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阪急・西宮北口駅から徒歩約10分。高木公園のすぐ北隣、町家風の建物が住宅街の中にゆったり構えています。大通りから少し奥まった場所にあるにもかかわらず、店内も駐車場もいつもいっぱい！それもそのはず、訪れる人の8割が常連という、『ヒロコーヒー』の味と空間に魅了されたファンが絶えない人気店なのです。

中でも私が心を奪われたのが「麦蔵チーズインバーガー」。 パン工房で焼き上げたふっくらバンズに、国産牛の分厚いパティが堂々と挟まれたビジュアルに、思わず声がでそうになる迫力です。ひと口では頬張れないほどの大きさで、見るからに贅沢な存在感です

ナイフを入れると、パンの香りと肉汁がふわっと立ち上り、口に運べば香ばしさ・やわらかさ・旨みの三拍子が一気に押し寄せてきます。丁寧に仕込まれた野菜とソースが支えていて、最後のひと口まで味の構成が崩れません。

合わせたアイスコーヒーは、雑味がなく、後味の余韻に透明感さえある一杯。 氷が溶けても味がぼやけず、濃厚なバーガーと共存する力のあるコーヒーに、思わず「スペシャルティコーヒーって、こういうことか」と、静かに納得しました。

隣の席ではとてもおしゃれで若々しい老夫婦が「かつサンド」を楽しまれていました。実はこのメニュー、西宮北口店限定で、麦蔵バーガーと並ぶ人気だとか。満席の店内を見渡すと、珈琲だけでなく食事をメインに来られるお客様もたくさんいました。「朝でも、昼でも、しっかり食べたい」を満たしてくれる場所でもあります。

食後でも、心が「もうひとつ」と求めてしまう甘い誘惑。それが、大人のチョコレートケーキ「大黒」。4種の高級チョコレートを使っており、控えめな甘さの奥に広がるビター感が魅力で、冷たいコーヒーと交互に口にすると、まるでチョコとコーヒーが静かに口の中で対話を始めるような感覚になります。

ヒロコーヒーで扱う豆は、まず国際的に認定された品質評価士によって「スペシャルティコーヒー」としてふさわしいかどうかが厳しく審査されます。そのうえで、香りや味のバランス、生産地の環境や農園の管理にまで目を向け、最終的に選ばれた豆だけが店頭に並びます。一杯のコーヒーが持つ豊かな風味の背景には、サステナブルな考え方と、生産地との誠実な関係づくりがしっかりと根づいているのです。

なかでも印象的だったのが、“酸”に対するこだわり。一般的に「すっぱい」と敬遠されがちな酸味ですが、ここで重視されているのは、果実としてのコーヒーが本来持つ、柑橘やベリーを思わせるような澄んだ酸味。

取材では、「どれだけ澄み切った酸を引き出せるか、が重要なんです」とも教わりました。まさに言葉どおり、ヒロの一杯は雑味がなく、濃厚なバーガーやケーキと合わせても重くならず、後味はすっと心地よく引いていく。この「調和の設計」こそ、スペシャルティの真価を感じる瞬間だと実感しました。

町家をコンセプトにした和の空間で、ゆったり流れる時間とともに味わう一杯。 それでいて、どこか日常の延長線上にあるやさしさが感じられるヒロコーヒー西宮北口店は、「また来よう」ではなく「次も来る」と自然に思わせてくれる場所でした。あなたの生活スタイルの一部にもなるかもしれません。

場所
ヒロコーヒー 西宮北口店 （HIRO Coffee Shop）
（西宮市高木東町37-11）

営業時間
8:00～19:00

定休日
なし

駐車場
あり