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茅ケ崎さんぽのおすすめ6スポット。潮風と太陽と音楽と。スローでスタイリッシュな海辺の街へ

さんたつ

【散歩の達人】茅ケ崎_1

数々の著名なアーティストを輩出し、音楽が生活に息づく、潮風香るスモールタウン。街を歩いてみると、その空気はすぐに伝わってくる。音楽はただ流れているのではなく、人々の暮らしの中に自然と根付いていた。

音楽の街から良質なエンタメを発信「茅ヶ崎FM」/『茅ヶ崎カフェ』

名物メニューのスペシャル佳祐ドッグは、毎週金・土・日限定!

周波数は89.2MHz。地元民から愛されているコミュニティFM、通称エボラジ。茅ケ崎に根ざした豪華なパーソナリティ陣が音楽や文化をはじめとするさまざまな情報を発信している。毎週土曜には公開生放送も実施。併設のカフェで生ラジオとスペシャリティコーヒーを楽しみたい。名物メニューはスペシャル佳祐ドッグ550円。

10:00〜18:00、水休。
☎なし

街のレコ屋でグッドミュージックをディグる『Amsterdam Records(アムステルダム レコード)』

「茅ケ崎は音楽好きが多い印象です」。

ジャズやソウル、ヒップホップにロック、レゲエにラテン。ブラックミュージックを中心に厳選された良質な盤を取り扱う中古レコード屋は、2023年にオープン。店主の橋本大武さんは、その道20年以上の筋金入りのレコードバイヤー。半年に一度、藤沢のバーでジャズを中心としたイベントも主催する。

14:00〜19:00、金〜日・祝のみ営業。
☎0467-57-0380

地元食材を使った自由な発想のフレンチ『ニコと花』

「食で地域を盛り上げたい!」。
Bセット3000円(+2000円で磯姫牛ステーキに変更可)。

『茅ヶ崎市民文化会館』の2階という立地にまず驚き、花やアートが散りばめられた華やかな店内にまた驚く。シェフを務めるフレンチ出身の幸野さんはガチンコの食材マニア。大磯で育った磯姫牛や、茅ケ崎およびその周辺の農家とのつながりを生かした季節の食材を丁寧に調理して提供する。

11:30〜16:00LO、月休。
☎0467-33-5065

美しい建築も楽しめる“地域の美術館”『茅ヶ崎市美術館』

茅ケ崎に事務所を構える建築家・山口洋一郎さんが設計した美しい建物にほれぼれする。茅ケ崎にゆかりのある作家や作品を中心に、年4回の企画展を開催。「街とのつながりを感じられる展示を心がけています」と話すのは、学芸員の藤川さん。建物がある高砂緑地は散歩にもぴったりだ。

10:00〜17:00(入館は~16:30)、月休(祝日は開館、翌日休)。
☎0467-88-1177

人×街×ビールでチルタイム『Pepown(ピーポン)』

基本的に生ビールは常時5種以上、缶ビンあわせて100種以上を取り揃える。
「サマータイムを導入中です」。

湘南のクラフトビール・Passific Brewingの直営店であり、国内外さまざまなビールを取り揃えるボトルショップ。「ビール業界を盛り上げたい。湘南のビールを入り口に、日本全国のビールに興味を持ってくれたらうれしいです」と話すマネージャーの赤間さんのもとに、今日も茅ケ崎のビール好きたちが集う。

12:00〜23:00、不定休。
☎なし

大人の茅ケ崎を味わうならここ『五月野』

「たまにDJもやります!」。
オリジナルカクテルのヌードマン1100円

都内の雑誌編集者から茅ケ崎のミュージックバーのマスターに転身したのは2022年のこと。マスターの高畠保春さんは、一冊まるごとソウルバーのインタビュー・エッセイ集『東京ソウル・バー物語』も上梓しており、バーと音楽への造詣も深い。店内にはターンテーブルも常設されており、不定期でDJイベントも開催している。

