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新人監督のデビュー作に超豪華キャスト出演の“なぜ”を紐解く!高良健吾や佐藤浩市、椎名桔平ら集結の本格ノワール『罪と悪』制作秘話

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新人監督のデビュー作に超豪華キャスト出演の“なぜ”を紐解く!高良健吾や佐藤浩市、椎名桔平ら集結の本格ノワール『罪と悪』制作秘話

新鋭監督×超豪華キャスト

完全オリジナル脚本で“罪の真実と正義の在り方”を問う本格ノワールミステリー『罪と悪』が、2024年2月2日(金)より全国公開。主演の高良健吾ほか豪華キャストが集結した本作で監督を務めるのは、これが監督デビュー作となる新鋭・齊藤勇起だ。

なぜ新人の初監督にして、高良健吾や大東駿介石田卓也村上淳ら錚々たるキャストの出演が実現したのか?「初監督作でオリジナルは無謀」と言われた驚きのエピソードや、俳優陣からの信頼を得られた納得の理由など、齊藤監督自身のコメントやキャストの証言から紐解いてみたい。

©2023「罪と悪」製作委員会

高良健吾が“20年の時を経て罪と向き合う”主人公を熱演

本作『罪と悪』の主演は、2006年に『ハリヨの夏』でデビュー以来、数多くの話題作に出演し続けている俳優・高良健吾。荒んだ家庭環境に育ち、現在は地元の不良たちを集めて闇の仕事も請け負う会社を経営する社長<春>を演じる。

©2023「罪と悪」製作委員会

春と同じく罪を背負いながらも過去の秘密を隠し大人になった幼馴染であり、警察官の家庭に育ち自らも捜査一課の刑事となるが父の死をきっかけに地元に戻ってくる<晃>を演じるのは、テレビ・映画・舞台など幅広く活躍する大東駿介。家業の農業を継ぎ、現在は引きこもりになってしまった双子の弟・直哉の面倒も見ている<朔>を石田卓也が演じる。

©2023「罪と悪」製作委員会

さらに、街を牛耳る白山會の傘下である清水組 組長・清水を村上淳、その白山會の会長・笠原を佐藤浩市、晃と同じ警察署の先輩刑事・佐藤を椎名桔平が演じるなど、日本を代表する豪華実力派俳優が集結した。

©2023「罪と悪」製作委員会

そんな本作の監督・脚本を務めるのが、井筒和幸監督作品を中心に岩井俊二監督、武正晴監督、廣木隆一監督作品等での助監督を経て、完全オリジナル脚本で挑んだ本作で監督デビューを果たした齊藤勇起だ。

齊藤勇起監督 ©2023「罪と悪」製作委員会

高良健吾「齊藤さんはとにかくスーパー助監督だったんです」

名だたる監督たちの元で助監督としてのキャリアを積んできた齊藤監督。念願の初監督作品は、「自分の核にあるものを、オリジナルで撮りたい」という揺るぎない想いが貫かれたものだった。

「自分の原点がどこにあるかを考えた時、18歳まで暮らした故郷の福井県に行き着きました。ずっと心の中に引っかかっていた出来事がいくつかあって、そのピースを集めていろんな色と混ぜ合わせてみたくなったんです」と企画の始まりを振り返る齊藤監督だが、当初、周囲からは「初監督作でオリジナルは無謀」だと言われのだそう。しかし「デビュー作だけは自分の故郷での物語を題材にしたかった」という信念は、最後までブレることはなかった。

齊藤勇起監督 ©2023「罪と悪」製作委員会

様々な人間の思惑が複雑に絡み合う、骨太なミステリーでもある本作。初監督&初脚本とは思えないほど緻密なストーリーテリングには、井筒和幸、武正晴、廣木隆一、入江悠という名監督らの助監督時代の経験と知識を存分に活かし、「王道のミステリーでいくなら、春ではなく刑事の晃を主人公にした方がセオリー通りだったかもしれませんが、あえてそのセオリーはずらしたかったんです」と、独特の感性でもって唯一無二の作品に仕上げてみせた。

主人公・春を演じる高良健吾とはこれまで何度も現場を共にしており、齊藤監督の中で春を演じるのは高良以外に考えられなかったという。その高良も、監督への絶大な信頼を明かす。

まだプロットもない段階から、齊藤さんのデビュー作への想いは聞いていました。齊藤さんはとにかくスーパー助監督だったんです。現場に齊藤さんがいれば僕らも安心できるし、仕切りも素晴らしくて。

©2023「罪と悪」製作委員会

さらに、映画『草の響き』の現場で親しくなったという大東駿介、映画『モンゴル野球青春記~バクシャー~』で仕事を共にした石田卓也という実力派俳優二人がメインキャストに決定。また、佐藤浩市、椎名桔平、村上淳という大ベテランたちが顔を揃えるのも、新人監督のデビュー作としては異例のこと。

作品の重厚感を底上げする豪華俳優陣たちの出演が実現し、2022年7月~8月の29日間にわたってオール福井ロケで撮影された。

©2023「罪と悪」製作委員会

「長年疑問に思っていたことの答えは、自分の中で出た気がしています」

クランクイン前から、高良、大東、石田と話し合う時間を重ねて進んでいったという齊藤監督は、現場での俳優たちとのやり取りを、こう振り返る。

あえて”本読み”というかしこまったスタイルではなく、3人と僕で”ここのセリフはちょっと言いづらそうだから変えましょうか”とか、役者さんと直でやり取りできたことは大きかったし、これこそ僕が助監督時代からずっとやりたかったことでもあったんです。乱暴な言い方をすると、現場での演出には限界がある。何回もテストを繰り返しても、結局ファーストテイクを使っていることも多い。だったら準備に時間をかけたかったし、実際イン前にいろんなことを設計できてよかったと思います。

©2023「罪と悪」製作委員会

ロケ地・福井県の地元の人々の献身的な温かいサポートにも支えられ、最初で最後のデビュー作を撮り切った監督は、本作に込めた想いと関係者たちへの感謝を強調する。

シンプルに“罪=悪”なのか? ということは、ずっと思っていた。3人がこの街で生きていくために選んだ選択肢は、本当に悪だったのか? という長年疑問に思っていたことの答えは、自分の中で出た気がしています。今は一般の人でも罪を悪と即断しがちな世の中ですが、それはやめようよという気持ちはずっとありますね。何にせよ、自分の書いたストーリーに一生懸命付き合ってくれた役者陣、スタッフ陣には感謝しかありません。観た方の記憶の片隅に残ってもらえる作品になってくれれば幸いです。

©2023「罪と悪」製作委員会

『罪と悪』は2024年2月2日(金)より全国公開

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