『宇宙人ムームー』は夢が叶うアニメ── ムームー役の小桜エツコさん、桜子役の春海百乃さん、栗コーダーカルテット、ムームーが登壇! 聖地・町田にて行われた『宇宙人ムームー音楽フェスティバル』で500人の手拍子が響く【レポート】
芸術の秋、食欲の秋、家電の秋……ということで、少し涼しくなり秋風に緑が揺れた2025年9月21日(日)、東京・町田にある「ぽっぽ町田」の屋外スペースにて、9月に最終回を迎えたアニメ『宇宙人ムームー』の『宇宙人ムームー音楽フェスティバル』が昼と夕方、2部にわたり開催されました。
登壇したのは、ムームーと、ムームー役の小桜エツコさん、桜子役の春海百乃さん、『宇宙人ムームー』を音楽で彩った栗コーダーカルテットの栗原正己さん(リコーダー、ピアニカほか)と川口義之さん(リコーダー、パーカッションほか)、サポートメンバーの安宅浩司さん(ギター)と木村仁哉さん(テューバ)。
栗コーダーカルテットが編曲/演奏を担った『宇宙人ムームー』第1期・第2期ED主題歌の「さよなら人類」(たまのカバー)と「すばらしい日々」(ユニコーンのカバー)、栗コーダーカルテットの代表曲「ピタゴラスイッチ オープニングテーマ」などを披露。
のべ500人のファンをやさしい音楽で包み込みました。本稿では夕方に行われたステージのレポートをお届けします。
【写真】宇宙人ムームー:町田の音楽フェスでED主題歌を披露! 声優陣&栗コーダーカルテットが登壇
栗コーダーカルテットのライブパートではあの名曲も
『宇宙人ムームー』の聖地・町田の商店街に位置する「ぽっぽ町田」。緑に囲まれた屋外スペースには、大勢のファンと、吸い寄せられるように足を止めた買い物客や親子連れなどたくさんの人でにぎわっていました。
ムームー役の小桜エツコさん、桜子役の春海百乃さんが登壇すると温かな拍手が。「音楽とトークで作品の魅力を振り返っていきましょう!」とふたりが呼びかけると、会場からは拍手と歓声があがり、『ムームー』ならではのどこかのんびりとした音楽フェスが幕を開けます。
前半は栗コーダーカルテットによる贅沢なライブパート。「自己紹介的な曲を」と呼びかけると「ピタゴラスイッチオープニングテーマ 」、映画『スター・ウォーズ』から「帝国のマーチ」のカバーをショートバージョンで披露。だれもが慣れ親しんでいるであろう曲たちに、大人も子どもも音に身をゆだねます。
さらに「屋外に合うんじゃないか」と思い持ってきたというオリジナルナンバー「ボンネットバス」も。ゆるさと緻密さが同居する栗コーダーらしいセンスが光ります。ちなみに、2024年のあがた森魚さんのアルバム『オリオンの森』に収録された、あがた森魚さんのボーカルが入ったバージョンも素敵ですのでぜひチェックを……。
「名前は知っているかも」という人に向けた自己紹介では、「カルテット」と名乗りつつも現在は3人で活動していることを説明。栗原正己さん、川口義之さん(この日は関島岳郎さんは欠席)に加え、「強力な助っ人に来ていただきました」として、ギターの安宅浩司さんとテューバの木村仁哉さんを紹介しました。
栗コーダーカルテットが手がけたTVアニメ『宇宙人ムームー』のオリジナルサウンドトラックには全82曲が収録されています。川口さんは「作品に音をつける場合は、オーケストラやスタジオミュージシャンが演奏することが多いのですが、僕たちはメンバーで曲を作り、自分たちで演奏するスタイルです。こうして番組の曲を生演奏で披露できるのはアニメの劇伴としては珍しいことです」と語り、栗原さんが「今日はじめてやる曲ばかりなので、多少のでこぼこは気にしないで」と添えました。
軽やかに始まっていった『宇宙人ムームー』の劇伴を中心としたブロックでは、ムームー登場時などに使われた「おバカ宇宙人」や日常のポップさが楽しい「にぎやかキャンパス」など、おなじみのBGMが次々と披露される。さらに「桜子のために作ったメロディー(「ポジティブ桜子」)にバリエーションをつけた曲」として披露された「摩擦熱」も。「本当の気持ち」では、川口さんのハーモニカが哀愁を帯びた音色を響かせました。
「当たり前ですけど一生懸命作った」と栗原さん。「僕たちは結成30周年。本来なら自分たちのことをやりがちな節目の年に、まるで自分たちのアルバムのような勢いでこのサントラを作った」と川口さんが笑います。周囲からの評判もよく「エンジニアが鼻歌で歌っているんですよ」との裏話には笑いも。
『ムームー』には夢を叶える力がある
ライブ後半には、小桜エツコさんと春海百乃さんがふたたびステージへ。「すごかったですね」「素敵でした!」とふたり。小桜さんは「生の音をじかで聴けて胸に迫るものがあった」と感激の表情を見せ、会場からは共感を込めた大きな拍手が送られました。
