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繊細な竹編みの世界 1ミリ以下、1500本編む 伊賀・日野さん

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入賞作「花籃 重瀬の山城」を披露する日野さん=伊賀市上野相生町で

東海伝統工芸展賞に

 今春の「第55回東海伝統工芸展」に初挑戦した三重県伊賀市上野相生町の日野昌一さん(66)は、竹を丁寧に編んだ花かごで、最高賞に次ぐ東海伝統工芸展賞に輝いた。1ミリ以下の細さに裂いて染色した計1500本の竹を繊細に編み込んだ大作だ。

 リーマンショックの影響で早期退職することになり、自宅で一人でもできる趣味を探した。一時は竹笛作りに取り組み、インターネットや本などを参考に数十本作ったが、調律が難しく行き詰まった。そんな折に偶然、テレビで見たのが竹かご作りだった。

糸状に加工した竹

 材料が比較的入手しやすく、「これならできるのでは」と思い、最初は簡単な手付きかごやごみ箱などから作り始めた。「六ツ目編み」「ゴザ編み」など、竹の基本的な編み方を少しずつ習得していった。更に技術を高めようと、6年前には宇陀市の工芸家、上野孝志さんが指導する教室「竹愛会」に入った。

 教室へ月2回通い、さらした白竹を加工して制作する花かごを中心に、竹工芸のノウハウを習得。みるみる腕を上げ、昨秋に上野さんから同工芸展への出品を勧められた。

 受賞作品「花籃(かご) 重瀬の山城」は、かつて同市大山田地区の阿波一帯で力を持っていたとされる豪族・重瀬氏の中世古城をイメージしたもので、仕上がりのサイズは36センチ四方、高さ22センチ。マダケをかんななどで幅0・5ミリ、厚さ0・3ミリ、長さ45センチにそろえて専用の染料で濃淡を付け、平面のスケッチを基に編み込んで立体化した。

 「初出品での入賞は自分でも驚いたが、うれしかった」と振り返る日野さん。今後は、全国のさまざまな分野の工芸作家が顔をそろえる日本伝統工芸展にも「挑戦してみたい」と意欲的だ。

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