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【倉敷市】【1/31(土)まで開催】くらしきアーキツーリズム2025 〜 古い街並みに芽吹く建築の新たな魅力をたずねて

倉敷とことこ

【1/31(土)まで開催】くらしきアーキツーリズム2025 〜 古い街並みに芽吹く建築の新たな魅力をたずねて

2025年10月1日(水)から、倉敷美観地区にて「くらしきアーキツーリズム2025」が開催されています。

2022年より始まったこちらのイベントは、倉敷美観地区とその周辺にあるさまざまな建築にスポットライトを当て、地域に根差した建築の魅力を紹介してきました。

4回目となる今回は「古き良きものを伝え、新しきを取り入れる 建物再生」をテーマに、リノベーション(改修)により新たな魅力を発信している建物をピックアップ。新旧和洋の建物が絶妙に混じりあう倉敷美観地区に芽吹く、建築の新たな魅力を訪ねてみませんか。

開催期間は2025年10月1日(水)〜2026年1月31日(土)です。

くらしきアーキツーリズム2025とは

倉敷美観地区周辺に点在する建築物そのものの魅力に注目して観光を楽しんでもらうことを目的に、2022年より始まった「くらしきアーキツーリズム」。

初回の2022年は郷土出身の建築家・浦辺鎮太郎の手がけた建物、2023年は3人の有名建築家による建物、2024年は名もなき建築家による建物と、毎年テーマを変えて開催してきました。

4回目の開催となる今回(2025年)は、今までの集大成として「建物再生」に注目し、倉敷美観地区周辺にて近年改修された以下の5つの建物に焦点を当てています。

・林源十郎商店
・クラシキクラフトワークビレッジ
・クラシキ庭苑
・倉敷民藝館
・大原美術館 児島虎次郎記念館

たてものカードについて

くらしきアーキツーリズムの特徴のひとつである「たてものカード」。

表面に建物についての説明と写真、裏面に鳥瞰(ちょうかん)絵図が描かれた葉書サイズのカードで、各施設に2枚ずつ用意されています。

それぞれのカードの表面には、建物の外観の説明と内部の説明が写真とともに書かれています。裏面には鳥瞰図絵師 岡本直樹さんによる1963年の鳥瞰絵図と2005年の鳥瞰絵図が描かれているので、昔と近年の町並みの違いを探してみるのも興味深いです。

たてものカードは、以下の5つの対象施設で無料配布されています。

・林源十郎商店(2階 shop 三宅商店)
・クラシキクラフトワークビレッジ(Gocha店内)
・クラシキ庭苑(中庭付近)
・倉敷民藝館(売店)
・大原美術館 児島虎次郎記念館(受付付近)

おもいでファイルについて

収集した「たてものカード」を整理して収納できる「おもいでファイル」。

毎回、デザインや配色を変えながらハンドメイドで作られており、手作りならではのあたたかさを感じます。添えられたかわいらしいイラストもオリジナルです。

たてものカード以外のものも収納できますので、美術館などの入場券や絵はがきを思い出として綴っておくのもおすすめです。

おもいでファイルは、以下の場所で販売しています(350部限定、500円)。

・倉敷館 観光案内所
・倉敷物語館
・大原美術館ミュージアムショップ
・クラシキクラフトワークビレッジ(Gocha)
・クラシキ庭苑(kobacoffee)
・倉敷民藝館(売店)
・林源十郎商店(2階 shop 三宅商店)
・倉敷アイビースクエアフロント

倉敷まちあるきマップもアップデート

倉敷美観地区周辺のまち歩きがより楽しくなるデジタルマップ、倉敷まちあるきマップにも新たなコンテンツが追加されました。

新たなコンテンツが追加された「くらしきまちあるきマップ」

今回追加されたコンテンツは「発見ポイント」というもので、火の見やぐらや倉敷川の常夜灯など建物以外の特徴的なスポットを紹介しています。

倉敷考古館の横にある火の見やぐら

地元のかたでも知らない情報の数々は、まち歩きをより豊かなものにしてくれるでしょう。

実際にめぐってみました

筆者もおもいでファイルを片手に、それぞれの建物をめぐってみました。

対象となっているすべての建物をめぐっても1時間はかからないので、倉敷美観地区周辺の散策コースとしてもちょうど良い感じです。

林源十郎商店

林源十郎商店 正面

長らく空き家となっていた旧薬問屋の建物を改修し、2012年にオープンした複合施設。雑貨店や飲食店、デニムショップなどの倉敷らしさを感じることのできる複数の店舗が入居しています。

中庭にも店舗が点在しています

改修を手がけたのは、倉敷にて長年にわたり町家の改修に携わってきた建築家の楢村徹(ならむら とおる)さん

こちらの建物の特徴は、表通りに面した部分を改修するだけでなく、敷地内にある数棟の建物とともに中庭と路地を整備し、表通りから敷地の奥まで回遊できるように改修されているところです。

