【高校野球】夏の甲子園8強出揃う、注目カード目白押しの準々決勝4試合展望
京都国際vs山梨学院
第107回全国高校野球選手権大会は8強が出揃った。今後は1日ずつ休養日を取り、19日に準々決勝、21日に準決勝、23日に決勝が予定されている。準々決勝の4試合を順に見ていこう。
第1試合は昨夏王者で連覇を目指す京都国際(京都)と2023年センバツで優勝した山梨学院(山梨)の対戦。ともに好投手を擁しており、見応えのある一戦になりそうだ。
【京都国際の勝ち上がり】
2回戦 ○6-3 健大高崎
3回戦 ○3-2 尽誠学園
初戦で優勝候補の一角に挙げられていた健大高崎(群馬)を撃破。先発の下重賢慎を攻めて3回までに4得点を奪い、左腕エース西村一毅が160球を投げて3失点完投した。
尽誠学園(香川)戦は先制しながら5回にひっくり返されたが、8回に2点を奪って逆転。酒谷佳紀から西村の継投で接戦を制した。
【山梨学院の勝ち上がり】
2回戦 ○6-2 聖光学院
3回戦 ○14-0 岡山学芸館
聖光学院戦(福島)は同点で迎えた7回に1点を勝ち越し、8回に4得点。岡山学芸館(岡山)戦は17安打の猛攻で大勝した。身長194センチの2年生エース菰田陽生は計12イニング3安打4三振1失点。投打のバランスが取れており、ここまでの勝ちっぷりもいい。
エースが先発するか分からないが、両校とも西村、菰田から大量得点は期待できない。継投のタイミングやミスが勝敗を分ける可能性もあるだろう。
関東第一vs日大三
第2試合は関東第一(東東京)と日大三(西東京)の東京対決。甲子園で東京勢2校がベスト8入りするのは、2015年夏の早稲田実と関東第一以来10年ぶりで、東京対決は2010年夏の3回戦で関東一と早稲田実が対戦(関東一が10-6で勝利)して以来15年ぶりとなる。
【関東第一の勝ち上がり】
2回戦 ○6-1 中越
3回戦 ○4-1 創成館
中越(新潟)戦は初回に先制を許したが、5回に逆転し、その後も小刻みに加点。坂本慎太郎が133球を投げて完投した。
3回戦は創成館(長崎)の森下翔太から3回に2点を先制し、9回にダメ押し。石田暖瀬から坂本の継投で逃げ切った。坂本は昨夏決勝で最後の打者となっており、雪辱に燃えている。
【日大三の勝ち上がり】
2回戦 ○3-2 豊橋中央
3回戦 ○9-4 高川学園
豊橋中央(愛知)戦は6回に追いつかれたものの8回に1点を勝ち越し。近藤優樹が128球を投げて完投した。
高川学園(山口)戦は初回に5点、2回に2点を奪って優位に進め、近藤が10安打を浴びながらも4失点完投。西東京大会の準々決勝から5試合連続完投となった。
甲子園での東京対決は春夏合わせて過去4回あるが、そのうち準々決勝での対決は1回のみ。1995年夏、東東京の帝京が8-3で西東京の創価を下し、勢いに乗った帝京は全国制覇を果たした。
昨夏、涙を呑んだ関東第一が30年前の帝京と同じく頂点まで突っ走るか、春夏3度の優勝を誇る日大三が底力を発揮するか、ともに譲れない一戦だ。
県岐阜商vs横浜
第3試合は夏の甲子園では2009年以来16年ぶりのベスト8入りとなった県岐阜商(岐阜)が横綱・横浜(神奈川)に挑む。
【県岐阜商の勝ち上がり】
1回戦 ○6-3 日大山形
2回戦 ○4-3 東海大熊本星翔
3回戦 ○3-1 明豊
日大山形(山形)戦は5回に逆転し、柴田蒼亮が135球完投。東海大熊本星翔(熊本)戦も5回に逆転し、柴田が134球完投と2試合とも同じような展開で勝ち上がった。
明豊(大分)戦は初回に3点を先制し、豊吉勝斗、渡辺大雅、柴田の3投手で継投。甲子園春夏通算90勝に到達した。
【横浜の勝ち上がり】
1回戦 ○5-0 敦賀気比
2回戦 ○5-1 綾羽
3回戦 ○5-0 津田学園
敦賀気比(福井)戦は初回、2回に2点ずつ奪って優位に展開し、織田翔希が127球を投げて完封した。
綾羽(滋賀)戦は初回に先制されたが、5回に追いつくと6回に勝ち越して逆転勝ち。津田学園(三重)戦は序盤、中盤、終盤に得点する理想的な展開で、投げては織田翔希がまたしても完封した。
昨秋の明治神宮大会、今春のセンバツを制し、秋春夏3連覇を目指す横浜は、強い勝ち方で順当にコマを進めてきた。1998年の横浜以来、史上2度目の偉業まであと3勝。福井、滋賀、三重、岐阜と隣接する4県の代表と当たるのも偶然とはいえ興味深い。勝利の女神は横浜に微笑むか、それとも…。
沖縄尚学vs東洋大姫路
第4試合はともに前評判の高い沖縄尚学(沖縄)と東洋大姫路(兵庫)が激突する。沖縄尚学はセンバツを2度、東洋大姫路は選手権を1度制しており、ともに全国優勝の経験がある。
【沖縄尚学の勝ち上がり】
1回戦 ○1-0 金足農
2回戦 ○3-0 鳴門
3回戦 ○5-3 仙台育英
好カードだった金足農(秋田)戦は白熱の投手戦。2018年に「金農旋風」を巻き起こした吉田輝星(現オリックス)の弟・大輝は3番手として5回途中から登板したが、7回に沖縄尚学が均衡を破り、エース末吉良丞が3安打14奪三振で完封した。
鳴門(徳島)戦も新垣有絃、末吉のリレーで完封勝利。3回戦は2022年に全国制覇した仙台育英(宮城)を相手に延長11回の熱闘を繰り広げ、末吉が169球を投げて完投した。
【東洋大姫路の勝ち上がり】
1回戦 ○5-3 済美
2回戦 ○8-4 花巻東
3回戦 ○3ー2 西日本短大付
済美(愛媛)戦は1点を争う接戦となったが、7回に2点を勝ち越し、エース木下鷹大が136球を投げ抜いて完投した。
花巻東(岩手)戦は6回までに7点を奪う快勝。西日本短大付(福岡)は5回に逆転し、森皐葵から木下への継投で接戦を制した。
この試合は両校指揮官の采配にも注目が集まる。沖縄尚学は比嘉公也監督、東洋大姫路は岡田龍生監督が率いており、ともに甲子園で優勝(岡田監督は履正社時代)した実績を持つ。両校とも好投手がいるだけに引き締まった好ゲームが期待される。
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記事:SPAIA編集部