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パリ×福智町!蕎麦の神様公認×フランス10年修業の店主が作る絶品そば!上野焼と庭園の隠れ家「そば屋こだるま」(福岡・福智町)【まち歩き】

福岡・九州ジモタイムズWish

■福智山の麓に誕生した、新たな蕎麦の聖地

福岡県田川郡福智町の山間に、一軒の蕎麦屋がひっそりと佇んでいる。「そば屋こだるま」——2024年12月25日のクリスマスにオープンしたこの店は、わずか半年で福岡県内外から行列になるほど客が訪れる話題の名店となった。
「蕎麦の神様」と呼ばれる高橋邦弘氏の公認を受けた福岡県初の暖簾分け店。その店主・山岡良さんの歩んできた道のりは、まさに現代の職人物語そのものだ。

■パリと福智町を結んだ「上野焼」という運命の糸

山岡さんが福智町を選んだ理由は、単なる偶然ではない。すべては一つの器との出会いから始まった。
「パリの和食レストランで使っていたのが上野焼でした。その焼き物に興味を持つ方から問い合わせがあり、福智町の職人さんとパリを繋ぐことになったんです」。

18歳から蕎麦の修行を始めた山岡さん。パリの高級和食店で10年間腕を磨く中で、上野焼という伝統工芸品が彼の人生を大きく変えることになる。
福智町と関わりを持った山岡さんに、町長自らが立ち上がって迎えた。「『ぜひよろしくお願いします』と言われた時、胸を打たれました。街なかでの開業を考えていましたが、福智町の素晴らしい環境と人々の支援に魅力を感じたんです」。

■築38年の古民家に宿る、職人のこだわり

店舗は元々上野焼の窯元が使用していた築38年の古民家をリノベーションしたもの。600坪の敷地には池もあり、四季折々の表情を見せる日本庭園が広がる。

「前の持ち主の方のこの建物に対する思い入れが非常に詰まっていて。特注の襖引手や、100年寝かせた屋久杉を使用した天井など、価値ある素材が使われています。これらを理解し楽しめる人にも来てほしい」と山岡さんは語る。
店内で流れるクラシック音楽は、パリのコンセルヴァトワールで講師を務めていた奥様が選曲。「日本家屋と庭園、音楽が融合した贅沢な空間で蕎麦を楽しんでもらうことを重視しています」。

■国際的な視点が生んだ、新しい蕎麦文化

パリでの経験は、山岡さんの蕎麦作りに大きな影響を与えている。日本料理の料亭吉兆のスタッフと共に働く中で学んだ料理や盛り付け、デザイン感覚。それらすべてが現在の店作りに活かされている。
「パリではざるそばが1,500円で提供されていました。安さよりも品質を重視し、納得できる価格で提供したい」。

こだわりは器にも表れる。使用するのはすべて地元福智町の上野焼。「料理と器の相性を重視し、ほとんどの器はオーダーメイドです。食材の色や盛り付けを引き立てるため、器の持つ魅力を存分に活かしていきたい」。

■贅沢な時間と空間を提供する、新しい蕎麦屋のかたち

メニューは季節に応じて変化する。夏の季節限定「鴨ロースと酢橘の冷かけそば」(税込2,800円)は、徳島県産の酢橘と特製鴨ロースを一緒に盛り付けた冷たいかけ汁のそば。酢橘の豊富なビタミンCは疲労回復や美肌効果があるとされ、夏の暑さに適した一品だ。

デザートには北海道十勝産小豆を使用した「水羊羹」(税込400円)も。口溶けが良く、小豆と甘さの絶妙なバランスが評判を呼んでいる。価格設定は決して安くないが、それには確固たる理念がある。
「私が使いたい、食べたいと思う最上級の食材を全国各地から厳選し、茶室とお庭の見える空間の中でお食事頂き、お客様に贅沢な時間を過ごして頂きたい」。
予約は8名以上の団体のみで、基本的には予約は受けておらず順番待ち。しかし、その待ち時間も楽しみの一つだ。「お待ち時間は広い庭園を散策して季節のお花や木々、池の鯉などをご覧頂き、自然と触れ合う時間としてリラックスしてお待ち頂きたい」。

■福智町に新たな人の流れを創出

オープンから約7ヶ月、山岡さんの店には月間約1,000人が訪れている。「山登りの人や陶芸家の窯開き以外ではほとんど人が来なかった」という福智町に、新たな人の流れが生まれている。
「蕎麦を食べに来るという目的ができたことで人が集まるようになり、上野焼や自然の良さを知ってもらいたい。街にはない福智町の良さ、自然の中でリラックスできる時間があることを伝えたい」。
店舗付近の駐車場が30〜40台分満車になることも珍しくない。北九州や福岡市からの来客も多く、「もともと街でやりたかったので、ここでやったからには、逆に街からこっちに人を呼んでやろうという気持ちでやっています」。

■フランス人アーティストが手がけた暖簾とデザイン

店の暖簾と看板は、エルメスのバーキンバッグの生みの親、ジェーン・バーキンの娘であり、フランス人アーティストのルー・ドワイヨンさんがデザイン。パリで常連客だった縁から生まれた作品だ。照明なども様々なアーティストが関与し、国際的な感性と日本の伝統が融合した独特の空間を演出している。

■四季を通じて楽しめる、庭園の魅力

「紅葉の時期は本当にすごく色づくんです。葉が落ちた時も紅葉の絨毯で、雪が積もるとまた違った雰囲気になる」と山岡さん。広い庭園の維持は大変だが、来店客にゆっくりとした時間と季節の移ろいを楽しんでもらいたいという思いが込められている。
「動物が現れることもあるし、季節ごとの花も楽しめます。時間を忘れてリラックスできる、街では味わえない贅沢な体験を提供したい」。

■地域貢献への強い想い

山岡さんの目標は、蕎麦屋の成功だけではない。「上野焼は他の有名な焼き物に比べてまだまだPRが弱いと感じています。全ての食器を上野焼にすることで、その魅力を伝え、地域貢献を目指しています」
山岡さんは、「より多くの人に福智町を知ってもらい、訪れてもらいたい」という強い想いを持っている。

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■そば屋こだるま
住所:福岡県田川郡福智町上野1700-4
電話:090-4670-3375
営業時間:11:00〜14:00(売切次第)
定休日:月曜(祝日の場合は営業、翌日振替)※詳しくはInstgramをご覧ください
Instagram:@sobaya.kodaruma
https://www.instagram.com/sobaya.kodaruma

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