林源十郎商店記念室

2階には薬問屋であった頃の歴史を記録する「林源十郎商店記念室」が設けられていて、当時の営みを知れます。

屋上テラスより倉敷美観地区を眺める

3階の屋上テラスは、倉敷美観地区のまちなみを一望できる穴場スポット。2025年に公開された映画「蔵のある街」のキービジュアルはこちらから撮影されました。

たてものカードは2階の「shop 三宅商店」レジ横にあります

クラシキ庭苑

クラシキ庭苑 正面より

倉敷川沿いに建つ「クラシキ庭苑」は、築約100年の町家を再生し、2014年にオープンした複合施設です。こちらも林源十郎商店同様に、楢村さんによって改修されました。

「通り土間」夜間は灯りに誘われるような雰囲気

こちらの建物の特徴は、表通りから奥へと続く路地のような空間である「通り土間」です。

通り土間があることで、表通りに面している部分だけでなく、奥の部分にも複数の店舗にテナントとして入居できるようになりました。

休憩スペースとして開放されているパティオ(中庭)

また、中庭には休憩スペースも設けられていて、西洋建築のパティオ(中庭)のような空間になっています。良い意味で伝統的な町家のイメージを覆す、現代的な空間です。

最奥には地元のかたにも愛されるバーも

奥には隠れ家のようなバー「Salon de Ric’s(サロン・ド・リックス)」や、こだわりの珈琲店「kobacoffee コバコーヒー」が入居していて、観光客のみならず地元のかたにも愛されています。

なお、筆者も県外のかたをこちらに案内したことがあり、雰囲気も良く、とても喜んでもらえたことを覚えています。

観光地である倉敷美観地区のなかにありながら、楢村さんは地元の人たちがきちんと商いをし、生活していける場所を意識して設計したとのことです。その工夫に注目してみてください。

たてものカードはパティオ(中庭)にあります

クラシキクラフトワークビレッジ

クラシキクラフトワークビレッジ 入口

本町通りにある町家を改修して2017年にオープンした「クラシキクラフトワークビレッジ」。こちらの改修も楢村さんの手によるものです。

通り土間が奥に続いています

通り土間のある建物は、前述のクラシキ庭苑と似た雰囲気を持っていますが、裏庭にある井戸を中心として建物を増築し、広場のような空間が作られているのが特徴的です。

井戸のある中庭は広場のような空間になっています

また、町家を再生するうえでネックとなる2階の活用方法にも工夫が凝らされています。

こちらでは、1階で手ぬぐいを販売している「Gocha」が、2階を不定期にイベントスペースとして使用することで、クラフトワークビレッジの名前のとおり、窓越しにものづくりをしているようすを見られるのも特徴です。

たてものカードは「Gocha」店内にあります

倉敷民藝館

倉敷民藝館 入口

倉敷における古民家再生の第一号として、江戸時代の米蔵を改装して戦後まもない1948年に開館した「倉敷民藝館」。白壁に囲まれたエントランスが特徴的な、倉敷美観地区を象徴する建物の一つです。

楢村さんの手によってリニューアルされた売店コーナー

2020年、楢村さんの手により売店コーナーがリニューアルされました。

過去にも幾度かの改修や改築が実施され、少しずついろいろな人の手が加わりながら変わってきた例として特徴的であるため、今回取り上げています。

たてものカードは売店入口付近にあります

大原美術館 児島虎次郎記念館

大原美術館 児島虎次郎記念館

最後に訪れたのは、2025年4月にオープンした「大原美術館 児島虎次郎記念館」。

登録有形文化財にも指定されているこちらの建物は、大原美術館本館を設計したことで知られる建築家、薬師寺主計(やくしじ かずえ)が手がけたもので、第一合同銀行(現在の中国銀行)の倉敷支店として1922年に竣工しました。

2021年には暫定開館期間中に、ヤノベケンジさんの作品「サン・シスター(リバース)」が公開されました

2016年まで中国銀行 倉敷本町出張所として使用されていましたが、銀行業務終了にともない建物は大原美術館に譲渡されることに。それをきっかけに、美術館に転用することとなりました。

建物南側に新設された窓 空を映し込む外観が特徴的

伝統的なデザインは残しつつ、新たな機能を追加した再生の例として紹介しています。

たてものカードは受付にあります

くらしきアーキツーリズム2025の注目点やみどころについて、企画に携わった株式会社浦辺設計 取締役執行役員の河本二郎(こうもと じろう)さんにお話を聞きました。

浦辺設計 河本二郎さんインタビュー

くらしきアーキツーリズム2025の企画に携わった、株式会社浦辺設計 取締役執行役員の河本二郎さんに、今回の注目点やみどころについてお話を聞きました。

株式会社浦辺設計 取締役執行役員 河本二郎さん

──今回「建物再生」をテーマにされた経緯について教えてください。

河本(敬称略)──

倉敷美観地区周辺には、これまでのくらしきアーキツーリズムでも取り上げてきたように、新旧さまざまな建物が残されています。

高度経済成長を経て、現在ある建物をどう使うかが大事な時代に変わってきた1980年代。倉敷市出身の建築家 楢村徹さんが、仲間の建築家とともに倉敷美観地区周辺の古民家再生を手がけるようになりました。

