初めての沖縄ダイビングで出会ったサンゴ礁の光景が忘れられない【私の好きなサカナたち】
Webメディア『サカナト』には様々な水生生物好きのライター(執筆者)が所属しています。そんなライターの皆さんが特に好きなサカナ・水生生物について自由闊達に語らう企画「私の好きなサカナたち」。今回はサカナトライター・てぃがさんによる「私の好きなサカナたち」をお届けします。
サンゴと聞くと「植物」と思う人もいるのではないでしょうか。
実は、サンゴはクラゲやイソギンチャクなどと同じ「刺胞動物」に分類されており、れっきとした動物なのです。
サンゴは植物ではなく動物
サンゴは大きく分けて「ハードコーラル」「ソフトコーラル」と呼ばれる2種類に分かれています。
サンゴと聞いて想像する人も多い“赤い枝のようなサンゴ”は、ハードコーラルの仲間。一方、硬い石灰質の骨格を持たず、軟らかい体を持つのがソフトコーラルの仲間です。
色も形も様々で、世界には約800種類ものサンゴがいると言われています。そして、その半数近くのサンゴが生息し、世界屈指のサンゴ礁があるのが日本の沖縄県です。
初めて沖縄の海でダイビングをした時に見た、目の前いっぱいに広がる色とりどりのサンゴの光景は一生忘れられないでしょう。これまで国内外の海でダイビングをしてきましたが、沖縄のサンゴ礁に勝るものには未だ出会えていません。
見て美しいというだけではなく、時には防波堤の役割を果たし我々人間を守り、時には魚たちの隠れ家になり生態系を支えてくれているサンゴは、あらゆる生き物にとっての“守り手”だといえるでしょう。
また、死んでしまった後のサンゴは、美しい白の砂浜の一部となり、あるいは海底の砂となって新たな命を育んでいくのです。
そのようなサンゴの「家」であり「母」であるような、やさしさと強さを感じさせてくれる点も、私がサンゴを大好きな理由のひとつです。
サンゴの白化問題
そんな素晴らしい生き物であるサンゴですが、今、危機に面しています。
サンゴたちがさらされている危機は、「白化現象」と呼ばれるものです。
これは気候変動による海水温の上昇や海洋酸性化、サンゴを食すオニヒトデの大量発生、沿岸開発による土砂の流出、生活排水による水質汚染など多くの脅威にさらされていることが要因だと言われています。
白化現象が進むと、サンゴは文字通り真っ白になっていきます。美しくも見えますが、これはサンゴが非常に弱っているというサインであり、白化した状態が続けばいずれは死んでしまいます。
いちど白化が進んでも良い環境に戻れば白化が治ると言われていますが、現状は悪化する一方です。
白化が進み、死んでしまってもなお生き物を守り続けるサンゴ。今度は私たちがサンゴを守る番なのではないでしょうか。
白化現象は必ずしも人の営みによる事象が原因とは限らないかもしれません。しかし、それでも海のため、サンゴのためにと行動することには必ず意味があります。
サンゴを守る、海を守る
沖縄ではサンゴの養殖にも取り込まれており、サンゴを守ろうという動きも広まりつつあります。そういった活動に興味を持ち、参加するのも素晴らしいことだと思います。
そこまでは難しくとも、「日焼け止めを買うときにふと海にやさしいものかなと考えてみる」「ごみの分別を正しく行う」というようなことだけでも、巡り巡ってサンゴを、そして海を守ることに繋がります。
何十年後も美しいサンゴ礁を見られることを願って、自分にできることから行動してみませんか。
(サカナトライター:てぃが)