よく聞く「坪数」っていったい何?平米、畳の換算方法もご紹介
注文住宅を建てる際、土地の坪数や住宅の坪単価などといった「坪数」という言葉がしばしば話題にあがります。そもそも坪数とは何なのでしょうか?また、住宅や土地の広さを表す単位として「平米」や「畳(じょう)」も使いますが、どのように計算して使い分けたらよいのでしょうか?
この記事では坪数の意味、坪数から平米・畳数を計算する方法、注文住宅の坪数の目安について解説します。これを読めば坪数について理解できますので、注文住宅を建てるときに参考にしてみてください。
坪数の意味
坪数は土地の面積を示す単位であり、1坪は約3.3平米に当たります。もともと田んぼの広さに由来していて、奈良時代の条里制で「1坪は1人が1日で食べる米を収穫できる田んぼの広さ」を表していました。縦横1歩ずつの長さをもつ田んぼ面積が1坪に相当します。
この際に1歩は約1.8mとされ、1.8×1.8=3.24平米の広さは現在の1坪3.30平米とほぼ同じ値です。そして歩数の数え方は1つ歩(ヒトツホ)2つ歩(フタツホ)だったため、ツホ×ツホで「坪(ツボ)」になったといわれています。
つまり「坪」は生活に根差した数値なのですね。そして現在の基準は1辺が6尺の正方形の面積を1坪としており、1尺(10÷33m)=0.303mで、(0.303×6)×(0.303×6)=3.305平米が1坪に当たります。
「1坪は1人が1日で食べる米を収穫できる田んぼの広さ」ってどういうこと?
農林水産省の令和3年作物統計調査によると、10a(アール)当たりの米の予想収穫量は約500㎏と記載されています。
1a=100平米ですから1平米当たり500g
1坪当たりの米の収穫量は500×3.3=1,650g
1合は約150gですから1坪当たり11合の米がとれる計算です。
1日に11合も食べられませんよね?これはおそらく、大昔の稲は1苗からとれる米の収穫量がもっと少なかったのだと考えられます。年月が経ち、稲の品種改良などが進んだことで現在の収穫量になりました。
坪数に関連した用語
坪数に関連して建坪、坪単価の意味を解説します。
「建坪」は建築面積で真上から見た建物の面積(建築面積)を坪単位で表したものです。しかし建坪は、建築基準法で定められている言葉ではないため、業者によって異なる意味で使われることがあります。注文住宅を建てる際は、業者に確認してみてくださいね。
よく耳にする「住宅の坪単価」は以下の2通りで表されます。
①坪単価(建物部分)=建物本体価格÷延べ床面積
②坪単価(建物部分)=建物本体価格÷施工床面積
「延べ床面積」はバルコニーや小屋裏などを除いた住宅の床面積であり、平米あるいは坪数で表します。
「施工床面積」は施工するすべての床面積のことであり、バルコニーや小屋裏などの面積を含みます。
おわかりのように施工床面積の方が広くなり、住宅の坪単価は計算式②の方が低くなります。そのため「自分で思っていた坪単価と違っていた」などということにならないよう注意が必要です。住宅物件の販売価格を聞くときには、どちらの計算式で坪単価を決めているのか必ず確認してください。
坪数を平米に直す計算の仕方
平米は平方メートルのことですが、不動産の面積を測る正式な単位は平米と決められています。土地面積・建築面積・延床面積などは平米で表記するのが正式な基準です。
1平米は約0.3025坪に相当し、坪数を平米に換算するには、坪数を0.3025で割って求めます。
たとえば10坪を平米に換算すると以下のとおりです。
10坪÷0.3025=33.05平米
この計算式にもとづいて算出した坪数と平米の対照表を示します。
坪数から畳数の出し方
部屋の面積を表す単位に「畳(じょう)」がありますが、地域により1畳が1.82平米であったり1.54平米であったりとまちまちになるため、土地や建物の広さを表すときは用いられません。
地域別の畳のサイズ
ただし、面積表記として使う場合は「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」で1畳は「1.62平米(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上をいう」と決められています。
坪数から畳数を出すときには、まず坪数を平米に換算した後、畳に換算してください。ここでは1坪つまり3.3025平米を1畳1.62平米で計算してみます。
1×3.30÷1.62=2.03畳
この計算式をもとに作成した坪数と畳の対照表を示します。
坪数と畳の対照表
注文住宅の坪数の目安
現在日本で建てられている注文住宅は、どれくらいの坪数のものが多いのでしょうか?フラット35利用者調査および住生活基本計画に基づいた坪数の目安を示します。
2021年度フラット35利用者調査に基づく目安
全国の注文住宅の住宅面積平均は123.8平米のため、
123.8÷3.3=37.5
となり37.5坪が目安です。
ちなみに全国の敷地面積の平均は252.3平米であることから、
252.3÷3.3=76.5
より76.5坪となります。
37.5坪の家だと4LDKの間取りが多く、LDK15〜18畳、客間6畳、夫婦の寝室8畳、子ども部屋6畳2部屋、その他に玄関、廊下、バス、トイレ、収納などを備えた住宅が標準です。
2021年度住生活基本計画に基づく目安
誘導居住面積水準(豊かな住生活を送るために必要と考えられる住宅の面積)のうち、
一般型誘導居住面積水準(都市の郊外及び都市部以外の一般地域における戸建住宅居住を想定)は、下記の計算式で求められます。
25平米×世帯人数+25平米
たとえば4人暮らしの場合
25平米×4人+25平米=125平米
125÷3.3=37.8坪
となります。つまり地方の住宅面積の目安は37.8坪です。
都市居住型誘導居住面積水準(都市の中心およびその周辺を想定)は下記の計算式から求められます。
20平米×世帯人数+20平米
たとえば4人暮らしの場合
20平米×4人+20平米=100平米
100÷3.3=30.3坪
となることから、都会の住宅面積の目安は30.3坪となります。
最低居住面積水準(健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準)は、下記の計算式から求められます。
10平米×世帯人数+10平米
たとえば4人暮らしの場合
10平米×4人+10平米=50平米
50÷3.3=15.2坪
で、最小限の住宅面積の目安は15.2坪です。
さすがにこの広さでは暮らしにくそうですね。
下記のリンクページにて関連記事をご覧ください。
「70坪はどのくらい広い?イメージしやすいように解説!」
まとめ:
坪数は土地の面積を示す単位であり、1坪は1辺が6尺の正方形の面積にあたる約3.3平米です。坪数は慣習として広く使われていますが、正式な単位としては使えません。坪数を平米に換算するには、坪数を0.3025で割ると計算でき、さらに平米を畳の面積で割ると畳数が求められます。
注文住宅の坪数の目安は、全国平均で37.5坪です。豊かな住生活を送るために必要と考えられる住宅の面積は、地方で37.8坪、首都圏で30.3坪と地域差があります。注文住宅を建てるとき、これらの目安を参考にしてみてください。