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周囲の視線が気になる…3歳児健診、行く?行かない?障害児ママの本音

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周囲の視線が気になる…3歳児健診、行く?行かない?障害児ママの本音

監修:鈴木直光

筑波こどものこころクリニック院長

障害児育児の高きハードル!? 3歳児健診

3歳児健診……定型発達の親御さんたちにとっては何てことのない、もしかしたらママ友が新しくできるような、楽しみですらある場なのかもしれません。

が! 何かしら障害がある子を育てる私たちにとっては、これほど怖いイベント(!?)はないかもしれません。
私も当時、息子のきいちゃんと同じダウン症という障害がある子どものママ友たちと「3歳児健診行く? 行かない!? できれば行きたくないよねえ……」と話題になっていました。

なぜなら、3歳ってもうすっかり発達に差が出てしまっているというか……。1歳半健診ならまだ歩いていなくても、発語がなかったとしても、「そんな子もいるか……」と、いう目で見てもらえていました。

でも、3歳児健診になると、歩かない、喋らない、大きな声をいきなり出す……など、あきらかに定型発達の子とは違い、周囲にも、「あ、あの子……」と目立ってしまうのは必至!

これはカミングアウト問題にも通じるのですが、その目線に私たち親が耐えられるかどうか……まだ子どもも3歳、ということは私たちもママ歴3年。かなり微妙な心境でした。

障害があるわが子、ご近所で噂になるんじゃ……(妄想)

しかも地域で集団で受ける3歳児健診(自治体によって違うかもしれませんが、うちの自治体ではそうでした)……地域の皆さんにわが子の障害に気づかれるのでは? そしてご近所で噂になってしまうかもーーー!! と、ネガティブな感情が沸き起こっていました。

(ちなみに今は、地域の小学校の特別支援学級にきいちゃんを通わせているので、逆に「どうぞうちの子の障害を知ってください」というスタンスに変わっています。月日は人を強くするものですね……)。

で、そんなこんなで3歳児健診、同じダウン症のママ友同士、皆、行くかどうかで話題になりました。ササッと行く人もいれば、なんとか頑張って行く人もいました。

そして、わが家の3歳児健診は……

そしてわが家はどうだったかというと……
行きませんでしたーーーー!

なぜなら、その頃もきいちゃんは県で一番大きな子ども病院に毎月のように通院していました。そして、行くたびに身長・体重などを測り、定期的にX線検査、心電図検査、血液検査、聴覚検査、視覚検査、アレルギー検査など、3歳児健診よりももっともっと詳しくあらゆるところを検査していたので、そもそも3歳児健診に行く必要はないのでは? と思い至ったからです。

そして、自治体に相談したところ「障害があって定期的に通院している子は3歳児健診に無理して行かなくていい」と言われたので、素直にそれに甘えさせていただきました。

自治体によって対応はいろいろだと思うので、3歳児健診に行くことを悩んでいる方は保健所などにまずは相談してみてもいいかもしれませんね。

勇気を出して3歳児健診に行ったママ友は

そして、果敢にも!? 3歳児健診に行ったダウン症のある子のママ友の話では
「勇気を出して行ってみたが、うちの子が注目されることなんてなかった……。というか、障害があっても、なくても3歳というと手がかかりまくる時期だから、どこの親も自分の子を見るのに必死で、他所の子にまで目を配る余裕もなかったみたい……」とのことでした。

たしかにそうかもしれませんね(笑)。

皆さまの3歳児健診が無事に終わりますように!!

執筆/星きのこ

(監修:鈴木先生より)
そもそも健診の目的は親御さんが日頃困っていることを相談したり、お子さんの心身の隠れた問題点を指摘したりすることにあります。
ダウン症も含めてすでに診断を受けているお子さんや親御さんも、周囲の目を気にせずに日頃の困っていることを気軽に何でも相談できる健診の雰囲気づくりが重要だと私は思います。もし親御さんが周囲の目が気になるような場合は、別日を設けるなどの配慮もあるといいですね。
今回の星きのこさんのような訴えを、もっと自治体に知ってもらうためにも遠慮せず声を出すことで障害があるお子さんやそのご家族が過ごしやすい環境が整えられるきっかけになるのかもしれません。
我々医師も応援しますので、地域みんなで助け支えあえるようなコミュニティを実現していきましょう。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

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