ED主題歌の裏話も披露。第一部で語られたアニメ第1期のエンディング曲「さよなら人類」(たま)に続き、第2期エンディング主題歌「すばらしい日々」が選ばれた背景を語ります。もともとは原作者・宮下裕樹先生のリクエストによる選曲だったそうですが、川口さんは「ユニコーンの『大迷惑』などが好きだったので嬉しかった」と笑顔を見せ、小桜さんは「個人的に思い入れがあって、人生の中でベスト3に入るくらい好きな曲」であることを明かしました。そのトークで出てきたのは、夢というキーワード。
「まさか第2期のED曲も歌えるとは思っていませんでしたし、それが『すばらしい日々』だと聞いたときは思わず泣きました。高校生のときの自分に伝えたいくらい。夢が叶いました!と」と声を弾ませます。
最終回の収録が終わったあとに、春海さんから小桜さんへ贈られた手紙のエピソードも紹介。『ケロロ軍曹』や『妖怪ウォッチ』を見て育ったという春海さん。手紙には、子どものころの自分に「夢が叶うよ」と言ってあげたい、ということなどが綴られていたそう。
改めて小桜さんはその思いに頷き、「時間を超えて夢が叶うことってあるんだなと感じました。私も『すばらしい日々』を歌えたし、『妖怪ウォッチ』でNHK紅白歌合戦に出たとき、それまで“生まれ変わったら嵐に入りたい”と思っていたけれど、“アラシニャン”として歌を歌うこともできた。生まれ変わらなくても夢は叶うんです。『宇宙人ムームー』はまさに夢が叶う作品です」と熱を込めて語り、会場を沸かせました。
レコーディングの裏話も。キーチェックの段階から「お世辞でもなんでもなく、いい曲ができる予感があった」とふたり。川口さんは「春海さんはひょうひょうとしているけれど堂々としている」、栗原さんも「おふたりとも無理をせず、自然体でキャラクターに溶け込んでいるので僕らもやりやすかった」と制作現場の空気を振り返りました。春海さんも「栗コーダーカルテットさん、小桜さんがいてくださったから、こういう自分でいられました」と胸を張りました。
「さよなら人類」と「すばらしい日々」で目指せ紅白!
クライマックスは、このMCでも話題にのぼった「さよなら人類」と「すばらしい日々」を披露。手拍子が鳴り響く中、「さよなら人類」では間奏に栗コーダーカルテットの魅せ場があり、桜子とムームーの会話も再現されました。
川口さんは「たまの知久(寿焼)くんと一緒に演奏したことが栗コーダーの始まりだったので、その30年前の出来事も思い出しました。いい時間ですね」としみじみ。栗原さんも「この作品を通していい人たちと出会えて、みんなで作れた。幸せだなと」と語り、最後は小桜さんが「皆さんも作品づくりに参加してくださり、ありがとうございました!」とお礼。
春海さんは「『宇宙人ムームー』が愛されていることを改めて感じて心から嬉しかったですし、今日この場で歌うことができて本当に良かったです」と感慨深げにメッセージを送りました。そして「(ED主題歌を引っ提げて)目指せ紅白!」と力強く締めくくり、温かな拍手に包まれました。
イベント後は“薄暗い場所”でムームーと2ショットチェキ会も。ちなみにチェキ参加券は大好評で長蛇の列に。先行販売されたオリジナルサウンドトラックも早々に完売と、今回のおまつりが「いい時間」であったことを物語っているかのようでした。
なお、栗コーダーカルテットは11月16日(日)には東京・文京シビックホールで「栗コーダー&ビューティフルハミングバード@Bunkyo Civic Hall 2025」を開催。0歳から入場できる〈おやこの部〉と、ゆったり楽しむ〈オトナの部〉の2公演が行われるとのこと。
そして、12月24日(水)には吉祥寺STAR PINE’S CAFEで恒例の「栗コーダーのクリスマス」ライブ、年明けには町田ノイズ(1月10日)、横浜サムズアップ(1月11日)、吉祥寺MANDA-LA2(1月21日)でのライブも決定しています。
また、アニメ『宇宙人ムームー』のオリジナルサウンドトラックは9月24日(水)に発売されたばかり。さくらこ&ムームーによるエンディングテーマ「さよなら人類」「すばらしい日々」も収録された2枚組です。
サントラ、ED主題歌もアニメ『宇宙人ムームー』同様に配信もされているので、『ムームー』との時間をこれからもいろいろな形で楽しんでみてはいかがでしょうか。
[文・逆井マリ/写真・鳥谷部宏平]
『宇宙人ムームー』オリジナルサウンドトラック
発売日 2025年9月24日(水)
価格 ¥3,500(税込)
本編枚数 2
本編 ディスク形態CDアルバム
公式サイト
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