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透明でスケスケの花「サンカヨウ」が見ごろに。出会えたら奇跡!【福島県福島市】

ローカリティ!

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 まるでおとぎ話から飛び出してきたような、スケスケの透明な花をご存知だろうか。その名は「サンカヨウ」。白い花びらが雨に濡れると透明に変化する、まさに自然界の“マジックショー”。その姿から英語では「スケルトン・フラワー」と呼ばれるガラス細工のような植物だ。

きっかけは偶然の一言

磐梯朝日国立公園の自然を紹介する拠点である浄土平ビジターセンターに、ミネザクラが咲いている場所を訪ねたときのこと。

「今なら”透明になる花”サンカヨウが咲いていますよ」と教えてもらったこの一言が始まりだった。「透明な花ってなんだろう」私はその神秘的な響きに興味をそそられ探しに行くことにした。

▲日本一高い場所にある公開天文台(左)と浄土平ビジターセンター(右)(筆者撮影)

森の奥で出会った”半透明の宝石”

スタッフの方のアドバイスによると、サンカヨウは大きな木の下に咲いていることが多いという。そこで、まずは樋沼方面へ向かう遊歩道を歩いてみた。すると、大きな木の根元にひっそりと咲く小さい花を発見した。しとしと降る雨に打たれながら、半透明に輝くその姿は、まさに雨宿りをするガラスの宝石のようだった。

▲今年の冬は雪が多く、6月でも遊歩道に雪が残っていた(筆者撮影)

さらに奇跡の花を求めて、奥まで進もうとしたが、途中で雪が残っていたためやむなく断念。ルートを変えて湿原エリアを歩いていると、今度はサンカヨウの群生地を見つけることができた。しかし、そこに咲いていたのは真っ白な花。どうやら、透明になるタイミングを逃してしまったようだ。

ハイカーが教えてくれた”透明化の秘密”

「今は”半スケ”ですね。朝早いほうが透明になっていますよ」と、偶然出会ったハイカーが教えてくれた。

サンカヨウの花びらは、湿度が高く、雨が長く続いたときに透明になるという。そのため、出会えるタイミングは非常に限られているようだ。

▲なかなか全スケのサンカヨウに出会えない。しかも、出会えても気づくかどうか…(筆者撮影)

希少性が物語る価値

ちなみに、サンカヨウは高山の森の中など、標高が高く涼しい場所にだけ咲く希少な植物である。5月から7月ごろのごく短い期間しか花をつけず、さらに透明になるのはその中のほんの数日間だけという。まさに「出会えたらラッキー」な花である。

自然保護への配慮も忘れずに

今回は、完全に透明な姿には出会えなかったが、自然の中で雨に打たれながらも静かに咲くサンカヨウの姿には、深く心を打たれた。「また会いたい」と思える花である。

サンカヨウの花言葉は「清楚な人」「自由奔放」「幸せ」「親愛の情」。いずれも、雨に打たれても凛(りん)と咲く姿にふさわしい、美しい意味ではないか。

磐梯朝日国立公園に属する浄土平湿原は高山植物の宝庫。この貴重な自然環境を守るため、花を摘んだり、植物を持ち帰ったりすることはできない。見るだけ・撮るだけが鉄則だ。

今回は完全透明化の瞬間には立ち会えなかったが、自然の神秘に触れる貴重な体験となった。雨上がりの山歩きで、この透明な奇跡との出会いを求めてみてはいかがだろうか。

昆愛

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