楢村さんの手がけた建物は、小規模な増築と改修をおこなうことで、町に新しい魅力を追加するきっかけとなりました。

もとの建物を残しながら新しい要素を追加した建物が増えていくことが、倉敷美観地区周辺の将来を考えたときに重要ではないかと考え、今回「建物再生」をテーマにしました。

楢村さんの手により、廃業した老舗旅館を飲食店群に改修・再生した「奈良萬の小路」

──前回(2024年)から変わった点、新しくなった点について教えてください。

河本──

毎年色違いで作成している「おもいでファイル」は、今回のテーマである「建物再生」にあわせて華やかな雰囲気を意識した配色で製作しました。

グレーの表紙との相性を考慮し、やや水色がかった紐を選んで組みあわせています。私たちとしては、この配色に古いものが新しくなるイメージを込めています。

もう一つは、「たてものカード」の裏面に描かれている鳥瞰絵図です。

今までも2枚のカードをつなげて楽しめましたが、今回はそれぞれの建物が近接していることもあり、5枚のカードすべてがつながるようになりました。

たてものカード裏面の鳥瞰絵図が一枚の絵になります

鳥瞰絵図は、大きな絵としてみたときに、人の営みや車のようすなど、まちの細部が良く見えることが魅力の一つですので、ぜひつなげてみていただきたいです。

南北に走る倉敷川沿いの通りと、東西の本町通り、この二つのメインストリートがつながっていることも良くわかるかと思います。

──今回のアーキツーリズムで注目してほしいところはありますか。

河本──

建物の紹介となると、どうしても外観に目を奪われがちですが、今回はなかに入ったときに新しさを感じるような建物を選んでいます。

なので、一見すると少し地味な印象を持たれるかもしれませんが、外観は古い街並みに馴染みながらも、内部は時代にあわせてアップデートされているという部分をよく見ていただけるとうれしいです。

今回紹介した建物に共通していることは、古くからある材料や伝統的なディテールはそのままに、新たな要素を追加していることも特徴です。

たとえば、従来の伝統的な日本建築のなかにパティオ(中庭)を設けるなど、建物再生の際に今までになかった要素を意識して取り入れるようにしています。

倉敷民藝館売店 現代的な内装にリニューアルしています

──最後に、読者に一言コメントをお願いします

河本──

浦辺鎮太郎が倉敷国際ホテルなどの新しい建物を作り、倉敷アイビースクエアにて建物再生の先例を示し、楢村さんが町家を再生しながら守ってきた倉敷のまちです。

その思いに呼応すべく、歴史ある建物や景観に配慮しながらも、新しさを感じるものが町並みのなかに入っていくきっかけになればと思い、私たちは建物再生の活動をおこなっています。

観光で倉敷に来られたかたも、アーキツーリズムに参加して建物のことを知っていただくことで、倉敷の町並みへの理解が深まり、より充実した旅になるのではないかと思います。

また、倉敷における建物再生の実例を知ることで、自分の町でもまちづくりや古民家再生に目を向けてもらえたらうれしいです。

おわりに

今回のアーキツーリズムを通して、普段特に意識することなく入っていた倉敷美観地区の建物にさまざまな工夫があることを再認識しました。

通り土間やパティオ、広場など、町家のなかに入っていけるような改修を施すことによって、表通りという「線」だけでなく、町家のなかといった「面」を利用できることになり、結果として町の魅力が増しているのではないかと思います。

また、たてものカードを集めながらのまち歩きは、観光のかたには倉敷というまちをより深く知る手段として、地元のかたには普段の風景のなかに新たな発見を得る手段として、それぞれ楽しめるのではないかと思いました。

瀬戸内海建築憲章

最後に、インタビューの際にも度々出てきたキーワード「古い建物のなかに新しい要素を追加する建物再生」に関連して、1979年に浦辺鎮太郎氏が仲間の建築家(松村正恒氏、山本忠司氏)と連名で発表した「瀬戸内海建築憲章」について触れておきたいと思います。

瀬戸内海建築憲章
瀬戸内海の環境を守り、瀬戸内海を構成する地域での環境と人間とのかかわりを理解し、媒介としての建築を大切にする。
人間を大切にすることから建築を生み出し創り出すことを始める。
それには、瀬戸内海の自然を大切にし、そこから建築を生み出すことにある。
環境と建築とが遊離し、建築が一人歩きすることはない。
先人達のつくった文明を見究め、これを理解し、将来への飛躍のための基盤とし、足がかりとする。
過去および現代において、瀬戸内海が日本人のための文明の母体であったことを知るとともに、それが世界に開けた門戸でもあったことを確認する。
すなわち、われわれはこの地域での文明を守り、それを打ち出していくことを併せて、広く世界へ目を開き、建築を通じて人類に貢献する。
1979年9月
浦辺鎮太郎・松村正恒・山本忠司

倉敷における建物再生の先駆者、浦辺鎮太郎氏が抱いた地域に根差した建築への思いは、時を越えて現代の建築家たちに受け継がれているのではないでしょうか。

くらしきアーキツーリズム2025は、2026年1月31日(土)まで開催しています。

今までの集大成にふさわしい、未来につながる建物再生。思いをつなぐ人々の仕事に触れつつ、散策がてら訪ねてみませんか。

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