Yahoo! JAPAN

いま「悪魔祓い」がアツい!?『エクソシスト 信じる者』は歴史的名作の50年後を描く正統続編にして三部作の幕開けを告げる最新作

映画評論・情報サイト BANGER!!!

いま「悪魔祓い」がアツい!?『エクソシスト 信じる者』は歴史的名作の50年後を描く正統続編にして三部作の幕開けを告げる最新作

いま「悪魔祓い」がアツい

いま、映画界で再び脚光を浴びている“悪魔祓い”。今年の7月に日本公開され大ヒットしたことが記憶に新しいラッセル・クロウ主演作『ヴァチカンのエクソシスト』はもちろんのこと、『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』(2021年)のモデルになった事件を深掘りするNetflixドキュメンタリー『トゥルーホラー:悪魔が私に殺させた』(2023年)も配信されたばかりだし、キアヌ・リーブス主演の大傑作『コンスタンティン』(2005年)も続編製作が決定したりと、どこもかしこも悪魔祓い。

そんな中、キング・オブ・悪魔祓い映画『エクソシスト』の正統新作続編が実に50年ぶりに登場しました。その名も『エクソシスト 信じる者』です。

『エクソシスト 信じる者』© Universal Studios. All Rights Reserved.

無神論者も悪魔を信じた?『エクソシスト』の恐怖

1作目の『エクソシスト』(1973年)は、少女リーガン(リンダ・ブレア)に取り憑いた悪魔と神父の対決を描いたオカルト映画の金字塔。この映画が存在したからこそ、「悪魔祓い」はポップカルチャーの中でいまだに不動の地位を確立しているといっても過言ではない作品です。

© 2013 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

ウィリアム・フリードキン監督による常軌を逸した演出(撮影現場でショットガンをぶっ放したりする)は現代の価値観と照らし合わせるとアウト極まりないものがありますが、特殊メイクの“ゴッドファーザー”ディック・スミスによる完璧な仕事(撮影当時44歳だったメリン神父役の名優マックス・フォン・シドーをしわしわのお爺ちゃんにし、撮影当時12歳だったリンダ・ブレアを悪魔そのものにした)や、印象的な映画のテーマソング(イギリスのミュージシャン、マイク・オールドフィールドによる「チューブラー・ベルズ」)なども含めて、結果としては無神論者も悪魔の存在を信じてしまうレベルの恐怖映画となっております。もしまだ観ていないのならば、『エクソシスト 信じる者』を観る前にぜひご鑑賞を。

<!--014 SP 記事 記事記事「見出し3」上モバイルバナー--><!-- 0510 --> <!-- Geniee Wrapper Body Tag 1542198 --><!-- /Geniee Wrapper Body Tag 1542198 -->次ページ:『エクソシスト 信じる者』では何が起こる?三部作構想も!

宗派を超えて“悪魔討伐アベンジャーズ”結成!?『エクソシスト 信じる者』

さて『エクソシスト 信じる者』ですが、ハイチ地震で妻を亡くした写真家のヴィクター(レスリー・オドム・Jr)は、13歳の娘アンジェラ(リディア・ジュエット)と二人暮らし。ある日、アンジェラとその友人キャサリン(オリビア・オニール)は放課後に近所の森の中に入っていきます。それから忽然と姿を消してしまい、3日後に遠くの農場で発見されたときには、自分たちがどこで何をしていたのか、まったく記憶のない状態……。

『エクソシスト 信じる者』© Universal Studios. All Rights Reserved.

親たちはひとまず安堵しますが、アンジェラとキャサリンはなにやら様子がおかしい。ふたりはそれぞれ元の平穏な生活に戻ることなく、悪態をつき、暴れだし、人相が変わり、誰彼構わず襲うようになってしまうのでした。そして悪魔の暴力的な力は、憑いた者だけではなく、憑かれた者の周りの人物も同時に蝕んでいき――。

『エクソシスト 信じる者』© Universal Studios. All Rights Reserved.

悪魔祓い映画は当然ラストに悪魔との対決が行われるわけで、そこに目新しさを見出すことは難しいです。そこで本作は「二人の少女が同時に悪魔に憑かれる」という単純明快な足し算で挑むという強硬手段に出ます。

『エクソシスト 信じる者』© Universal Studios. All Rights Reserved.

また、ヴィクターは無神論者であり、妻を亡くしたことからサバイバーズ・ギルト(自分だけが“生き残ってしまった”という罪悪感)に苛まれていて、一方キャサリンの両親はしっかり教会に通う敬虔なクリスチャンで、神や悪魔の存在を信じている夫婦。そして、後半戦になると彼・彼女らに協力する人々も登場し、複数の宗教観を持った人々が集結して悪魔討伐アベンジャーズを結成。その急展開のおかげで、見慣れた「悪魔祓い」に新鮮さをもたらしています。

『エクソシスト 信じる者』© Universal Studios. All Rights Reserved.

まさかの3部作構想!どうなる今後の『エクソシスト』?

忘れちゃいけないのが、本作は1作目の50年後の正統続編という位置付けということ。そこを全面的に担うのは、1作目で悪魔に憑かれた娘リーガンの母親クリス・マクニール(なんと90歳になるエレン・バースティンが再び演じる)。彼女とヴィクター、我が子が悪魔憑きとなった親同士の、世にも奇妙な邂逅に注目です。

『エクソシスト 信じる者』© Universal Studios. All Rights Reserved.

ちなみに、クリス演じるエレンは本作の出演理由をはっきり「お金のため」と言い切っていて、それは彼女がアル・パチーノとハーヴェイ・カイテルと共に共同社長を務めている俳優養成所アクターズ・スタジオに奨学金制度を立ち上げるためだったとか。素敵です。

監督を務めるのは、『ハロウィン』(2018年)、『ハロウィン KILLS』(2021年)、『ハロウィン THE END』(2023年)の三部作を手掛けたデヴィッド・ゴードン・グリーン。現段階では、『ハロウィン』シリーズと同じく三部作での製作が決定しており、次作タイトルは『The Exorcist: Deceiver(欺く者)』とのこと。『ハロウィン』シリーズと同じように、1作品ごとにテーマ、テイストが異なるものになるのか、まったく別アプローチを考えているのか、はたして……。

『エクソシスト 信じる者』© Universal Studios. All Rights Reserved.

そんな『エクソシスト 信じる者』は総じて恐怖描写は若干大人しめで、おそらく本作はあくまで「今の世代に向けた『エクソシスト』世界の入り口」として考えていそう。2作目以降は悪魔に憑かれた人が一気に200人ぐらい登場しちゃうような、ぶっ飛んだ展開を期待!

文:市川夕太郎

『エクソシスト 信じる者』は2023年12月1日(金)より全国公開

【関連記事】

おすすめの記事