夜中の遺体安置所が怖すぎる「ビデオ廃盤の伝説的ホラー」ついに劇場公開!『モルグ 屍体消失』
北欧の伝説的ホラーついに劇場公開
死体嗜好、屍姦、皮膚を剥ぐ猟奇殺人鬼……。タブー満載の衝撃的なテーマを扱いながら、カンヌ国際映画祭の批評家週間への出品をはじめ、各国の映画祭で上映されるや「ヨーロッパで最も恐ろしい映画」と絶賛された、北欧カルトホラーの傑作が30年の時を経てデジタルリマスター版で蘇る。
1月17日(金)より公開中の『モルグ 屍体消失 デジタルリマスター』は1994年のデンマーク作品。当時本国で公開されるや、その年の興行成績1位を記録したという伝説的な作品ながら、日本ではVHSが発売されたのを最後に長らく視聴困難な状況が続き、マニアの間で語り継がれる幻の作品となっていた。
連続猟奇殺人、おぞましい被害者の死体……
夏休みに病院の遺体安置所(=モルグ)で夜警のアルバイトを始めた法科学生マーティン。深夜に見回りをするだけの簡単な仕事のはずだったが、前任の夜警からそこが曰く付きの場所であることを聞き、死体がずらりと並ぶその異様な雰囲気に冷たい恐怖を覚える。
その頃、娼婦を狙った連続猟奇殺人事件が世間を騒がせており、彼が働く病院にも皮膚を剥ぎ取られたおぞましい被害者の死体が運び込まれてくる。その日を境に彼の周りで不可解な出来事が起こるようになり、マーティンはさらなる妄執に取りつかれていく。
ある日、遺体安置所の死体が不自然に動かされている痕跡が見つかり、事件を捜査するウォーマー警部は、状況証拠からマーティンに屍姦・妄想狂の疑惑の目を向けるようになる……。
北欧バイブスあふれる“底冷え”スリラー
1997年にはユアン・マクレガー主演でハリウッドリメイクも製作。さらに本国デンマークでは監督・主要キャストが再集結した新作続編が劇場公開されるなど、いまもなお熱狂的な人気を誇っているカルトな逸品だ。そんな本作は基本設定/ストーリーの恐ろしさもさることながら、北欧映画らしく美術面でも見どころが多い。
60~70年代で時計が止まったような病院~モルグは冷たい映像の質感と相まってレトロフューチャーみがあり、古典SFのような趣も。現代の日本ではお目にかかれないであろう全面タイル張りの内装は昔ながらの覗き小窓などを備えているが不思議と既視感もあり、まるで夢の中に登場する記憶の彼方の建造物のようで不安を煽る。
今回はデジタルリマスター版での劇場公開ということで、あの独特の冷たい映像がどのように蘇ったのか、あの人物の意味深な表情の印象がどう変わるのか、すでに鑑賞済みのファンにとっても新たな楽しみや発見があるはずだ。
若かりしニコライ・コスター=ワルドーが熱演!
主演のニコライ・コスター=ワルドーは後にリドリー・スコット監督の『ブラックホーク・ダウン』(2001年)や、ブライアン・デ・パルマ監督の『ドミノ 復讐の咆哮』(2019年)、人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011~2019年)などに出演。本作ではモラトリアム全開のピッチピチな瑞々しさを見せてくれる。
中盤過ぎまでの心霊ホラー的な展開から、イッキにサイコスリラーへと変貌する終盤まで、数十年を経て観ても冷や汗が止まらない本作。恐怖演出やキャラ設定に往年のホラー映画からのオマージュも感じられる、あらゆる映画ファンにおすすめしたい秀作だ。
『モルグ 屍体消失』は2025年1月17日(金)よりシネマート新宿、池袋 HUMAX シネマズほか全国公開中