地元に密着した保護活動に取り組む「Pooch Dog Rescue」の活動とは
ここでは、犬と、犬を取り巻く社会がもっと幸せで素敵なものになるように活動している方々をレポートします。
今回は、神奈川県逗子市を拠点に、地元に密着した犬の保護活動を行っている「Pooch Dog Rescue」の取り組みについて紹介します。
地元に密着した保護活動を続け、設立から12年の間に約600頭の犬たちの命を救う
神奈川県逗子市を拠点とするPooch Dog Rescue(プーチドッグレスキュー/以下Pooch)は、各県の動物愛護センターやブリーダー崩壊現場などから犬たちをレスキューし、一般家庭に譲渡する活動を行っています。設立は2012年で、今までに600頭を超える犬たちの命を救い、幸せな家庭へと譲渡してきました。
Poochは保護犬を飼育するシェルターは持たず、登録している預かりボランティアの家庭で一時預かりをするシステムをとっています。
「現在、ボランティアスタッフは26名くらいいて、そのうちの約13名が預かりボランティアをしています。保護犬たちはレスキュー後、各家庭で医療面をはじめとしたケアや、必要に応じてドッグトレーナーさんから基本的なトレーニングを受けてもらうようにしています」と、代表の吉川愛さん。
預かりボランティアの多くは愛犬と暮らしているので、最初はなかなか心を開かない保護犬でも、その家の先住犬と過ごすうちに、比較的早くに家庭に順応することができるそう。
保護犬の預かりには根気と責任感が必須。心を開いてくれるまで、長い時間がかかることも
「ただ、一時預かりボランティアは誰にでもできることではなく、まず強い責任感と根気が必要になります。保護犬のなかには元野犬のコもいて、難なく散歩に行けるまでにかなり時間がかかるケースも。Poochから常にサポートはしますが、犬たちに粘り強く向き合っていける方でないと、なかなか務まらないんですね」と吉川さん。
一般家庭への譲渡が可能となった犬たちは、預かりボランティアが発信するSNS、Poochのホームページや定期的に開催される譲渡会を通して、新しい家族へ譲渡されます。地元密着型の活動をモットーとするPoochでは、譲渡先はおもに逗子市から車で1時間圏内とし、譲渡後もご家族へのアフターケアはしっかりと行います。
「地元周辺へ譲渡するようにしているのは、保護犬が万が一譲渡先から脱走した場合、土地勘のある地元なら迅速に捜索することができるからです。また、Poochでは散歩が苦手な犬たちのための講習会『パックウォーク』を逗子の海岸などで開催しています。こうした会などにも飼い主さんには積極的に参加してもらいたいからです」と吉川さんは話します。また、飼い主さんとの絆を大切にするPoochでは、「卒業犬とのオフ会」など、交流を深めるイベントも実施しているそう。
出典/「いぬのきもち」2024年8月号『犬のために何ができるのだろうか』
写真/犬丸美絵
写真提供/Pooch Dog Rescue
取材・文/袴 もな
※保護犬の情報は2024年6月7日現在のものです。