18:00〜24:00、火休。
☎070-1212-3410

「音楽との距離感が近い人が多い」

茅ケ崎駅に到着しホームに降り立つと、発車メロディは『希望の轍(わだち)』。駅前商店街を歩き、開店準備中の飲食店の軒先を通り過ぎると、半開きの扉から『エロティカ・セブン』が漏れ聞こえてくる。その矢先、車道を走るワンボックスカーのカーステレオから、曲名こそ分からないが、確かに桑田佳祐の特徴的な歌声が聴こえてきた。

これらすべて、茅ケ崎に着いてからわずか15分以内の出来事だ。いきなり“サザン愛”を過剰摂取してしまい、頭がクラクラしてきた。脳内ではなぜか『愛の言霊』がエンドレスリピートしている。

全国のサザンファンが訪れる聖地。

そんなことがあったため、取材に乗じて、会話の流れでサザン愛を確かめるような質問を投げかけたりもした。返ってきた答えは少し意外で、要約すると「サザンも聴くけれど、そもそも音楽が好きなんです」というものが多かった。サザンという絶対的スターの存在は茅ケ崎の人々にとってやはり大きい。しかし、信仰の対象というよりはむしろ、音楽を聴く、もしくは演奏するきっかけのようなものを作ってくれた存在なのだろう。

サザン通りはサザンビーチへとつながっている。

「音楽を打ち出していないバーでも、良い音楽がかかっていることが多いんです。音楽好きな店主さんが、ちゃんとチョイスしているんでしょうね」と話すのは、『Amsterdam Recorde』の橋本大武さん。毎週土曜日には80枚ものレコードを入荷するが、次々と売れていってしまうという。しかも購入者の多くが、DJやトラックメイカーなど“プレイヤー”側の人たちだ。

『五月野』の高畠保春さんにお客さんの傾向を尋ねると、「音楽との距離感が近い人が多いですよね。リスナーだけでなく、プレイヤーも多い。雰囲気のいいライブカフェやライブバーがいくつもあって、年配でも現役のミュージシャンがたくさんいますよ」と教えてくれた。実際、駅前では楽器を担いで歩く老若男女の姿をよく見かけた。

ライブに向けて練習中! 楽器を奏でる女子高生たちに、音楽の街・茅ケ崎らしさを感じる。

良い音楽と出合うきっかけがそこらじゅうに

そういえば、駅直結の商業施設『ラスカ茅ヶ崎』の屋上では、「ラスカ歌の頂上祭」と銘打たれたカラオケ大会も開催されている。SNSにアップされた動画を(ちょっとしたカオスを期待しつつ)見てみたのだが、みんな歌がうますぎて驚いてしまった。しかも、やけにステージ慣れしている。

主催の「茅ヶ崎FM」はあくまでコミュニティFMだが、日本でも有数のレコードコレクターであり、茅ケ崎でミュージック・ライブラリー&カフェ『Brandin』を営む宮治淳一さんが、シングル盤のみで1時間をつなぐ番組『チガサキ・ドーナツ・レコード・ショップ』を毎週放送するなど、そのガチっぷりは想像以上。茅ケ崎は街だけでなく電波の中にも、良い音楽と出合うきっかけが張り巡らされている。

黄金に輝く加山雄三の像が茅ヶ崎市役所前広場に鎮座する。

余談だが、この取材で7日ほど茅ケ崎を訪れたにもかかわらず、海に足を運んだのはたった一度だけだった。そのことを取材先や街で会った人に話すと、(どこか同情をにじませながら)良い音楽とお酒を楽しめる海の家をいくつも教えてもらった。なるほど、茅ケ崎の本番はやっぱり夏。次に訪れる日が、今から楽しみで仕方ない。

夕方に流れる「赤とんぼ」は、山田耕筰作曲の市民たちのアンセム。

取材・文=重竹伸之 撮影=高野尚人
『散歩の達人』2025年7月号より

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