当然。そのうえで、「自分はどうなりたいか」「どこまで行きたいか」といったインナー目標を立て、自らの意思でキャリアをコントロールしています。

年齢によるパフォーマンスの変化も、いずれ訪れる引退のタイミングもすでに想定済み。そのうえで、ピークの作り方や引き際まで自分で設計している。それこそが「株式会社じぶん」を持つということです。

プロフィール

黒田 真行

ルーセントドアーズ株式会社 代表取締役

1988年、株式会社リクルート入社。「リクナビNEXT」編集長、 リクルートエージェント HRプラットフォーム事業部部長、株式会社リクルートメディカルキャリア取締役を歴任した後、2014年にルーセントドアーズを設立。35歳以上向け転職支援サービス「Career Release40」を運営している。 2019年、ミドル・シニア世代のためのキャリア相談特化型サービス「CanWill」を開始。

代表著書 『35歳からの後悔しない転職ノート』『転職に向いている人 転職してはいけない人』

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