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【野球ごはん⑫】野菜、きのこ、海そう、果物について≪令和版≫

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【野球ごはん⑫】野菜、きのこ、海そう、果物について≪令和版≫

ビタミンは、縁の下の力持ち

 ビタミンは、野菜、きのこ、海そう、果物に含まれています(表1)。選手が苦手と話す食品が多いと思います。

 図1は、体を動かすエネルギー源となる脂質、炭水化物、タンパク質の代謝とビタミンの関わりを示しました。

 図の通り、さまざまなビタミンがエネルギー作りに補酵素という形でかかわっています。つまり、ビタミンが不足すると代謝が進まず、エネルギーを十分に作ることができなくなります。その結果、練習中にバテやすくなったり、集中力が落ちやすくなったりします。体を動かすには、エネルギー源となる炭水化物だけ補給する、筋肉を作るにはタンパク質だけ補給するでは、強い体を作っていくことが難しく、ビタミンの補給が大切であることが分かりますね。
 以前、私は小中学生選手へビタミンと食品について講習会を行いました。後日、保護者から「講習会を聞いてから、吐くほど嫌いだった野菜を食べるようになりました」と嬉しい連絡をいただきました。

目的別の野菜、きのこ、海そう、果物を選ぶ。

 図2を参考に目的に合わせて野菜、果物を選ぶ方法もあります。

①便秘の予防・改善。コレステロールを減らしたい。
 食物繊維をとりましょう。食物繊維は、きのこ、海そう、きび、あわなどの雑穀の他、根菜類に多く含まれています。根菜類は、字の通り土の中で成長する根や茎を食べる野菜です。例えば、いも、ごぼう、大根、人参、れんこんなど、かみ応えのある食材です。
 また、最近は睡眠の質向上に食物繊維が関わっていると考えられ、研究が進められています。

②傷ついた筋肉の修復を助ける
 研究が進められ、意見が分かれていますが、長時間運動によって傷ついた筋肉の修復を助けると考えられているのが、抗酸化成分です。植物の色、香り、苦味などに多く含まれているポリフェノール、カロテン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEです。

③食べすぎた時など、胃腸の消化を助ける
 運動量の多い野球選手は、エネルギー源となるごはん、パン、めん類などの主食を多く食べています。これら主食は、でんぶんを含んでいます。大根、かぶ、長芋には、デンプンを分解するアミラーゼ(別名:ジアスターゼ)という酵素を含んでいます。唾液に含まれる酵素と同じです。酵素は加熱すると壊れやすいので生で食べたいです。例えば、おろしうどん(そば、パスタ)、山かけ丼(うどん、そば)などです。山芋短冊、なしらすおろし、大根やかぶのサラダにする食べ方もあります。 また、キウイ、パイナップル、パパイヤ、マスクメロン、いちじく、マンゴーなどはタンパク質を分解する酵素を含んでいます。焼き肉やステーキなど、いつもより多く食べてしまった時にデザートとしてこれらの果物を食べましょう。食事量が増えると内臓に負担がかかります。こういった果物を一緒にとることにより消化を助けることができ、体を早く休められます。

野菜やきのこ、果物が苦手、どうすればいい?

 「野菜やきのこを食べたいけれど、苦手です。どうすればいいですか」選手から質問を受けることがあります。いろいろ方法はありますが、私の経験では、肉や魚と一緒に炒める、揚げると食べやすくなったと話す選手が多いです。例えば、チンジャオロースーのように肉・魚と一緒に野菜やきのこを炒める。メンチカツやハンバーグに刻んだ野菜やすりおろしたレンコンを加える。カレーに野菜やきのこを加える。豚汁、ミネストローネなど具たくさん汁物、バンバンジーに、戻した切干大根を混ぜ合わせるなどがございます。
 果物が苦手な場合、果物の替わりに、いも、緑黄色野菜をとるようにしましょう。また、果物には、クエン酸、リンゴ酸など有機酸が豊富です。有機酸はミネラルの吸収を助けます。お酢、ポン酢しょうゆ、梅干しには、酢酸、クエン酸などの有機酸を含んでいます。例えば、白ご飯をすし飯に替える。サラダや梅肉和え、梅干し煮やポン酢しょうゆ煮、炒め物などがございます。
 好きな食材と一緒に使ったり、好きな料理に加えたりして、食べやすい方法を見つけてくださいね。

上村香久子(うえむら・かくこ)

管理栄養士、調理師。1974年、京都府生まれ。中学生の頃にプロ野球ファンになり、スポーツ現場で働く栄養士を目指す。現在、中学・高校・大学野球をはじめ、柔道、フットサル、カーリング、サッカー、バスケットボール、バレーボール、駅伝チームなど全国各地のスポーツ選手たちへ栄養指導、レシピ提供などを行っている。2009年5月~2025年3月まで全日本柔道連盟の強化指定選手の合宿、世界選手権大会、オリンピック(ロンドン、リオデジャネイロ、東京、パリ)に帯同し、サポートを行った。神奈川工科大学 客員教授。<!-- .c-authorbox__contents -->

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