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栄区 (有)ネパリ・バザーロ 3・11継続支援 椿油「陸前高田の宝に」

タウンニュース

椿油を持つ高橋代表(左)と化粧品を手にする蓑田さん

東日本大震災の被災地の惨状を、目の当たりにしたら、継続して支援に行く以外の選択肢はなかった――。

◇◇◇

こう語るのは、ネパールの子どもの育成と女性の自立支援などを目的として設立された公平な取引をするフェアトレード団体、(有)ネパリ・バザーロ(栄区公田町)の高橋百合香代表取締役。14年前、当時働いていたスタッフの実家が岩手県南東部の海沿いにあり、大規模被災したため、高橋さんらは全線復旧開通したばかりの東北道を使い被災地へ向かった。避難所での炊き出しや物資支援に奔走した。

会員や企業などの協力もあり寄付金が集まった。「津波で全部なくなっている...。食材など生活必需品を段ボールに詰めて、被災地へ運び1軒1軒回った」。片道8時間ほどかけて、高橋さんらは毎週末のように、被災地へ通った。

被災地で雇用創出

発災時の緊急支援から生活再建の長期的支援へと移る中で、陸前高田市にいたフェアトレード商品を購入していた顧客の申し出を受け、現地へ。ネパールの工芸品やスパイス、コーヒーなどを通じ現地住民の雇用機会を創出してきた同社は、陸前高田の伝統食「椿油(つばきあぶら)」で長期支援するプロジェクトを発案。震災から1年半後に、製油工房「椿のみち」を開設し、椿の実から油を搾り、食用としての販売を開始し、陸前高田市の仮設住宅に住む人の雇用創出に役立てた。椿油を食用として販売するだけでは経営が苦しい状況もあり、椿油を元にした化粧品の商品開発にも着手し、13年から販売している。

製油工房で14年から勤務するスタッフの伊東恵美さんは「実家が津波で流されて大きく環境が変わる中、ネパリ・バザーロと縁があった。日々、地域復興に携われる喜びを持って製造している」と誇りを持って働く。

10年以上前に高橋さんらが植樹した椿の苗から今年は88本の「陸前高田産生しぼり椿油(100g入)」が完成した。昨年秋に実の収穫に行ったという高橋さんは、「この椿油が陸前高田の宝として根付いてくれたら嬉しい」と語ってくれた。

被災時の陸前高田
椿油の搾油

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